岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

大好きな祖父母の教えを
みなさんに伝えたい
自分の軸を見失わず
しなやかな心で
毎日を豊かに


整理収納アドバイザー・住宅収納スペシャリスト
佐藤飛鳥(さとう あすか)さん(郡上市)

【2019年5月17日更新】

東京で飲食店をオープンし、繁盛店へと育てあげた佐藤飛鳥さん。結婚を機に白鳥町へ帰郷し、現在は、整理収納アドバイザーとして講演会や講座を開催するほか、依頼者の自宅や店舗の片づけサポートをしています。活動の原点となっているのは、祖父母の教え。物事を前向きに捉え感謝する姿勢を、整理収納術に活かし、豊かな暮らし方を人々に伝えています。

人でにぎわう場所が好き
手探りで始めた飲食店が成功

 白鳥町内で旅館業を営む両親のもとに生まれ、育ちました。高校卒業後に上京。専門学校卒業後は都内の百貨店に就職し、美容部員として働き始めました。華やかな業種ですが、接客業は常に笑顔を絶やさず店頭に立ち続けなければいけません。表の姿とは裏腹に、バックヤードでの従業員は疲労困憊。そんな光景に胸が苦しくなり、次第に働き続けるのがつらくなっていきました。そんな生活を続けて3年、ついに限界を感じ泣きながら父に相談。「いろいろな生き方があっていい」と背中を押され、退職を決意しました。
 両親や親戚が旅館業に携わる環境で育ったため、人でにぎわう場所が好き。そんな中、仲間と意気投合して始めたのが、新橋駅前に出店した飲食店でした。接客経験はありましたが、経営に関してはほぼ素人。右も左もわからないところからのスタートでした。
 当時の新橋といえば、焼き鳥店などが軒を連ねるエリア。カウンターで商品を注文して受け取るキャッシュ・オン・デリバリー形態の飲食店はまだ珍しく、なかなか客足が伸びませんでした。高額な賃料を支払わなくてはと、仲間を鼓舞して客集めに奔走。手書きのチラシを配り、行き交う人々に声をかけました。ドリンク料金が半額となるハッピーアワーを設けると、店は大にぎわい。何もわからぬまま始めた飲食店経営は、大変でしたが毎日がとても刺激的でした。


祖父母の教えを生かして
新たな才能を開花

 根っからのおじいちゃんおばあちゃん子の私。「おかげさまの心を忘れてはいかんのやよ」「一人で生きとるんでないんやよ」と、2人は周囲に感謝する大切さを教えてくれました。仏教の教えを知るきっかけとなった、お寺に連れて行ってくれたのも祖父母。わからないなりに聞いていたお説法が、大人になった今、ストンと胸に落ちるようになりました。
 祖父母からの教えを生かしたいと考え着いた先が、整理収納術や断捨離でした。独学でノウハウを学び、2年前に整理収納アドバイザーの資格を取得。現在、市内外で講演会や「お片づけ勉強会」を開いています。これまで、郡上市八幡文化センターや白鳥ふれあい創造館、日本まん真ん中センターなど幅広く講座を開催。また「プレミアムお片づけ勉強会」と題して、人数限定の勉強会を不定期で開いています。高齢者を対象とした生前整理の講座は、特に大切な分野だと思っていて、教える側の私が逆に教えられることばかりで、やりがいを感じます。
 整理収納というと、収納ボックスやラベリングを使って物を整頓していくと思われがちですが、私の場合は少し異なります。自身の気持ちに真剣に向き合いながら、身の回りを片付けていくのです。モノだけでなくココロも整理し、彩り豊かな新しい暮らし(人生)を発見していきます。
 断捨離作業は至ってシンプル。「使っている」「使っていない」「迷う」の3択で分別していきます。仕分けをしていくと、全く使っていない物の存在に気づくでしょう。「色が好きだけど・・・」「いまは使わないけどいつかは・・・」などと捨てられない言い訳が出てきら、心を鬼にして一刀両断。不用品として分別します。
 分別作業は、仏教の教えの一つ「足るを知る」こと。あれば便利だけどなければないで大丈夫というモノを知ることです。不要なものを手放し、本当に大切なものを知る機会なのです。「なぜ捨てずに持っているのか、捨てられないのはなぜなのか」とご自身に問いかけていくと、自分にとって何が大切かおのずと見えてきます。
 物を手放すことは、物に執着する心を解き放つこと。そのプロセスは、身の回りをすっきりさせるだけでなく心が軽やかに開放的してくれます。「足るを知る」は心を豊かにしてくれるのです。

自然に囲まれた暮らしに感謝
しなやかな心を持ち続けたい

 現在の住まいは、大工の夫が建てた一軒家。川のせせらぎが聞こえ、陽光が降り注ぐ大きな窓からは山々がはっきりと見えます。四季折々の美しさを見せてくれる地元の景色。心に潤いを与えてくれる環境に日々感謝しています。
 整理収納アドバイザーの活動と並行して、東京時代に師範の資格を取得した書道もコツコツ続けています。第一子が生まれる前は、郡上踊り免許状の墨文字を書いていました。これからは書と向き合う時間を捻出して、SNSなどに作品をアップしていきたいですね。
 両親が営んでいた旅館でお客さんと触れ合う幼少期を送り、成人後は自身が経営する飲食店を通してたくさんの人と出会いました。生まれも育ちも異なる老若男女の考え方にたくさん触れたからこそ、今の活動に行きついたのかもしれません。
 大切なのは、自分の軸を見失わないこと。不測の事態が起きても、心折れないしなやかさを身につけたいですね。幸不幸は、自分の受け取り方次第。「困難が自分を成長させる」、「失敗は成功のチャンス」と、機転を利かせるような柔軟性を持ち続けたいです。