関市内の公立小中学校で非常勤講師として勤める一方、地域で活動する音楽家の活動支援や、音楽を通じた青少年の健全育成に力を入れる家田富美子さん。コンサートの開催や合唱団の歌唱指導、ミュージカルの指導などに携わりながら、自らも声楽家として精力的に活動しています。
地域の人に元気になってもらいたい
上之保で子どもたちとコンサートを開催
大学で音楽を専攻し、卒業後は公立学校の教員として勤務。21年前から郡上市八幡町相生地区の合唱団「コーラスあじさい」の指導をはじめ、16年ほど前からは岐阜県主催の岐阜県民文化祭の音楽劇に関わってきました。そこで尊敬する指導者と出会ったのを機に、2012年から独自の音楽活動をスタート。勤務先であった関市上之保での「ほほえみコンサート」をはじめ、生まれ育った美濃市では「ひまわりコンサート」、郡上市では「エールコンサート」と、自分と縁のある地域でコンサート開催を重ねてきました。そして一連の活動の中で集まった仲間とともに輪を広げていこうと、昨年度から「ひまわりプロジェクト」を立ち上げました。
コンサートを始めようとしたきっかけは、上之保小学校で教師をしていた頃の小中学校統廃合です。地域に学校がなくなることで、「未来への希望がもてなくなる」という、地域の人の不安を肌で感じました。「地域の皆さんに元気になってもらいたい。自分ができることはないか」と考えた結果、コンサートを開催することにしたのです。
小学校の在学生、卒業生に声をかけたところ計18人が参加、舞台経験のない子どもたちばかりでミュージカルを行ないました。そのコンサートには200人以上の観客が集まり、「知っている子たちが、元気に頑張っている」「上之保でもこんなステージがみれるんだ!」との声が聞かれ、音楽が地域に元気を与えることを実感しました。
関わったすべての人が
笑顔になれるコンサートを
コンサートを開催する時は、出演者だけでなく関わったスタッフを含め全員が笑顔で活動し、達成感を感じてもらえるように心がけています。関わったすべての人がやってよかったと思え、また、観客も聴いてよかったと満足して帰ってもらえるステージ作りを大切にしています。まだまだ足りない点もたくさんあると思いますが、今後も幅広いジャンルのステージ企画を心がけ、地域に親しまれるコンサート作りを目指していきます。
エネルギッシュな活動を支える
家族の理解と寛容さに感謝
私の長所はエネルギーがあるところ。2018年12月には過去最大の挑戦として、自らのソプラノリサイタルを開催しました。そのかたわら、ひまわりプロジェクトによる若手のコンサートの企画やボランティアでのクリスマスコンサート等もいくつか開くなど、同時進行で準備をしてきました。家族のサポートなしにこれらの活動は成立しません。画家であり教員である夫も子どもたちも、家族全員が活動に協力してくれ、そのおかげで志すところへ向かうことができています。
例えば掃除などは、思い立った時や時間ができた時にすればよいと思っています。そういうことも、何も言わず見守ってくれる家族の寛容さに精神的に助けられています。そんな中、料理だけはできるだけ疎かにせず作っています。ささやかではありますが、それが家族への感謝だと考えています。
音楽家として技術を磨きつつ
人とのつながりを大切に
2018年の3月までは常勤で教員として勤めていたため、活動に割く時間が限られていました。自身の音楽家としてのスキルアップとイベントの開催を両立させるためには、圧倒的に時間が足りませんでした。2018年3月に早期退職をしてから、音楽活動がメインの仕事になりつつあります。音楽活動を充実させていくためには、スキルアップは不可欠です。それによって音楽家としての信頼も得られるようにしていきたいと思います。
もうひとつ欠かせないのは、人とのつながりです。コンサートは自分1人ではできません。コンサートを成功させるためには、たくさんの人の力が必要です。イベントを行なうたびに、今までの積み重ね、人と人とのつながりが支えになっていくのを強く感じます。このつながりを絶やさないようにし、これからも自分が関わる人を大切にしていきたいです。そして一日一日を一生懸命に、自分のできる活動と丁寧に向き合って生きていきたいです。