岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

子育て支援だけでなく
赤ちゃんから高齢者まで
皆が生き生きと暮らせる
居場所づくりを目指して


一般社団法人せいわグループ 代表理事
肥田秀子(ひだ ひでこ)さん(瑞浪市)

【2018年6月12日更新】

せいわグループは2017年に設立された社団法人で、瑞浪市の子育て支援を目的としています。未満児を対象にした「せいわ保育園」の運営と、3月にオープンした「みずなみママカフェmimi」の運営を主として活動。代表の肥田秀子さんは、園内の見回りや事務仕事、カフェでの接客などの業務を担当し、毎日を生き生きと過ごしています。

県外出身だからこそ見える
瑞浪市に無い子育て支援を

 静岡県清水市に生まれ、3兄弟の長女として育ちました。子ども好きな母は近所の子どもをよく預かっており、私も家に来る子の面倒を見ていました。そんな経験から自然と保育士を目指すようになりました。高校卒業後は、中京学院短期大学部保育科に入学。その後保育園に就職し、一度愛知県岡崎市で別の仕事をしたのち、瑞浪市に引っ越してきました。
 瑞浪市に来てからは、当然あると思っていたものが無いことに驚かされました。小学生の頃からサッカーを続けていた私は、子どもにもサッカーを経験してもらいたいと考えていたのですが、サッカークラブがありませんでした。そこで、平成2年に瑞浪市初となるサッカークラブ「瑞浪スパローズ」を設立。自らが監督になり、指導を始めました。
 次に驚いたのは、学童保育がないこと。「土岐共同保育所たけのこ園」で働いている中、学校週5日制施行を間近に控えていたときでした。私自身、未就学児を持つ親への支援は保育士としてできる限りしてきましたが、当時はまだ、児童を持つ親への支援はありませんでした。共働きの家庭で、終業後に子どもの面倒を見てくれる人がいない場合は、仕事を辞めなくてはいけないケースもありました。
 平成14年3月、学童設立のため保育所を退職し、翌月、保育士の仲間とともに、瑞浪小学校に瑞浪市初の学童保育「すずめっこ学童クラブ」を設立。6年かけて市内の校区に学童保育を増やしていきました。

せいわ保育園を軸に
理想の施設づくりの一歩

 学童保育の傍ら、ヘルパーの資格を取得。在宅ヘルパーとしても経験を積みました。その中で、本当に必要な施設とは、乳幼児から高齢者、若い人、障害のある方など、みんなが一緒に過ごせる居場所だと考えました。モデルは富山県にある、対象者を限定せず、支援を必要とする人を誰でも受け入れる共生施設「富山式デイサービス」です。多世代が触れ合う施設を瑞浪市にも作りたいという夢が広がっていきました。
 学童がひと段落すると、介護施設の中に保育園をつくるというビジョンを持つ社会福祉法人千寿会による愛保育園の立ち上げに参加。平成26年からは園長を務めました。たくさんの貴重な体験をさせていただきましたが、やはり自分自身で保育園を手がけたいと考え、平成28年に退職。小規模保育事業所として認可を受けるために、せいわ保育園の跡を継ぐ形で準備を始めました。
 第一に考えたのは、働く保護者を支えること。第二に、子どもと親のふれあいの時間を創出することです。子育てしながら働く人が増えるのは大切ですが、少しでも赤ちゃんがお母さんと一緒にいる時間をもってもらいたいと思い、悩んだ末、対象は生後6カ月、休日は閉園と決めました。
 私たちが保育園で預かるのは、本来は親が世話をするのが理想的な、0歳から2歳の子ども。そんな大切な時期の子どもを預かる者として、どうすればいいかをいつも考えています。考える力や努力する力など、勉強では身に付かない非認知能力を育てるため、私は体を動かして体験する保育を目指しています。

保護者のための癒しを提供
子育ての拠点となるカフェ

 瑞浪市文化センターのカフェスペースを紹介されたのは、偶然にもせいわ保育園の準備と同じタイミングでした。以前からママが集まるカフェを作ろうと考えていましたが、自分一人では何もできません。賛同してくれる有志に声をかけ、みんなの協力のもと、とにかくやってみようと、店内の整備から手を付けました。保育園とカフェのオープンに向けて駆け回る毎日。病気になったり、孫ができたりと私にとって激動の一年でしたが、仲間やこれまでにお世話になった人たちに助けられて、なんとか形になりました。
 「瑞浪」の「み」や「みんな」の「み」、「見つめ合う」の「み」、「未来」、「魅力」といった、たくさんの「み」を込めて「みずなみママカフェmimi」と名付けました。親子でくつろげる空間にしようと、子どもの遊び場を確保。定期的に絵本の日として読み聞かせ会や、誕生日会、ハロウィンパーティー等イベントも開催しています。
 2月のプレオープンと、7月の夏祭りという大きなイベントでは、巨大迷路をつくったり、大道芸人を呼んで技を披露してもらったりと盛り上げ、来場者は800人を超えました。ネイルやハンドマッサージ、アロマの先生を招き、ママのためのワークショップを展開。スタッフと力を合わせて、親も子どもも楽しめるように企画しました。

0~100歳までの人が集まる
施設の設立を2年後に夢見て

 今の夢は、2020年までに瑞浪市内に、富山県にあるような対象者を限定しない施設を作ること。自然と触れ合えるような場所で古民家を改築して施設にできたら素敵ですね。おじいちゃん、おばあちゃんが小さな子どもと一緒に畑を世話したり、学童の子どもたちが「ただいま」と言って集まってきたりする施設ができたら良いなと思っています。
 考えるより行動する性格で、家族を顧みず突っ走ってきた時もありましたが、その家族が私を理解し協力してくれたおかげで、一つずつ夢を叶えることができました。
 自分の子どもたちは皆自立し、家庭を持ち安心した今、法人として23人の社員さんを抱え責任の重さを痛感しています。さらに大きな夢や法人としての目標に向かって、今後も走り続けていきたいと思っています。