岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

バスの運転手を続けられるのは
夫の協力があってこそ
誰もができない仕事だから
やりがいを感じています


北恵那交通株式会社
三浦泉(みうら いずみ)さん(中津川市)

【2018年6月22日更新】

「乗客にケガをさせない」「車内事故はすべて自分の責任」を信条に、中津川市で路線バスの運転に従事する三浦泉さん。「女性の運転手がもっと増えるとうれしい」と話し、定年まで仕事を全うできるよう、初心を忘れず安全運転を心がけています。

数々の職種を経て運転手に従事
女性への職場の配慮が働く意欲に

 バスの運転手を仕事にしたのは、以前勤めていたガソリンスタンドの上司の言葉がきっかけ。大型二種の免許を取ってバスを運転するようにアドバイスをくださったんです。危険物の免許を持っていたので、タンクローリーに乗ろうと思ったこともありますが、時間帯の関係でバスの運転手を希望しました。工場勤務やタクシー運転手も経験し、49歳でバスの運転に従事。片道1時間半をかけて土岐市のバス会社に3年半通勤しましたが、家庭の事情で職場を地元に移しました。現在は通勤時間が片道30分の北恵那交通株式会社でお世話になっています。女性社員への配慮がさまざまな場面で見られるので働きやすく、ありがたいです。休憩室は男女が別なので、気楽に休めます。
 以前のバス会社では、土岐市と多治見市、瑞浪市で路線バスを運転していました。土地勘がなかったので、外国の道を運転している感じで未知の世界に入り込んだようでした。現在は地元の道なので勝手が分かっているし、通勤時間が短いので、精神的に楽になりました。雪が多い地域や坂道を運転する時は、タイヤチェーンが不可欠。以前は鉄のチェーンだったため重くて大変でしたが、今は会社の配慮で軽量チェーンを使っています。

夫の協力があって続けられた
乗客の命を預かる責任ある仕事

 「乗客にケガをさせない」「もらい事故以外は全て自分の責任」が、私のモットー。「人の命を預かって仕事をしている」と、いつも自分に言い聞かせています。腰を痛めた方が乗車した時、私が荷物を持ち、車内が揺れないよう道をゆっくり走ったら、お礼の手紙をいただけたことがあります。
 泊まり明けで勤務したり、早朝から仕事があったりで、勤務時間は不規則。働き続けられるのは、夫の協力があってこそ。夫が朝の味噌汁や夕飯をつくり、私はつくり置きできるおかずを担当するなど、互いに協力しています。
 子どもは独立して、現在は主人の両親と4人暮らし。年始は元旦から働きましたが、家庭も大事にしたいので年末には休みを3日間もらいました。大掃除はもちろんして、おせち料理を7品以上つくりました。

目指すは安全運転と定年退職
乗客との交流が元気の源

 仕事で嫌なことがあっても、寝て食べれば気持ちをリセットできますし、時間をおけば立ち直れます。それでも精神状態が優れない時は、気持ちを表に出さないよう心がけています。休憩時間が長い時は、気分転換を兼ねて歩くことも。お客様から中津川市の観光名所を聞かれても困らないよう、下見を兼ねて歩いて訪ねたこともあります。
 バスの運転は誰もができることではないので、自分なりに上手く運転ができた時や、お客様から「上手だね」とお褒めの言葉をいただいた時は、うれしくなって「やった」と心の中で叫びます。運転中と休憩のメリハリがきちんとつけられるので、居心地のいい職場です。
 人手不足だと感じますが、体力的には辛くありません。不規則な勤務時間がネックですが、性別問わずできる仕事だと思います。女性のバス運転手が、もっと増えればうれしい。そのためにも、女性特有の体調などが勤務中の支障とならないよう、フォローできる環境を整えていくべきだと思います。
 初心を忘れず、健康管理と安全運転を心がけながらこの仕事を全うし、無事に定年を迎えたいです。