岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

仕事も、家庭も、趣味も
すべて段取りが大切
自分がすべきことを調整した上で
無理をせず、抱え込まないように
まわりを巻き込んでいきたい


株式会社中広 営業本部イベント・セミナー部 課長
伏屋友美子(ふせや ゆみこ)さん(岐阜市)

【2018年6月28日更新】

『GiFUTO』、『Wao! club』などの地域みっちゃく生活情報誌®を、岐阜県内で12誌約73万部発行する株式会社中広。同社はほかに、さまざまなイベントやセミナーをプロデュースする事業も展開しています。伏屋友美子さんは入社時からイベント・セミナー部に所属し、多くの企画に携わってきました。さらに、近年は女性が働きやすい職場環境を整えていく活動にも熱心に参加しています。

表舞台から感じた裏方への憧れ
講演会での出会いから就職を決意

 3歳からモダンダンス(現代舞踊)をしていました。幼い頃から続けてきたので、プロのコンテンポラリー・ダンサーを目指す研究生に所属。プロを志す仲間とともにさまざまな場でダンスを披露してきました。しかし、どれだけ上手くても、コンテンポラリー・ダンスでプロとして食べていくのは難しいのが現実。私自身はプロを目指さず、裏方の仕事に魅力を感じていました。ダンスのイベント時に、リハーサルの会場を押さえたり、当日の準備をしたりと段取りをする人たちの姿を見て、楽しそうだと思っていたんです。
 中広と出会ったのは、学生時代に参加した講演会でした。人生論を聞く講演会でしたが、ずっとダンスとアルバイトに明け暮れていたので、自分の意志で参加したのは初めて。それがすごく面白くて、ためになったんです。また、講演会でテキパキと動く裏方の人たちも印象的でした。講師のような素敵な人たちに会えて、自分がしたかった裏方の仕事ができる。そう考えて、女性スタッフに声をかけて教えてもらったのが中広という社名でした。
 当時は教育研修部という名称でしたが、面接時からはっきりと伝えて、希望通りの部署に配属されたんです。

イベントに関わる仕事のほか
社内プロジェクトにも参加

 教育研修部に配属されたのは、実はかなり運が良かったと後から思いました。面接官がたまたま教育研修部の部長だったこと。そして、講演会の時に声をかけた人が産休に入る直前で、補充人員を求めていたことも理由です。通例であれば、数年に1人程度の採用だったので、偶然が重なった上での入社でした。
 仕事内容は、営業からイベント運営まで多岐にわたります。自分が夢見た仕事だったので、本当に楽しく、夢中になりました。講演会の講師など、出会う人はその道のプロフェッショナルばかり。生きていく上で参考になり、明日からがんばろうというパワーを貰えます。聞いた人の気持ちが変わる瞬間に立ち会えるのです。また、楽屋などでプライベートの話をしている時に、私自身の考え方が変わる時もしばしばありました。インターネットが普及していなかった当時、生き方や考え方を変えてしまうような、パワフルな話を聞く機会は限られます。魅力ある講師の話をライブで聞いてもらいたい、プロフェッショナルの思いを多くの人に届けたいと思って、仕事に励んできました。
 さらに現在は、女性が働きやすい職場環境を整えるプロジェクトチーム「CLIP(Chuco Ladies Innovation Project)」に参加。結婚や子育てなどの理由で、人材が流出してしまうのを避けるための活動にも力を注いでいます。

母親になって実感した大変さを
職場の環境改善へつなげる

 入社当時、女性は結婚とともに家庭に入るのが当たり前。ずっと中広で働こうとは考えていませんでした。ですが、半年間私に仕事を教えてくれて、入れ替わるように産休に入った先輩が、そうした認識を壊してくれたんです。お腹が大きくなっても、臨月直前まで営業職として仕事に励み、出産後も復帰する意欲にあふれていました。そんな姿を見ていて、かっこいいなと憧れていたんです。しかし、残念ながら、家庭の都合で復帰は叶いませんでした。泣く泣く諦めざるを得なかった先輩を見て、もったいないと。私は同じような状況になったら絶対に復帰しようと考えていたんです。
 そこから時が流れ、私も27歳で結婚。35歳で子どもを出産しました。産休に入る前に、自分の仕事の多くを上司や同僚に引き継いだので、復帰後は岐阜県の女性の活躍推進事業に関わる委託業務を新たに担当しました。復帰後の仕事についてシミュレーションはしていましたし、段取りが得意な私ですので、つつがなくできると自信を持っていました。しかし、想像と現実は違います。子育てをしていると、ここまで予定通りに進まないのかと驚きました。これは大変だ。世のお母さんたちは、子どもを育てながら仕事もしようとは思わないだろう。今まで想像でしかなかった生き方を経験して、初めて家庭と仕事の両立の大変さを実感しました。
 その経験は、私のさまざまな業務に活きています。岐阜県からの委託業務はもちろん、CLIPにも立ち上げから関わらせていただきました。子育てしながら働きやすい環境をと、大手企業や行政機関の動きを参考に、さらには産休・育休経験者に話を聞いて、どんどん意見を出して改善に取り組みました。現在、中広はどこにも負けないくらい制度が整っています。
 課題としては、素晴らしい制度や会社の取り組み姿勢が、社員に浸透しきれていない点。子育て世代の女性だけでなく、男性・女性問わず社員が働きやすい職場になるよう、これからも取組みを続けていきたいです。

あまり自分で抱え込まないのが
仕事と家庭を両立させるコツ

 イベント・セミナー部の仕事は、秋が繁忙期。その時期は土日に仕事がある時もありますが、しっかりと段取りをして、自分が現場に行かなくても大丈夫なように調整しています。同僚がベテランばかりで、助け合えるのもありがたいです。
 そうして、仕事を調整しつつ、毎日子どもと向き合える時間を確保。子どもは小学1年生。親と一緒に過ごす時間が大切な年頃です。私の両親が近くに住んでいるので、どうしても困った時は助けてもらいますが、家事や育児を夫とシェアしながら、できる限り頼らないように心がけています。
 あと、あまり自分で抱え込まないようにしているのも両立のコツだと思っています。仕事も、家庭も辛いことや苦しいことはオープンにして、周囲の人を巻き込む。その上で、家事や育児に関する行政・民間サービスを駆使して、自分の負担を軽減する。例えば、我が家は年末の大掃除をしません。掃除業者に依頼しています。そうして、できる限り自分ごとに使える時間を増やして、リフレッシュや家族で過ごす時間に当てたいと考えています。
 趣味はゴルフ。月に1回ほど、夫や友人と一緒に出かけています。また、ダンスについても、自分が踊ることはなくなりましたが、見に行く機会はありますし、知人のイベントを手伝う時もあります。長年培ってきた経験を趣味に活かせる瞬間です。しっかり段取りをして、アナウンスも担当。思い返せば、仕事も家庭も趣味も、すべて段取りが大切です。人生は段取り。それが私の生き方なのかもしれません。