岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

奏者、教育者それぞれの視点から
感じる音楽の魅力は
「人との繋がり」
新しい取組で輪を広げる


ソプラノ歌手・リトミック教室 わおんのいえ音楽講師・ピアノ講師
佐野千江美(さの ちえみ)さん(北方町)

【2018年4月27日更新】

ソプラノ歌手、リトミック教室 わおんのいえ音楽教師、自宅でのピアノ講師など、奏者と教育者の二つの立場で音楽に関わる佐野千江美さん。「人との繋がり」を大切にし、美術館内での音楽演奏など、自ら人を集めて演奏会を企画しています。

音楽の魅力は人との繋がり
お客さんを笑顔にする演奏を

 私は3歳の頃からピアノを始めました。そのまま音楽の道に進み、岐阜大学を卒業後、愛知教育大学の大学院に進学しました。声楽を始めたのは、大学入試がきっかけ。教育大学では一つに特化するのではなく、音楽全般の知識が必要で、声楽も試験科目の一つでした。もともと興味があったので、大学合格後も自分で声楽の練習を続けました。
 現在はソプラノ歌手として、本巣郡北方町きらりホールなど、岐阜県を中心に活動しています。息子と娘がいるため、宿泊が必要な遠方にはほとんど行きません。
 音楽の魅力は、人との繋がりができること。歌には伴奏が必要なので、一人では演奏できません。同じ曲でも、楽器や奏者によって生まれる音楽は全く違います。その時々に集まったメンバーだからこそできる音楽を協力して作り上げ、お客さんが笑顔になる演奏ができた時が一番うれしいです。

自信と表現力を育む
音楽での幼児教育

 リトミック教室 わおんのいえでは、音楽を聴きながらのベビーマッサージや、リズムに合わせたステップなど、音楽に反応するためのレッスンをしています。ダンス教室と間違えられることが多いのですが、レッスンの目的は聴覚と表現力を育てること。3歳になると、「くま!」「うさぎ!」と、ピアノの演奏から浮かんだイメージを口にするようになります。
 グループでレッスンをするので、幼稚園や保育園に入園する前に友だちとの関わり方を覚えられます。集団の前でためらいなく発表する自信や、自分を出すための表現力を身につけられるので、将来音楽の道に進まない子どもにも、音楽教育はとても有効です。
 リトミック教室 わおんのいえを卒業後に、自宅で開いているピアノ教室に通ってくれる子どももいます。自宅の一室で教室を始めたのは、7年前。娘が幼稚園に入園するタイミングでした。インターネットやチラシでの生徒募集はしておらず、子どもの友だちなど、知り合いとの繋がりから生徒が集まってくれています。
 生徒のほとんどが幼稚園児から中学生ですが、受験のため、高校生にも声楽を教えています。自宅だからこそレッスンとプライベートの線引きをはっきりするため、レッスン中は来客や電話には応対しないようにしています。

家族の協力で仕事にまい進
余裕をもって楽しむのがコツ

 共働きなので、家事は夫と分担しています。帰りが遅くなる時は作り置きした食事を温めて食べてもらうなど、子どもにも協力してもらっています。小学生の娘はまだまだ寂しいようで、遅い日でも夕飯を食べずに私の帰りを待ってくれています。
 仕事の合間を縫って行う練習では、私の歌に違う歌を重ねてきたり、楽譜を閉じてしまったりすることも。大変な反面、甘えてくれるのがかわいらしく、うれしくもあります。娘も音楽をやっているので、私の公演を見に来るなど、音楽でコミュニケーションがとれています。
 息抜きは、美術館や図書館に行くことです。静かな空間でゆったりと過ごす時間は、普段の忙しさを忘れられます。家事も仕事も無理をせず、心に余裕をもって楽しむのが長く続けていくコツです。

新しい挑戦で
音楽の輪を広げる

 今後は、もっと音楽の輪を広げていきたいです。以前はピアノ奏者としかアンサンブルをしていませんでしたが、最近はクラリネットやギターなど、いろんな楽器と合わせています。それぞれの楽器の特徴に合わせて、演奏を変化させる必要がありますが、新鮮でとても面白いです。組み合わせを変えれば、音楽の幅もぐっと広がります。
 また、演奏する場所にもこだわり、音楽とは別のジャンルともコラボしたいと考えています。例えば花の販売会。クラシックの演奏会と聞くと身構えてしまう人も、販売会などの身近なものであれば足を運んでくれるかもしれません。展示される花に関係のある曲を選べば、花を好きな人がクラシックに興味を持つように誘導できます。
 病院や施設などで演奏をするときも、童謡などのみんなが知っている曲を多く取り入れつつ、クラシックの曲を数曲入れています。耳にクラシックを馴染ませるための試みです。
 すぐに結果を出すのは難しいですが、近くにあるチャンスを逃さず、少しずつ音楽で繋がる人の輪を広げていきたいと思っています。