岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

風土・共有・仕組みの
3つの要素を改善したら
生産性が向上して、笑顔に満ちた
強い企業に成長


三承工業株式会社 管理部部長
正村幸美(しょうむら ゆきみ)さん(岐阜市)

【2018年6月28日更新】

9年前、三承工業株式会社のパート事務として働き始めた正村幸美さん。3年目で社員登用されますが、その年に妊娠。退職するべきか悩んでいた時に社長からカンガルー出勤(子連れ出勤)を勧められました。その第1号として復職し、働き方改革に向けた会社のバックアップに支えられながら女性が理想とする働き方を実践しています。平成28年、管理部部長に就任し、昨年は日本全国で開催される「働き方改革」のセミナーなどで事例発表も行っています。

カンガルー出勤で
赤ちゃんとずっと一緒

 「すべての人にマイホームを」と、超ローコストの注文住宅を提供する三承工業株式会社は2006年に設立されたハウスメーカーです。私がパート勤務から社員に雇用された2012年当時、女性社員は私を含めて2人。業界のなかでも革新的発想で会社が業績を伸ばすなかで妊娠した私は、退職するべきか悩んでいました。すると社長は「赤ちゃんと一緒に通わないか。みんなのためにもなるから」と勤続することを勧めてくれたのです。仕事中もずっと子どもと一緒にいられるのがうれしくて安心で、私はカンガルー出勤で復職。商談中のお客様のお子様も利用できるキッズルームを設置しました。
 その頃から社長は女性のライフキャリアステージに合う環境づくりが、誰にとっても働きやすい環境になると予測していたのだと思います。ノー残業デーなど、いま推奨される働き方改革を先読みした制度を実施。私は社長のイノベーションに巻き込まれていきました。

問題点が浮き彫りに
足りない3つの要素

 財務や広報などの日常の業務に並行し、生産性向上を目的とした社内アンケートとその分析を任されました。集計結果からわかったのは「職場の風土が悪い」、「共有不足」、「社員が輝く仕組みがない」の、3つの要素が決定的に不足していたこと。社員同士が認め合う・思いやるなど、そもそもコミュニケーションが図れていない。情報や、だれがいま何の仕事をしているかなどの時間や理念、問題の共有がない。有休や代休、バースデー休暇などの休暇制度やダイバーシティという発想もない。しかも、社員のなかには「それが仕事だろう」と肯定する意見もあり、企業改革の実施に反発もありました。それでも当社は変革に挑むことにしました。

不足する要素を解決
向上心の輪が広がる

 まず女性社員の増加に着手。朝礼、輝く社員表彰、勉強会やレクリエーション、社員の誕生日や気づき発表会などで社員同士が認め合い、いまのアットホームで和気あいあいとした風土を築きました。
 共有不足に対しても、SNSを利用した各店舗の様子を配信し、グーグルカレンダーやToDoリストで全社員のスケジュールを管理。仕事がダブるなど非効率、不合理なことをなくし、理念や問題はミーティングで共有することにしました。休暇制度を整備し、子育てや介護などの事情があっても働き続けられる制度を整えました。一人ひとりの個性や強みを活かし合えるように組織図や職務分掌表で仕事内容や責任のありかを可視化し、アウトソーシングも活用。就業規則も見直しました。すると、めきめきと生産性が向上し始め、2011年には5億円だった年商が、2017年には12億円にアップしました。また、「キッズルームの安全性を高めたい。会社への恩返し」と、家庭で少人数保育を行うスペシャリスト、「チャイルドマインダー」の資格を自主的に取得する社員も現れだし、会社を良くしようとする輪が社内に広がっていったのです。
 2015年には女性社員のみで「チーム夢子」を女性社員のみで結成。社内の問題点や気になる点を見つけ出して改善するグループで、女性も男性も独身も産前産後でも、みんなが働きやすい環境づくりに邁進し、ダイバーシティの推進も目指すグループです。

社員みんなが一層輝く
働きがいのある会社へ

 これらの取り組みと成果は、昨年度厚労省の働き方改革推進認定企業事業所に認定されました。私は、国交省建設産業女性活躍推進会議や全国各地での働き方改革の実践ノウハウ獲得セミナーなどへ社長に同行し、当社が"女性も輝く働きがいのある会社"へ転換するまでの軌跡を発表しています。人前で話すことが苦手だった私が、です。
 現在、当社には20~70歳までの社員が在籍。子どもたちが預けられているキッズルームに立ち寄り、気分転換に顔を見に行き、抱っこすると癒されるという社員もいて、子どもの笑顔や泣き顔を見ながら、みんな笑顔で仕事に戻ります。
 今後は障がいのある方にも仕事を提供したい、手づくりで身体にいい食事を安く提供したい、など私たちの夢は尽きません。その夢も力を合わせて叶えたいですし、みんながより輝ける会社づくりに尽力したいと思います。