年金や労働にまつわる相談から給与計算代行まで、業務内容が幅広い社会保険労務士。岐阜市にある「経営労務サポートオフィスぶどうの樹」の代表を務めるのが、森千晴さんです。社会保険労務士の資格を取得したのは、40歳のとき。「ぶどうの樹」を立ち上げ、人々の悩みや相談を解決してきました。
多岐にわたる業務内容
病院での相談会も
年金の相談や社会保険の加入手続、労働保険料の計算、会社の賃金台帳作成、労働契約や就業規則の作成など社会保険労務士の仕事内容は多岐にわたります。その中でも障害年金の申請代行や労働に関する問題の解決に特化。会社と労働者の間でトラブルが発生したときは二者の間に入って双方の意見を聞き、解決のお手伝いをしています。また医療機関をマネジメントする上で必要な知識を持ち、経営課題を解決する「医療経営士」の資格も保有。岐阜県が取り組む、医療従事者の労働環境改善の医療労務管理アドバイザーも務めています。岐阜大学医学部附属病院で月2回開かれているがん就労相談では、相談員として治療と就労の両立についてのお悩みを受け付けています。社会保険労務士の仕事は幅広いので、自分の得意分野を選べるのが魅力です。
家事の合間を縫って
勉強の時間を捻出
もともと専業主婦でしたが、家庭の事情で働かなくてはいけなくなりました。当時35歳。求人票を見ても、ほとんど働ける場所がありませんでした。結婚前に司法書士の勉強をしていましたのでチャレンジを試みましたが難易度が高かったため、比較的資格が取りやすいといわれている社会保険労務士を目指すことに。大学の同級生に社会保険労務士がいたので軽い気持ちで勉強し始めましたが、実際には難しく一度では受かることはできませんでした。家事と勉強の両立はとても大変でしたね。社会保険労務士の試験は夏休み中の8月末。娘たちをキャンプなどに何度も行かせ勉強する時間を捻出しました。
相談者の心に寄り添い
ありがとうの声を励みに
一人ひとり生きてきた過程が異なるので、相談の内容もそれぞれです。相談者のお悩みに耳を傾け、「ありがとう」といってもらえることがこの仕事のやりがいです。お礼にと野菜や手作りのパンをいただくこともあるんですよ。
この仕事は聞き手に徹することがとても重要です。誰かに悩みを聞いてもらうと頭が整理されて心が晴れ晴れとします。相談者が「話を聞いてもらえてすっきりしました!」と笑顔でお帰りになるのがうれしいですね。困難なことは「離職票」など、ハローワークに提出する書類の作成。これも社会保険労務士の業務のひとつですが、細かいことが苦手な性格なので未だに苦労しています。
PTA活動に注力した昨年
困難なことも勇気を持って挑戦
家庭や仕事に忙しい中で、心に決めているのが「優先順位をつけて物事を進める」こと。昨年はPTAの副会長をしていましたのでとても忙しかったですが、「家族参観日」を使ってキャリア教育を企画、またラジオ体操の指導や清掃活動をする取り組みが認められ、「優良PTA文部科学大臣表彰」を受賞しました。大切にしていたのは仕事もPTA活動もオンオフをしっかり切り替えること。PTAの活動をしながら、仕事のことを考えていては楽しめませんから。
多忙な日々の息抜きは、週1~2度通うホットヨガ。発汗作用があるローションを塗って、汗を一気に出してデトックスします。ヨガを通してポジティブ思考になることができ、心もすっきりするのがいいですね。あとは、美味しい食事とお酒を楽しむこと。自分で作ることも外食することも大好きです。
「頼まれごとは試されごと」が私の座右の銘。依頼が困難に思えても試されているんだと前向きに受け止め、仕事を受けてきました。この姿勢があったからこそ成長できたのだと思います。
春から長女が高校へ、次女は中学校へ進学。これまでは子どもが幼かったので仕事をセーブしてきましたが、今後はもっと手広くチャレンジしていきたいですね。事務所を大きくし、人員を増やすことも考えています。