岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

情報の知識で地域に貢献
自分に合ったスケジュールで
相談者から学びながら
楽しんで勉強を続ける


NPO法人パソコンまるごとアシスト 理事
長谷川郁代(はせがわ いくよ)さん(大垣市)

【2018年3月23日更新】

NPO法人パソコンまるごとアシストの理事を務める長谷川郁代さん。週2回開催するICT相談や、ICTリーダー養成講習会、幼児教育ICT活用指導支援など、大垣市からの委託業務も多く、パソコンだけでなく、情報に関わるさまざまな活動をしています。

支援の枠を広げるために
NPO法人を立ち上げる

 NPO法人パソコンまるごとアシストの活動は、週2回開催するICT相談センター、訪問型のICT相談・研修、シニアiPad講座や、ICTリーダー養成講習会など多岐に渡ります。中にはiPadを使った幼児教育ICT活用支援のため、大垣市内の保育園や幼稚園を回ってWi-Fiの設定をすることも。他にも、地震で市役所が使えなくなった際の災害協定を結ぶなど、大垣市と委託契約を結び、ICTに関わるさまざまな活動をしています。
 設立は15年前。大垣市情報工房で活動する情報ボランティア「情報サポーターズクラブ(JSC)」の中で、情報工房だけに限らず、もっと地域住民の支援をしたいと考えたメンバーが集まって立ち上げました。現在は会長が転勤で遠方にいるため、私がパソコンまるごとアシストのまとめ役となっています。
 活動する際に気を付けていることは、メンバーに強制をしないことです。「この日に来てください」と限定するのではなく、1年分の業務スケジュールをメンバーに示して、来られる日にチェックを入れてもらうようにしています。メンバーはあくまでボランティアなので、無理がない程度に、主体的に動いてほしいと思います。自分のペースで行うことが、長く続けるための基本です。
 
相談を受けて学ぶ
「わからない」という勇気を

 最初にはじめた事業は電話相談です。しかし、パソコンについて詳しくない人に、電話で現状を正しく説明してもらうことはできません。ならば実際に自宅へ伺って対応しようと、出張相談を始めました。現在は大垣市の委託を受けて訪問型の相談・研修を実施しています。パソコンの知識がなく、電話で正しい状況を説明できない人だけでなく、育児や介護で外出ができない人などにも対応します。
 その中でも勉強になったのが、目に障がいがある方からの相談でした。パソコンを設定してほしいという依頼でしたが、そもそもモニターとマウスがない。マウスを使わずに設定する方法が全く分かりませんでした。同じ障がいがあるご友人に連絡を取ってもらって、教わりながら設定をしました。私は教えに行ったはずなのに、逆に教わってしまったのです。
 たくさんの相談を受けていると、わからないことはたびたび出てきます。そんな時は「わからない」とはっきり言うことが大切です。無理に知ったふりをすると後が大変ですし、「だと思います」という曖昧な表現では相談者の信頼を得られません。「わからないので、今度来るまでに調べておきます」といえば、相手も納得するし自分も楽になります。
 わからないことを勉強することで、また新しい知識を得られます。そうやって日々勉強を重ねています。

自分に必要なことを
楽しみながら学ぶ

 私はもともと機器が好きで、家電メーカーに勤務していました。結婚後は東京に移って主婦をしていましたが、その後また大垣市に戻り、現在はパソコンまるごとアシストの活動に注力しています。機器のなかでは、特にコードを集めるのが好きで、「趣味のコード」と呼んでたくさんコードを持っています。
 やはり学ぶには、楽しむこと、好きでいることが一番大切。自分に役立つものだと、人は自然に学んでいきます。講習でエクセルを教えるときも、家計簿など、その人に必要なものを作ってもらうようにしています。作るのは見本の家計簿ではなく、自分の家の家計簿です。食費の中にさらに「モーニング代」を作るなど、みなさん楽しみながら自分用の家計簿を作って技術を身につけています。

1度の成功体験が自信に
人前で話すコツをつかむ

 パソコンまるごとアシストの今後の課題は、代替わりです。現在私は64歳ですが、メンバーは私より年上の人がほとんどです。どんな組織も立ち上げるより、続けていくのが難しい。一方で、新しい人がたくさん入ればいいというわけでもありません。地域の力になりたい、という同じ志を持った人を新たに勧誘できればと考えています。
 人に教える、人前で喋るということに物怖じする人は多いですが、実はそんなに難しいことではありません。ちょっとしたコツさえつかんでしまえば後はとても簡単です。1度の成功体験が自信につながり、「人前はちょっと」と言っていた人が自分から話し始めるようになります。
 今後はそういう人々の背中を押して、パソコンまるごとアシストの継続に繋げていきたいと考えています。