岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

“ぱっ”と大輪の花が開くように
私の輝く時がきっと来る
建築業界でも女性が
活躍できることを
もっと広めていきたい


株式会社市川工務店 建築工務部デザイン設計課 一級建築士
小澤身友希(おざわ みゆき)さん(岐阜市)

【2018年6月 8日更新】

岐阜市内の工務店で働く一級建築士の小澤さん。入社11年目の現在、工場やビルの建築設計に携わり、より大規模な建築物の設計を担うため、構造設計一級建築士を目指しています。また、平成28年から社内の女性技術者を結集した「けんけんぱの会」初代会長に就任。メンバーとともに女性が働きやすい職場づくりや、仕事への意識向上に取り組むほか、学生たちに土木建築の世界でも女性が活躍できることをアピールし、その魅力を伝える広報活動にも励んでいます。

「自分の家を建てたい」という
私の背中を押したのは父でした

 小さな頃から私は「いつか自分の家を建てたい」と、口にしていました。水道工事事業者である父の勧めもあり、工業高校の建築学科に進学。しかし建築学を学ぶうちに、建築物の構造や自然災害による耐性などを習得する構造力学に興味が傾き、一般住宅から鉄筋コンクリートや鉄骨構造が起用されるビルやマンション、工場などの大きな建物を建てる「構造建築」に惹かれました。卒業後はそうした建築を請け負う市川工務店に就職し、今に至っています。
 幸いなことに、女性だからと偏見を持たれることのない働きやすい社風で、多くの先輩や協力業者さんからもご指導をいただき、実践で経験を重ねてきました。入社7年後には一級建築士資格を取得。11年目の現在の仕事内容は、お客様との打ち合わせ、図面やパース(完成予想図)の作成、行政などに提出する建築申請手続きなどの業務です。

設計の仕事の魅力は
建物が完成した時のうれしさや喜び

 デザインや設計の仕事の魅力は、何もないところから形あるものを創造できることです。そのため、建物の完成したときのうれしさや喜びは何度味わっても感動的。しかし、建物の良し悪しは完成直後でなく、何十年後かに決まります。だから、私たちの責任はとても重い。いつまでも不具合や違和感がなく建物が使用してもらえるように造ることが基本です。でも一方で老朽化による改修や、事業拡大などによる増築も請け負うなかで、時代とともにどんどん建物に求められる機能性が向上しているのを感じています。それについて行くための勉強も必要になりますが、時代の最先端を見つめ、常に新しいことに取り組めるのもこの仕事の魅力だと思います。
 苦心するのは最新の機能性や意匠性がありながら、理想とする工期内で計画し、予算内に収め、お客様に満足いただくこと。人間力やコミュニケーション能力も含めて私の力が試されるので、これまでに培った知恵や技術のすべてを注ぎ込み、総合的に満足していただける提案を心がけています。

建築の現場だって花開く!
女性技術者の会「けんけんぱ」

 男社会とされる建築業界ですが、私の勤める市川工務店は、女性に対する偏見や差別を全く感じさせない会社です。平成21年には、市から男女共同参画優良事業者として表彰され、これまでに厚労大臣から子育てサポート企業の認定を、県からワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業の認定をいただき、女性社員にとって働きやすい職場環境が築かれてきました。しかし、実は女性社員同士、特に技術者同士は働く部署がバラバラで、つながりやコミュニケーションがなく、実状や問題点を把握することができなかったのです。そこで専務取締役より提案があり、女性技術者の私たちが中心となってこの課題を解決する「けんけんぱの会」を平成27年に立ち上げました。
 「けんけんぱ」ですが建設業界の"建=けん"に由来し、昔から伝わるあの遊びのように一歩一歩のステップアップできるように、そして女性たちが各現場で"ぱっ"と花開くようにとの願いが込められて命名されました。定期的に会を開き、育休・産休制度についてなど、さまざまなテーマで意見交換。異職種間、世代間の交流を楽しみ、さまざまな経験談も交えて仕事への意識向上につなげています。この会が大切にしたいのは、だれもが気軽に発言でき、本音が聞き取れる場所であること。回を重ねるたび、会のムードが良くなってうれしいですね。
 この1年間の活動実績としては、以前からあった多目的ルームをリフレッシュルームに改修。仕事中でも息抜きや気分転換ができるスペースにしました。また、土木建築の仕事は女子にもできる仕事であることをアピールするため、県の建設業組合が主催する女子高校生限定バスツアー内にモルタルでの小物入れ作りを提案したところ、女性目線のアイディアが見事採用されました。今後も入社希望者や、この業界への志望者を増やすためのPR活動に、仲間と一緒に積極的に取り組みます。

婚活も大事、かな。でも今は
構造設計一級資格取得が目標

 今、地元の関市で父母と愛猫と暮らしています。最近はまっているのがミシン。図書館によく行くので、借りる・返す本を入れるリュックを自分でつくってみました。プレーンですが、自作ですし、とても気に入っています。ヨガも好きですし、会社の先輩たちとテニスにも出かけます。身体を動かすと体調が整っていいですね。
 将来はもちろん結婚したい!それならば「婚活したら?」と言われそうですが、追い詰められている感じはなく、地元の山や川のある自然の風景や、両親との暮らしが落ち着くので離れられない気がします。それよりも自分の時間があるうちに勉強して、構造設計一級建築士資格を取得しておきたいし、より大規模な建造物をこの手で設計したいです。10代からの夢ですから、必ず手掛けたいと思います。
 友人たちからは、よく「まじめな人」といわれます。自他ともに認める短所は忘れっぽいところ。親にも注意されます。でも、嫌なこともすぐ忘れるので切り換えや立ち直りの早さには自信があります。短所でもあり、長所でもありますね。