岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

たった一度の人生だから
自分に嘘をつかず
本当にやりたいことを実践
未来はきっと
切り開かれます


非営利活動団体 みらいろ 理事
中桐由起子(なかぎり ゆきこ)さん(下呂市)

【2017年4月20日更新】

豊かな自然に囲まれた下呂市の山里、上原地区で「地域おこし協力隊」として奮闘してきた中桐由起子さん。地域の温かい人々とともに、まちの魅力を発信し、次世代に繋ぐ活動をしています。女性が輝ける環境づくりにも挑戦。地域に根ざした活動が大きく評価されています。

激務の日々をリセットするため
自然と共生できるオーストラリアへ

 各務原市出身ですが、父が転勤族だったため静岡県三島市や神奈川県横浜市で子ども時代を過ごしました。大学は多摩美術大学に進み、映像や写真を習得。卒業後はテレビのCM制作会社に就職しました。憧れの仕事でやりがいもありましたが、まさに激務の日々でした。転機は東日本大震災です。震災で大変な中、仕事を続け、早々に帰宅することもできませんでした。一度、生活をきちんと見直そうと、7年間勤めた会社を辞めてリセットしました。
 「本当にこのままでいいのかな...」という気持ちを抱えていた時に、岡本太郎の展示会で受け取ったチケットに書かれていた「人生に命を賭けていないんだ、だからとかく傍観者になってしまう」という言葉に、背中を押されたような気がします
 29歳でオーストラリアに渡り、英語と、自然と共生する持続可能な暮らしをデザインする「パーマカルチャー」を学びました。次はもっともっと自然の中で生きることを知りたいと、ニュージーランドへ。農家のゲストハウスで働きながら滞在させてもらいました。オーナー夫妻は強い意志を持った人たちで、「人生は自分で創っていける、好きなことをやったらいい」「なんとかなる」という姿勢に感銘を受けました。家畜を育て、野菜を作り、自然の恵みを受けて生きていく。海外のバックパッカーたちとも出会い、交流するなかで日本に関するさまざまな質問を受けました。しかし、満足に答えられない自分に驚き、今度は日本の自然の中で自分の国の伝統文化を学びたいと32歳で帰国しました。

自然豊かな下呂市上原地区で
地域おこし協力隊として活躍

 帰国後、地元のために何かできないかと考えました。インターネットで地域おこし協力隊を知り、下呂市に応募。私が赴任した上原(かみはら)地区は、下呂温泉街から車で約15分の農村集落。四季折々の豊かな自然に囲まれたところです。
 もともと地域の有志によって立ち上がっていた「上原プロジェクト」に参加し、本格始動。田植えから稲刈りまで、誰でも参加可能な米作りなどの農業体験、郷土料理作り、ホタル観賞などを企画し、そのすばらしさをインターネットでも発信しています。
 また、地域の子育て支援事業の一環で、放課後アフタースクールを開校しました。地域の高齢者を中心に、交代で18時頃まで子どもを見守り、働く親をサポートしています。次なる夢は古民家を改装し、農家民宿「ソラノイエ」を作ることです。日帰りだけではなく宿泊して、夜や朝の自然も楽しめるようにしたいです。現在、地域の有志と大がかりなリフォームに挑戦しています。もともと助け合いながら暮らしていく文化がある地域なので、アフタースクールも古民家の改装も、助けによって実現に向かっています。その心意気に感動し、感謝の思いでいっぱいです。何よりすばらしいのは、みなさん楽しんでやってくださること。ニュージーランドの夫婦の笑顔を思い出しました。

下呂市内で女性も輝く
仕事、環境、暮らしをつくりたい

 平成28年11月、下呂市内に住む子育て世代を中心とした女性10人で「NPOみらいろ」を立ち上げました。"みらいろ"という名前には、女性も希望したジャンルで活躍できたらいいな、一人ひとりいろんな色で輝けたらいいな、という願いがこもっています。子育て世代の女性が望む「子育てをしながら働きたい、学びたい、たくさんの時間を家族と過ごしたい、社会に貢献したい」という思いを応援し、働き方を柔軟にとらえながら、地域、企業、行政をつなぐ役割ができたらいいと思っています。
 女性の職場環境についてのアンケートをとり、課題や優良事例を把握。「子育てと仕事の両立モデル」についての調査や、セミナーなども開催しました。また子育て世代をつなげる交流の場、働く場づくり、 若者応援、下呂市魅力情報の発信などにも取り組んでいます。「自分らしく暮らすことができるまち」を実現できたら、次世代を担う若者たちもこの地で暮らすことに夢を持ってもらえると思うのです。

手探りの連続だから面白い
きっとなんとかなるから挑戦してみる!

 市外からやってきた私は、ここで生まれ育った人に比べて、このまちの魅力を感じやすい。3年前にひとりで飛び込んできましたが、地元の人に支えられ、活動の輪を広げることもできました。本当に地域のためになっているのかと悩むこともありますが、これからも大好きな上原地区で、みんなと一緒に新しい可能性に挑戦していきたいと思っています。