飛騨市に根付いた昔遊びの文化を伝承している田髙智枝さんは、「心から子どもが好き」と話します。「昔遊びの会」をはじめ、「どじょっこ劇団」や「まったり館」、「地域あそび広場」などの活動に携わり、親子の絆がより深まり、人々の輪が広がることを願っています。
子ども同士が関わりを持ち、
思いきり遊べる場を作りたい
私が子どもだった頃は、昔から伝わる数々の遊びがありました。例えば「飛騨おじゃみ」は、古川でかつて流行っていたお手玉遊び。そのほかにも、おはじきや陣取り、ゴム跳びなど、伝えていきたい昔遊びはたくさんあります。
世代を超えてそれらで遊ぶ「昔遊びの会」をしています。活動を始めたのは、ゲームなど室内で遊ぶ子が多くなった今、もっと友達同士で関わりを持ちながら全身を使って思いきり遊べる場が必要だと思ったからです。また、ひと昔前の遊びを伝えたい、残したいという気持ちも長年持っていました。
一番の喜びは、子どもたちの笑顔を見られることです。大きい子が小さい子の面倒を見たり、子ども同士がいい雰囲気のつながりをつくる様子を目にするのはうれしいですね。子どもが子どもらしく成長していく姿を見られることが大きな魅力です。
チャレンジ精神で実現させた
親も童心に返ることができる場所
活動は、「親御さんたちが会を支えてくれている」ということを、いつも感じます。参加する親御さんから100円ずつなど材料費を集め、毎回、お茶会をして会話を楽しみます。年1回、ケーキ作りやうどんを茹でるなどして、子どもと楽しむことも。親御さんも自然と童心に返って、お子さんと一緒になって遊ぶ姿は微笑ましいです。そして、親と子が共に遊ぶ場を作りたいと思ったことも活動を始めるきっかけのひとつだったので、うれしく思っています。
ほかにも、「子どもたちに生の舞台を観せてあげたい」との思いから、地域の主婦たちで発足した手作り人形劇団「どじょっこ劇団」や、赤ちゃんからお年寄りまでが集まって過ごす「まったり館」などの活動もあります。高齢者対象の「いきいき体操」のサポーターもしていて、どれもチャレンジ精神で一歩を踏みだして実現させた、楽しい活動ばかりです。
活動や仕事そのものが元気の源!
好きなことに取り組む幸せを実感
もともと保育士をしていたこともあり、現在、仕事として保育園の延長保育で週2回の勤務をしています。子どもに関わることなので楽しく、活動と同じように困難と感じることはほぼありません。強いて言えば、子どもたちの元気の良さに体力がついていかなくなってきたことぐらい。それでも大変だと感じることは少ないですよ。
子どもの素直さや可愛らしさ、無邪気さに、こちらが元気をもらっています。私の趣味は子どもと遊ぶことや何かを作ることです。遊び道具や人形、劇の衣装作りをしていると、徹夜でも満足感が得られるほど。毎日好きなことをして、息抜きさせていただいている感覚です。
どうしても忙しさが重なったときは、活動や仕事を楽しめることに感謝して元気を出すようにしています。家族は主人と娘と息子。主人はパラグライダー、息子は好きな沖縄の地で働いていて、娘はバックパッカーとして1年の半分は世界を巡っています。私を含め、家族全員が全力で好きなことに取り組んでいるんです。
子どもがのびのびと遊べる社会を
遊び場と共に人々の輪も広げたい
夢は、保育士さんや小学校の先生が遊びの大切さをもっと知ってくださり、その遊び方を習得して子どもたちに伝え、共に遊んでくださることです。あらゆる場で、子どもが子どもらしくのびのびと遊べるように、今後も遊び文化が広がっていくことを願っています。
私は、子どもたちの遊べる場がもっと必要だと感じていますし、遊びの場が広がることで、人々の輪も広がっていくのではと考えています。だからこそ、地域の子どもだけでなく、できるだけ多くの子どもたちに昔遊びを知ってもらいたいです。そんな中で、生きる力が自然に身についていくこともたくさんあると思っています。
現在は高山市や飛騨市を中心に活動していますが、声がかかれば可能な限り、さまざまな地へ足を運んでいます。子どもも親も、その場にいるすべての人が笑顔になれる昔遊びを、これからも全力で伝えていきたいと思います。