岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

世代を超えた関わりを築き
共に生きる地域を目指して
「まだまだこんなことができる」
高齢者の活躍の場をつくりたい


社会福祉法人フェニックス 地域包括支援センターかかみ野 サブチームリーダー
山田美穂(やまだ みほ)さん(各務原市)

【2018年7月24日更新】

2人の子どもを育てるなか、フェニックスグループに入った山田美穂さん。その後、第3子の産休・育児休業を経験しながら、法人のアクティビティコーディネーターとして活躍。地域の人々が互いに助けあい、喜びを分かちあって共に生きていく、世代を超えた取り組みに尽力しました。子育て支援に関する賞で、内閣総理大臣表彰受賞の実績に貢献しています。

長期休暇の学童クラブを設置
子どもと高齢者が触れ合う

 地域包括支援センターかかみ野に勤める前は、老人保健施設サンバレーかかみ野で、アクティビティコーディネーターをしていました。400人以上のボランティアに協力していただきながら、毎日午前、午後に体操や音楽活動を実施。年中、施設で過ごすご利用者に、少しでも刺激や季節感を味わってもらいたいと思っていました。
 そんな時、岐阜県から「福祉施設で子育て事業をやってみないか」と打診を受け、「ぎふ地域子育て創生モデル事業」として、2011年に「かかみ野学童クラブ」を立ち上げたんです。かかみ野学童クラブは地域の小学生を対象とした、長期休暇時の学童クラブで、高齢者と一緒に腕相撲や手遊びを楽しみ、自然と触れ合う経験をします。ほかにも、高齢者から戦争体験を話してもらう時間を設けるなど、子どもたちが有意義な時間を過ごせるよう工夫しています。
 核家族化が進んだ昨今は、子どもと高齢者が一緒に過ごす時間が少なくなっています。高齢者に接する貴重な機会を設けると共に、「車椅子や歩行器を使って、頑張って生活されている人がいる」という事実を知ってもらいたいとの思いもありました。こうした取り組みが評価され、2013年には内閣府が実施している「子どもと家族・若者応援団表彰」において、内閣総理大臣表彰を受賞しました。
 
福祉の現場が自分の居場所
そう直感した高校時代

 福祉関係の仕事に就こうと決めたのは17歳の夏、老人ホームへボランティアに行ったのがきっかけです。当時は、それほど興味を持っていた訳ではありませんでした。誰かと間違えたのか、おばあさんから「やっとかめだなも」と声をかけられて会話をしたその時、「ここに自分の居場所があるかも」と直感しました。大学で福祉を専攻して以来、この仕事を続けています。
 現在は、各務原市から事業委託を受けた地域包括支援センターかかみ野で、主に65歳以上の高齢者の相談にのる仕事をしています。介護保険の説明をしているほか、身寄りがない人の困り事や虐待の相談を受ける場合もあります。
 地域づくりも仕事の一つで、地域の高齢者が活躍の機会を待つ居場所を職員とつくりました。自分で考えた体操を披露してくれた90歳の男性は、かかみ野学童クラブでも、進んで戦争体験を話してくれました。「利用者、サポーターという関係を超えた、みんなが主役の地域づくり」というフェニックスのポリシーを実現できたと感じ、印象に残っています。
 不思議といつも「助けてほしいな」と思う時に助けがあります。「ありがとう」の言葉をもらえると結びつきができたと思え、やりがいを感じます。地域の人と一緒に何かつくり上げていくのが性に合っているんでしょう。

あえて仕事について
考えない時間をつくる

 夫と大学生の長男、高校生の長女、この春小学校を卒業する次女、義父の6人家族です。フェニックスに入職したのは14年前、まだ長男と長女が保育園のころでした。今でこそ少なくなりましたが、子どもが3人となると、一時は学校行事だけでも大変な回数でした。行事に合わせて休みをとることは多かったですね。
 義父が元気で子どもたちの送迎を手伝ってくれるので、ありがたいです。義父にとっては、介護予防にもなっているのではないでしょうか。主人も似た仕事についているので、仕事への理解があり助かっています。
 プライベートでは子どもと公園に行ったり、イベントに出かけ一緒にものづくり体験をしたり、映画を観にいったりしています。歴史が好きなので、一人の時間は歴史の本をよく読んでいます。月に3、4冊をじっくりと読むタイプですね。家にいても仕事の電話がかかってくるので、公私の切れ目はなかなかつけられませんが、あえて仕事について考えない時間をつくるようにしています。

生きがい、やりがいを感じ
身体も心も健康になれる場を

 毎年テーマを考え、手帳に記すようにしています。今年のテーマは「すぐやる、今行動できる自分になる」。のんびりした性格で、つい後でいいやと思いがちなので。
 「なんとかなる、きっとうまくいく」の言葉も、しょっちゅう心の中で唱えています。自分がよかれと思っても、拒否されることは少なくありません。しかし、一度断られてもタイミング次第で上手くいく場合もある。「こんな現実があるんだ」と思うほど、地域社会はドラマティックなんですよ。なるべくポジティブに考えないと、気持ちが落ち込んでしまいます。
 今年は3月に、地域の男性が集いやすい「男組」をプレオープンする予定です。定年以降、やりがいを見いだせないという人が集い、今まで培ってきた力を地域に還元してもらいたいという願いがあります。病気をしていないというだけでは、本当の健康は得られません。人の役に立って、生きがいを感じてもらえる、そんな場づくりに力を入れていきたいです。
 相談事だけでなく、役に立ちたいという申し出も大歓迎。「まだまだこんなことができる」という高齢者の思いをつなげ、眠っている地域資源として活かしていきたいですね。