岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

自分がやりたいと思ったことを
どんどん広げてつなげていく
人と人、人と本をつないで
もっと楽しい中津川にしたい


本や+α 店長
高木亜麻子(たかぎ あまこ)さん(中津川市)

【2019年5月21日更新】

中津川市下野にある、本や+α。本を通したコミュニティー形成に力を入れた古書店です。店長は本を愛してやまない高木亜麻子さん。家業の塾で英語を教えつつ、地元の憩いの場づくりにも力を注いでいます。

語学力と好奇心を背景に
さまざまな経験を積む

 英語が好きで、翻訳家になるのが夢でした。中津川市立福岡中学校を卒業後、麗澤瑞浪高等学校を経て、東京外国語大学に進学。専攻はフランス語。選んだ理由は、高校時代に国際支援に興味を持ち、国連で使われているフランス語を学びたいと考えたからです。海外で活躍したいという思いが強く、イギリスやモザンビークへの留学も経験しました。
 2011年に大学を卒業。地元に戻り、サラダコスモに入社しました。ちょうど海外での仕入れを行っており、さらに観光事業にも力を入れていたため、いろいろできておもしろそうだと思ったんです。加えて農業に興味を持っていたのも動機の一つでした。しかし、1年ほどで退職し、母親が経営していた小学生向けの英語教室や中学生向けの学習塾を手伝うようになりました。
 また、その年の秋にイギリス留学中に知り合ったイタリア人の夫と結婚。夫は来日して洋食亭KISAKUで働き、2016年5月から独立してイタリアンカフェを開店しました。私は夜に塾の仕事を続けながら、昼間は夫の店の手伝いもしています。その生活は今も変わっていませんね。

本によって人をつなぐ
古本屋を新たにスタート

 夫が開業した翌年、隣で営業していた美容院が移転しました。そのスペースを借りて、始めたのが本や+αです。
 私は子どもの頃から本が好き。今も月に3~4冊は読んでいます。しかし、最近は多くの子どもが本を好まず、知識が狭まっているように感じていました。加えて、近くにあった大きな書店が閉店したことで、本屋のないまちになってしまったとショックを受けました。このままではますます地域の人が本から遠ざかってしまう。そうはならないように、本をテーマにコミュニケーションが取れる場を作りたいという思いから、本や+αを始めました。
 本や+αのシステムは、少し変わっています。古本屋なのですが、店内に置いてある本は、「自分を育んでくれた本」や「人にお勧めしたい本」です。これらを「はぐくみ本」と呼んでいるのですが、それぞれの本に前の持ち主が感想を書いた「はぐくみ帯」がついています。
 購入したはぐくみ本は、一カ月以内に元の状態で売ってくれれば、高額で買い取っています。気に入って手元に残したいなら、そのまま。ほかの人にも勧めたいなら、売りに行く。ただ、どちらにしても本を大切にしてもらえるのでは、と思っています。

皆の憩いの場にしたい
ゲームや映画鑑賞も実施

 本や+αで大切にしているのは、多くの人が訪れやすい場所であること。はぐくみ帯は、前の持ち主の思いが込められているので、見ているだけでも楽しいですし、読んだ後に共感できます。店舗には、読書や仕事のために、1時間100円で利用できるスペースも設けています。
 また、時々イベントも開いています。テーマに沿った本の紹介をするビブリオバトルのような読書会のほか、映画鑑賞やボードゲームを楽しめるイベントを毎月開催。常連も増えてきていますし、遠方から来てくださる人もいます。移住してきてなかなか地域に馴染めないという人が、「ここに来てから明るくなった」と笑ってくれた時はうれしかったです。
 今後の課題は、もっと多く地元の人に来てもらうこと。いろいろな人と話しているのは楽しいので、もっと多くの人に出会えるよう続けていきたいです。

好きでしているからこそ
忙しくても、楽しく過ごせる

 塾で英語を教えて、カフェで接客して、本や+αで人とふれあう。いつも忙しいんですが、どれも好きでしているのでストレスはありません。家事は夫がサポートしてくれますし、本や+αは母やスタッフと一緒に運営し、イベントなど手伝ってくださる方もいます。そんな支えのおかげで、新たな挑戦に向けて取り組めるんです。
 やりたいことはいっぱいあります。本や+αとカフェを連携させたり、本を作る企画をはじめたりと、本や+αの形態をもっと模索していきたい。プライベートでは海外に知り合いが多いので、旅行にも出かけたいと考えています。
 どれも、ワクワクするからこそ、忙しくても苦になりません。新しい世界を切り開くために、好奇心を大切にしています。これからもどんどん人やもの、活動をつなげていって、中津川市を楽しくしたい。そんな夢を持っています。