中津川市の和菓子店「伊那屋」の主人である武田明日香さん。大正14年から続く老舗でキャラクターケーキや洋菓子の販売など始め、新しい風を吹き込みながら更なるファンを増やしています。歴史ある家業の味を守りながら、チャレンジをし続ける武田さんに元気の秘訣を聞きました。
菓子職人の娘として
導かれるように目指した将来の道
家業が和菓子屋だったこともあり、子どもの頃からお菓子屋さんになることを夢見ていました。学生時代は教師やデザイナーという職業に憧れる時期もありましたが、自分が一番やりたいなと思ったのは、やっぱり家業を継いでお菓子作りをしていくことだったのです。
実際に、家を継ぐと決心したのは高校進学の時。昔は和菓子が苦手で店の和菓子はあまり食べませんでした。しかし、高校生の時に入っていた茶道部や授業でお茶菓子を口にして、和菓子が好きになりました。
現在は、和・洋菓子の製造や販売を専門に「伊那屋」の主人として働いています。話題の商品は、完全オーダーメードのキャラクターケーキ。もともとはお客様の声から生まれたもので、自己流のデコレーションを施してお出ししたところ、とても喜んでいただいたことがきっかけでした。
そこから徐々に口コミで広まり、今では少しでもリクエストにお応えしたいという思いから完全オーダーメードで作るようになりました。ちょっと難しいですが、ご要望があれば似顔絵も作っています。
見た目の可愛いさだけでなく、味にもこだわりを持っています。「おいしい!」とお客様の反応も良くて、リピーターの方も増えてきているんですよ。これからも伝統を受け継ぎ、新しいことに挑戦していきたいです。もっとたくさんの人にうちの菓子を届けたいですね。
地域活動にも積極的に参加
仕事と上手に両立する日々
平成23年に結成された「付知GINZA会」という団体で地域活動をしています。団は「この付近の商店街の旧道がさびれてきているのをなんとかしたい、若者も積極的に動かなければ」と思ったことがきっかけで発足しました。もともとは弟がメンバーだったのですが、弟が地元を離れるときに私が代わりにメンバーとして加入。私はオリジナルキャラクターの「さるまいくん」のデザインをしたり、広告の裏面や看板、Tシャツのデザインなどを手掛けています。
今は会計を担当していますが、会長や会計などの役割は2年程度で交代しています。それぞれ仕事や家庭があるので、夜9時ごろから集まって会議をし、活動との両立を図っています。GINZA会の仕事をすることで、自分の可能性が広がっていくのでとてもやりがいがあります。
大変なときにも幸せを見つける
大切なのは自分の気持ち
本業は不定休なため、休みが思うように取れないこともあります。しかし、それを辛いと思うことも少なくなってきました。お菓子作りは趣味でもあり、一番やりたいことを仕事にしているので「辛いなぁ」と感じることもそれほどありません。
お客様の反応が励みになるので、商品の感想や喜びの声を聞くことができると、作り手としてやりがいを感じます。この瞬間のために心を込めて菓子作りをしていることが一番の誇りですね。
字を書くことが好きで、看板や店のPOP、壁の飾りなども、すべて私が書いています。また、プライベートでもお菓子を作ります。ハロウィンやクリスマス、餃子パーティーなど、家族や友達とホームパーティーをよく開いて楽しんでいます。お客様だけでなく、家族など大切な人のためにお菓子を作ることはとても大切で、ストレス発散になるんです。
仕事が大変なときは、「大変だけど、楽しいこと」を自分で見つけると本当に楽しめるんです。私が大切にしている「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」という相田みつをさんの言葉があります。小さな幸せでもそれを「あぁ幸せだなぁ」と思えば大きな幸せになるということです。その幸せを感じられることが、幸せ。それは自分の心の感じ方次第だと思っています。毎日この言葉を考えながら過ごしています。