「はさ掛けトラスト」を主宰し、「うたあそびサークルミッキー」の代表を務める塩月祥子さん。名古屋市から白川町黒川に移住して今年で8年。豊かな自然に囲まれた地で、さまざまな活動に注力しています。藁を用い土と漆喰で仕上げる「ストローベイルハウス」に着想を得た活動「はさ掛けトラスト」では、農林作業を通して地元の農業を支援。イベントを通して、人との出会いを紡いでいます。
ストローベイルとの出合い
名古屋市から白川町へ移住
名古屋市から白川町に移住したのは今から8年前。今年11歳になる長男の食物アレルギーがきっかけです。卵や乳製品にアレルギーがあるため、スーパーマーケットに買い物に出かけても「あれもダメ」「これもダメ」と手ぶらで帰宅することもありました。また、車や自転車などがたくさん行き交う名古屋の街で、子どもの手を離し安心して遊ばせられるのは公園くらい。夜中でも暗くならない空や一晩中聞こえる車が走る音など、都会の生活に窮屈さを感じていました。
そんなときに出会ったのが、「ストローベイルハウスづくり」でした。「ストローベイルハウス」とはストローベイルと呼ばれる藁のブロックを積み重ね、土と漆喰で塗って仕上げた家のことで、解体しても土に返ることから環境にやさしいと注目されています。この家づくりの特徴は、機械を用いないこと。土や藁の感触と匂い、ボリュームを感じながら人の手でコツコツと家をつくっていきます。子どもも携わることができ、製作を始めればみんな泥だらけ。「こんな面白い家づくりがあるんだ!」と家族の夢が膨らみましたね。家づくりに必要な藁も自分たちでつくろうと思いついたことが「はさ掛けトラスト」設立のきっかけです。藁づくりを支えてくれたのが、白川町の農家のみなさんでした。出会う人はみな素敵な方たちばかり。気づけば自分も白川町民になっていました(笑)。
がんじがらめな心を解き放つ
白川町の雄大な自然
白川町の四季の移ろいや毎日窓から見える景色は本当に美しいんですよ。雄大な自然に囲まれた地で子育てをすることで、自分自身の心が放たれ、のびのびとしているのを感じます。移り住んでよかった、と何度思ったことでしょう。
もちろん大変なときもありましたが、落ち込む度に地域の人に励まされ支えられてきました。「この場所でならやっていくことができる」と思わせてくれる温かな人たちが白川町にはたくさんいます。
多忙な毎日を支えるモットー
「思い立ったらすぐにやる」
「はさ掛けトラスト」の活動と並行しているのが、「うたあそびサークルミッキー」です。他の仕事をしながらなので時間をつくれない時もありますが、人形劇や歌を通して子どもたちに夢や感動を与えられ、その姿を見ることができる活動に魅力を感じています。白川町公民館講座「子どもアート」では講師も務めています。もともとものづくりが好きなのでとても楽しく充実しています。
活動や子育ての毎日ですが、「思い立ったらすぐにやる」ことをモットーとしています。何が一番大事かを見極め、すると決めたことには寝る時間も惜しみません。日々の息抜きは、友だちとくだらないことを言い合って大笑いしたり家のインテリアをあれこれ考えたりすること。青空の下、無心で草抜きをすることも気分転換になります。
支えてくれたまちへの恩返し
白川町の魅力を伝えたい
「やらずに後悔するよりやって後悔」が私の座右の銘。高校時代の友人が口にしていた言葉で、今でも何かに迷ったときや弱気になったときに私の支えとなってくれています。
現在セルフビルドで自宅を建築中。夫と共に、完成に向かって一つひとつ手入れをしています。夢はストローベイルハウスとアートをコラボし、地域を盛り上げていくことです。
地域のみなさんの温かくて明るい人柄に支えられ、ここまでくることができました。そしていろいろなことを学ばせていただきました。白川町の魅力をもっとたくさんの人に知ってほしいという思いを胸に、これからも自分たちができることをしていきたいです。