岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

夢中になれるものを見つけ、
出会った人たちと喜びをわかちあう
これほど幸せなことはありません


表千家茶道講師/ミュージックベルサークル代表/読み聞かせグループ代表
大津由佳(おおつ よしか)さん(海津市)

【2016年3月28日更新】

子どもの頃から30年以上、茶道を習い続ける大津由佳さんは、現在も尊敬する師匠のもとへ通いながら、自身も講師として活動しています。子育てをしながら出会ったさまざまな場、人との縁をつなぎ、幅広いステージで日本の伝統的な美的感覚を伝える毎日。さらに、自分の「好き」「やりたい」という気持ちを大切にし、ミュージックベルサークルや絵本の読み聞かせグループを立ち上げ、精力的にボランティア活動もしています。

大好きなお茶の世界を
人に伝えられることが幸せ

 10歳から習い始めた茶道が生活の中心です。高校生の頃から、愛知県津島市に住む先生のご指導を受け、21歳で結婚、出産してからも続けてきました。お稽古を休んだのは、産後の数カ月だけ。日本独自の伝統美を集結した茶道は、人を思いやり、自分の心を磨き、成長し続けられる総合芸術だと思います。
 小学校の卒業文集で「お茶の先生になりたい」と夢を書きました。それが叶ったのは、子どもが通うこども園で役員になったことがきっかけ。子どもたちにお茶を教える時間をいただき、お茶会体験を企画しました。先生方が遊技場に畳を敷き、黒幕を立てるなど準備をしてくださり、他の役員さんやボランティアのお母さんの協力も得て、園児にお茶を楽しんでもらう機会ができました。普段と違う雰囲気の中、子どもたちが緊張して臨む姿は「いつもと違って新鮮」とお母さん方からも好評。年6回の行事が12年間も続いているのは、周りのご理解とご協力の賜物ですね。

「先生の所作はすごい」
この言葉が活動の励みに

 こども園での経験が自信になり、我が子が成長して自分の時間が増えたこともあって、数年前から自宅でのお稽古を始めました。園でも自宅でも着物を着るようにしていて、妊娠中も出産直前まで着物姿で教えていたほど。衣装は実母や義母から継いだものも含め、全部で50着ほどあります。
 和服姿になるとスイッチが入るようで、普段は大雑把な性格なのにお稽古の時は「先生の所作は、言葉にできないすごさがある」と生徒さんからいってもらえるのがうれしいですね。
 お茶の魅力は、非日常な環境の中で精神統一しながら自分を見つめられること。この感覚が本当に心地良くて、活動を通して苦労を感じたことはありません。子どもたちが「お茶会ごっこ」と称して遊びに取り入れてくれていると聞くと、思わず笑顔になります。また、最近はデイサービスセンターでお茶を初披露するなど、交流の場も増えているんですよ。

ベルや読み聞かせを通して
ボランティアも楽しんでいます

 茶道と平行し、さまざまな活動に挑戦してきました。一つはミュージックベルです。約10年前に園児たちが演奏するのを見て、バイオリンの先生をしているお母さんとスタート。サークル感覚で集まり、横で子どもを遊ばせながら練習してきました。当初は一人2本のベルで精一杯だったのが、今では10本弱を操れるほどになり、演奏レパートリーも増えました。福祉施設やイベントに呼んでいただく機会が増え、息を合わせて演奏を完成させると感慨もひとしお。
 同時進行で、読み聞かせグループも立ち上げました。学校の役員仕事の一環で読み聞かせをする際、講座を受講して読み聞かせの楽しさを知りました。「絵本の魅力を伝えたい」、「子どもたちと楽しい時間を過ごしたい」。そのような思いを共有する仲間が集まり、勉強しながら活動しています。先輩たちや地域の他のグループと、大きなイベントを成功させたことも。どちらの活動も一緒に頑張ってくれる仲間、見てくれる方の笑顔や温かな声が原動力です。

快く送り出してくれる家族や
周りの人への感謝を忘れずに

 自宅にお茶の生徒さんが来ると、いつも我が子はほったらかしで可哀想だと思う時もあります。また、ベルや読み聞かせは収入にはならないボランティアですが、続けてこられたのは主人の理解があってこそです。長男は高校3年生、長女は高校1年生、次男は小学4年生と子どもたちも成長し、私の代わりに長女がご飯を作ってくれることもあります。
 家族の理解や、長年指導してくださる先生、先輩方や仲間、協力してくれる方など、たくさんの人の力添えで今の私があります。そのことに感謝しながら、仕事やボランティア活動を通して人と繋がれる喜びを実感しています。ただ、活動予定が重なるとパニックになることも。できるだけ無理をせず、「疲れたな」と感じたら自分の時間を積極的に取り、長く活動を続けることを目標にしています。今ある自分の環境に感謝しながら、持てるものを出し尽くしたい。知識も人間力も、もっとレベルアップしていきたいです。