小さい頃から絵を描くことが好きで、中学生時代にすでに絵と文章を書く仕事に就くことを目標にしていたという大森貴絵さん。高校卒業後は名古屋市のデザイン専門学校に進学し、現在はデザイナー兼イラストレーターとして活動。ほかにも筆文字、書籍制作など幅広く手がけています。
会社勤めから結婚
出産、そして独立
名古屋市のデザイン専門学校卒業後は岐阜市の印刷会社に就職し、9年間デザイン部門で働きました。好きなことを仕事にできたので、夜遅くなっても締め切りに追われても辞めたいと思ったことはありません。
しかし自分自身に近い女性向けのデザインではなく、中高年男性をターゲットとした地酒のラベルデザインを担当することになった時は悩みました。そんな経験も力強い筆文字のデザインなどに挑戦するきっかけとなり、現在仕事の1つとなっている筆文字の基礎になっています。
その後、結婚して出産。夫が高山市に転勤となったため、家族で帰郷しました。長男が3才になり、少し時間に余裕ができてきたころに独立。自宅で少しずつ仕事をはじめました。
短期集中で仕事にあたる
時には街にドライブへ
自分のデザインしたものが商品化されたり、お客さまに喜んでいただけたりすることが大きなやりがいです。イラストと文章を全部1人で制作した『ひだのしゃべりことば』を出版してからは、「この本のイメージでつくってください」という仕事の依頼が舞い込むようになりました。自分のカラーを認めてくれるお客さまから仕事をいただけて、うれしい限りです。
この仕事は、いいアイデアが浮かぶまでは頭が休まりません。また、小さな子どもがいると時間がコマ切れになり、分散することも。最近では「5分間だけ集中!」といった技も身に着いてきました。
家に閉じこもってばかりでは考えも煮詰まりストレスも溜まるので、時には街を歩いたりドライブに出かけたりします。私はパソコンの前にいるより、アナログなことをしている方がアイデアが浮かぶタイプのようですね。
夫と補い合いながら
バランスよく公私を楽しむ
今は夫と5歳の長男、7カ月の長女の4人暮らしです。まだ子どもが小さいので生活の軸は家に置くようにしています。夫婦で家事や育児を分担し、私の苦手な経理部門では夫に助けてもらうことも。補い合える、いいパートナーに巡り合えたことに心より感謝しています。
公私を両立するコツといえば、スケジュールを立てることでしょうか。20代のころ頑張りすぎて体調を崩し、自分を管理する大切さを学びました。休むこと、遊ぶこともきちんと組み込んで家族の予定を立てています。
一番の息抜きは、子どもと過ごす時間ですね。長男の出産後は、仕事のブランクを恐れていました。けれど2人目の時は、しっかり休んで子育てに集中しようと思えるようになりました。休んだ時間や子育てで得た経験が、仕事の上でも糧になることがよくわかったので。また、人と会ったり話したりすることが好きなので、友人と食事にも行っています。
ひともじぶんも、
ゆるしてゆるゆる
この仕事は孤独になりがちですが、人と触れ合うことが好きなのでこれからはワークショップなども増やしていきたいと考えています。子ども連れでも気軽に集まっていただき、イラストや筆文字を体験していただけるような内容がいいですね。また地元の小学校からは、『ひだのしゃべりことば』の出版により、飛騨弁について子どもたちに話してほしいといった依頼もいただき、子どもたちとお話しする機会にも恵まれました。
座右の銘は「ひともじぶんも、ゆるしてゆるゆる」。私自身できないことの多い人間なので、得意分野を伸ばしてきました。人は補い合って生きているものなので、できないことは責めないでいたいと思います。飛騨弁で言うなら「それでいいんやさ」「いいんやよ」という感じです。