フラメンコダンサーとして日本各地のライブに出演しながら、可児市のダンススタジオ「Estudio Gato blanco」を主宰。踊り一色の日々を過ごす渡辺なおみさんがフラメンコにのめり込んだのは、初心者の頃に体験した本格レッスンがきっかけです。熟練ダンサーに囲まれて感じた「できなくて悔しい」という気持ちに後押しされ、真摯な姿勢で練習に励んできました。講師やダンサーとして活躍するいまも、常に上を目指して学び続けています。
思い知らされた技術の差が
やる気をかきたてる起爆剤に
実は運動が得意ではなかったんです。体を動かすのも汗をかくのも苦手で、だからこそ体力づくりのためにフラメンコを始めました。レッスンを受けるうちにどんどん夢中になり、DVDで本場の踊りを見たり、ライブを見に行ったりするようになりました。そんな時、「クルシージョ」というフラメンコの短期講習の存在を知りました。DVDを持っているほど大ファンだったスペイン人ダンサーが教えてくれると知り、思い切って挑戦。でも、周りの生徒はみんなキャリアの長い人ばかりで、初心者の私はスペイン語もフラメンコもわかっておらず、「今すぐ帰りたい」と思うほど場違いでした。できない自分への腹立たしさ、悔しさで泣きたくなったこともあります。でも、この経験がきっかけで本気スイッチが入りました。私には経験がないのだから、とにかく努力するしかないと切り替えて、そこからさまざまなレッスンに通って練習を重ねました。
夢中でかけぬけた修業時代
出会えた仲間は今でも宝物
ありとあらゆるフラメンコレッスンに通い、地道に練習する事で徐々に技術とフラメンコはどうあるべきかを学んでいきました。教室で講師の代役を頼まれたり、ライブ出演の依頼をいただけるようになったり。信頼してもらえるのがうれしかったですね。当時、出会った仲間たちはずっと大切な友人です。活躍の場を広げながらもレッスン通いは続けて、本場スペインにも行ったんですよ。でも、どれだけ練習しても上には上がいて、「すごすぎる。私にはもう無理だ」と思うことがたくさんありました。でも、その思いこそが私の原動力で、上手な人との差が見えるとやる気が湧いてきます。とにかく思いっきり練習する場所が欲しくて、いつかスタジオを作りたいと夢見ていました。それが叶ったのが2011年。可児市に約20畳のフロアと壁一面の鏡を備えた「Estudio Gato blanco」を作りました。私のように練習する場所を探している人にも使って欲しかったんです。
「ダンスを教えて欲しい」
その言葉に勇気づけられた
スタジオを立ち上げた翌年、私に「フラメンコを教えて」と友人が声をかけてくれました。「こんな私でも大丈夫？」と不安な気持ちもありましたが、うれしさの方が大きかったです。それをきっかけに、スタジオでダンスを教え始めました。今では週に4日、初心者向けから経験者向けまで、幅広くレッスンを開いています。生徒のみんなが踊ることを楽しみ、笑顔が広がり、もっとフラメンコを好きになってもらえたらうれしいです。スタジオは練習場所として貸し出しているので、フラダンス、ベリーダンス、ヒップホップなどさまざまなダンスをする方が利用されています。がんばっている姿を見ると、私もいい刺激をもらえますね。もちろん、レッスンの合間にライブ出演活動もしていますよ。素晴らしいアーティストやミュージシャン、ダンス仲間に出会え、共演することで活力をもらっています。
願いはいつか叶うはず
だからこそ、諦めない
いまは人に教えること、ライブで踊ることが活動のメーンになりつつあります。レッスンを受けることや短期講習「クルシージョ」に参加することは、自分をより一層高める機会であり、良い息抜きでもあります。同じように、踊りを通して人とつながったり、力を合わせて何かを成し遂げることも大きなパワーになりますね。スタジオのみんなとイベントに参加して踊るのもいいし、いつか私たちだけの発表会も開きたいです。可児市に素晴らしいアーティストや尊敬するダンス仲間を迎え、地元でフラメンコライブを催すのも夢です。そのために、もっと練習して自分に自信をつけて、フラメンコを奥深くまで理解したい。コンクールに出場して自分を試し、結果を出したいとも思っています。練習は嘘をつきません。努力しただけ必ず上達し、願いは叶うものだと信じています。私は踊り手としても先生としても未熟者ですが、理想とするフラメンコに少しでも近づけるように、これからも学び続けたいと思います。
