岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

働きやすい仕事環境と
ともに成長できる家族
人を育む地域を目指し
「ぎふモデル」を作る


「オフィス リブラ」代表 「岐阜OYA-KO共育委員会」代表
上松恵子(うえまつ けいこ)さん(岐阜市)

【2018年6月19日更新】

「地域の放課後を考えるワークショップ」など、地域の人々が地域について考え、つながるイベントを開催している「岐阜OYA-KO共育委員会」代表の上松恵子さん。仕事では、企業向けにワーク・ライフ・バランスのコンサルタントや、女性のキャリア支援のアドバイスなどを実施。「地域」「仕事」「家族」の選択肢を広げて「母としてはたらく」を楽しめる「ぎふモデル」の構築を目指しています。

対話によって魅力を発見
会社に合った改善方法を提案する

 私は現在、企業向けにワーク・ライフ・バランスの研修やコンサルティングをする傍ら、「岐阜OYA-KO共育委員会」で代表を務めています。
 名古屋や大阪の広告代理店で10年間勤務したのち、学校法人に転職しました。地元での仕事は充実していましたが、小学1年生になる子どもを預けられる学童保育が見つからず、退職。女性活躍推進を声高に叫ぶ社会と、自身が置かれている状況とのギャップに問題意識を強く感じました。
 ワーク・ライフ・バランスのコンサルタントをはじめたのは、平成29年度から。ワーク・ライフ・バランス推進の第一人者である小室淑恵さんの講演を聞いたのがきっかけでした。制約がある社員も活躍できる事例に共感。子育てや介護をしながら働き続けるための環境を整えたいと、小室さんが代表を務める「株式会社ワーク・ライフバランス」の加盟コンサルタントになりました。現在は「オフィス リブラ」の代表を務める傍ら、複数の企業のコンサルティングをしています。
 働き方改革は会社によって課題や解決方法がさまざま。社員と対話を重ねて現場の課題を知り、会社に合った改善策を考えなければなりません。大変な仕事ですが、「子どもと話す時間が増えた」「家族で一緒に夕飯を食べられるようになった」との声を聞けるのがやりがいです。

親と子の自立を目指し
地域のつながりを活かす

 「岐阜OYA-KO共育委員会」では、大人と子どもの「自立」を目標としています。自立とは、自分がありたい姿に向かって自分で決断して行動し続けること。地域社会でのつながりを豊かにし、親と子、地域が共に成長していける関係を作りたいと考えています。
 2015年に、地域の母親5人を中心に設立。当時は仕事や育児で忙しい人が多く、毎週末、朝5時にファミリーレストランに集まって会議をしました。
 「地域の子どもたちのために、何ができる?」をテーマに、初となるイベントを開催。約70人が集まり、意見を出し合いました。その後は活動の認知度が高まり、地域の子どもたちに体験や学びを提供してくださる「市民先生」も増えていきました。
 現在は、日本や地域の伝統を体験する「日本の心を知ろう!実行委員会」、岐阜の伝統文化を体験し、自然の中で遊ぶ「岐阜体感遠足」、未就学児の保護者が先輩ママから学ぶ「小1の壁講座」など、参加者の希望に合わせて活動の幅が広がっています。

預けたくなる学童保育で
仕事への意欲・効率を上げる

 力を入れているのは学童保育所の設立。選択の幅を広げるために安心で学びの質が高い学童保育を目指しています。まずは、入所を希望する全員を受け入れる体制を整えて欲しいと、教育委員会や市議会議員に母親の声を届ける場を作りました。
 他県の先進事例を視察するためにはじめたクラウドファンディングは、募集締め切りまで約1カ月を残して、目標金額を達成しました。東京や群馬で見た学童保育の現場では、母親や子ども、地域の人々の明るい表情が印象に残っています。
 保護者が、「ここに預けたいから働きたい!」と思える場所にしたい。ほかに預ける場所がないから仕方なく預けるのと、「ここなら子どものためになる!」と思って預けるのでは全く意識が違います。子どもと保護者双方が納得した学童に預けられれば、「子どもを他者に預けて仕事をしている」という罪悪感なく仕事に取り組めます。そうして仕事の意欲や効率が上がり、仕事も家庭も前向きに取り組めるようになるはずです。

身近な人と頼り合える関係を
小さな一歩が協力の輪を大きくする

 「地域」「仕事」「家庭」には、3つのうち1つがよくなれば、そのほかもよくなる相互関係があります。「オフィス リブラ」では「仕事」を、「岐阜OYA-KO共育委員会」では「家族」と「地域」を育て、それぞれの人が生き生きと暮らせる岐阜のまちづくりに貢献することが私の目標です。それが「ぎふモデル」として全国に拡がれば嬉しいです。
 忙しい日々の中ですべてを完璧にする必要はありません。まずは応援し合い、頼り合える人を身近につくりましょう。「自分ひとりでやらなければ」という意識から抜けられれば、一気に心が楽になるはずです。
 意識と行動を変えることは小さな変化かもしれませんが、それがみんなの習慣になって、街の文化になれば良いと思います。そうすれば、次の世代にも安心してバトンがつなげます。すべての人が無理をせず、自分のありたい姿に合わせた働き方と生き方、そして、前向きな地域との関わりができるように、私は今後も動き続けていきます。