岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

変化を嫌わず、でも
変化を追い求めすぎるのはだめ
残すべきものは残していく
そうすると、視野は広くなり
新たな道が開けていきます


豊木認定こども園・園長
土屋昌子(つちや あつこ)さん(揖斐郡大野町)

【2018年6月14日更新】

認定こども園とは、保育園と幼稚園の長所と機能を併せ持っている園のこと。双方を一体化させ、幼児教育と保育のさらなる充実を図っています。揖斐郡大野町にある認定こども園「豊木認定こども園」の園長を務めているのが土屋昌子さん。園児の安全に気を配りながら保護者の子育てをバックアップし、園の運営を担っています。

認定こども園に移行
就園前の親子をサポート

 認定こども園は、幼稚園と保育園の認可を持つ幼保連携型のほか、幼稚園型や保育所型、地方裁量型があり、保護者が働いている・いないにかかわらず、利用できるのが共通の長所です。各園の教育方針や保育目標に沿って、保護者は園を選択できます。
 認定こども園の役割の一つに、未就園児とその保護者を対象とした、就園前の相談の受け付けと、園内の遊び場提供があります。就園前に園の雰囲気を体験してもらうのを狙いとしていますが、来園した保護者と子ども同士の交流を育むほか、地域のつながりの希薄化で孤立しがちな保護者をサポート。多くの保護者から「就園前の支援は心強い」といった声をいただいています。

のびのびと過ごす園児たち
海外の教育法を導入する

 平成28年度、豊木保育園から豊木認定こども園へ移行。保育室内にはロフトやソファを設置し、家にいるかのようなリラックスできる空間作りに努めています。家にいるような安心感があるため、園児は好奇心旺盛に遊び回ります。小さな失敗や成功を繰り返しながら、いつも楽しそうです。
 3・4・5歳児クラスのほか、0歳児や1・2歳児のクラスも設置し、未満児クラスは担任と、いつも同じ保育教諭が1年間、担当。食事・排泄・睡眠については、母子関係のように1対1で接し、心身ともに成長をサポートしながら愛着関係を築いています。
 3歳児からの教育には、オランダ発祥といわれるピラミッドメソッドを取り入れています。4つの基本概念(子どもの自主性〈やる気〉・保育者の自主性〈働きかけ〉・寄り添うこと・距離を置くこと)を重点に置き、決断力と考える力など園児の自主性を育んでいます。

日々模索しながらまい進
最善の教育方針を取り入れる

 園では、積み木や絵本などの項目を書き出して、一覧表を作成。「積み木で遊びたいな」と思った園児は、自分の名前が書かれた磁石を一覧表内の枠に置きます。もし一つの項目に集中してしまったら、園児同士で話し、譲り合い、解決して遊びます。子どもたちの自主性に任せ、保育者は静かに見守っているんです。
 今でこそピラミッドメソッドと出会い、模索しつつも教育に取り組んでいますが、園長に就任したばかりの約15年前は試行錯誤を繰り返していました。前園長とは異なる教育方針を取ろうと、変化ばかりを追求。それが原因なのか、私が企画した行事は失敗したり、職員と上手く意思疎通が取れなかったりと、スムーズに園の運営ができていませんでした。
 就任から5年が経った頃、ピラミッドメソッドと出会いました。「残すべきものは残し、次の世代に伝承していくのが大切」だと気がつき、視野は広がっていったように思います。園児にとって必要なものは何かを常に考えて行動し、独自の保育と教育プログラムを開拓できるようになりました。

子どもの笑顔でいっぱいの
店作りを目指して突き進む

 休みの日は、頭のスイッチをオフにするようにしています。サッカー少年団に所属している小学生の息子の練習や試合に応援も兼ねて足を運ぶのが、私のリフレッシュ方法。自宅の模様替えを頻繁にして気分転換もしているんです。
 現在の仕事の延長線で、将来、親子が気軽に集まれる駄菓子屋を作りたいなと考えています。開店に向け、今は人のつながりの輪を広げているところ。子どもの笑顔であふれ、保護者同士が子育てについて話し合える空間を目指しています。
 個人的な今後の夢を抱きつつ、少しでも日本の保育・教育業界の改革の一助になればと思って勤めています。そして、園児一人ひとりの個性を尊重し、いきいきと成長して、いつか思い切り社会へ飛び立ってほしいという願いを込めながら日々、職員とサポートしています。そんな職員にも、仕事に対してやりがいを持ち、また自分自身の生き方にも誇りを持ってほしいので、話し合いの場を積極的に設けて意見を出し合い、チームワークを高めています。