岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

身近な存在として
地域の母親をサポート
「ねる・たべる・あそぶ」ための
赤ちゃんの心と身体づくりを整える


balloon 赤ちゃん保健室 保健師
小関あき子(おぜき あきこ)さん(美濃加茂市)

【2019年6月24日更新】

触れ合いによって親子の関係構築を助けるインファントマッサージ(※1)や、赤ちゃんの身体を整え、動きたくなる心を育むタッチケアなどを指導する「balloon赤ちゃん保健室」。教室を運営する小関あき子さんは、看護師として得た知識や、美濃加茂市役所で母子担当の保健師として勤務した経験から、地域の母親をサポートしています。
(※1)インド、スウェーデンのマッサージ手法やヨガの要素を取り入れたマッサージ

乳児期の関係構築が重要
自然に触れ合えるマッサージ

 以前は看護師として働いていました。NICU(新生児集中治療室)担当として乳児に関わり、その後、美濃加茂市役所で母子担当の保健師として勤務。たくさんの親子と関わる中で、乳児期の関係構築が、大きくなってからの子どもの発育に多大に影響すると学びました。
 当時ベビーマッサージ(※2)の書籍が多く出始めていたこともあり、母子が気軽に触れ合える機会の一環としてマッサージに興味を持つようになりました。
 市役所を退職後、2007年に東京でインファントマッサージの養成講座を受講してインストラクター資格を取得。その後すぐに、乳児期の関係構築サポートを目的として、赤ちゃんマッサージ教室「balloon」を開設しました。
 (※2)赤ちゃんを対象としたマッサージ

子どもの気分や体調に合わせ
母親の負担にならない教室を

 レッスンで大切にしているのは、赤ちゃんもお母さんも笑顔になれる場づくりです。1回3、4人の少人数制で、自宅の和室を利用したレッスンのためとても和やかな雰囲気です。赤ちゃんが泣いても泣き声を抑える必要はありません。赤ちゃんが泣くことは赤ちゃんからのメッセージです。慌てずにメッセージに耳を傾けてあやしていきます。
 子どもの体調や気分によってはマッサージができない場合もありますが、そんなときは人形で練習して、後日自宅で実践してもらっています。心地よい触れ合いが親子の信頼関係を築くためには大切なので、無理に実施して「触れられることを我慢する体験」とならないようにするためです。
 インファントマッサージのほかにも、菓子の作り方を学ぶ「スイーツレッスン」、「おむつなし育児講座」、「低緊張やダウン症赤ちゃんへのタッチケア」など、コースはさまざまです。特別なケアが必要な方にむけたプライベートレッスンも実施しています。

講座参加者の感想から
新たなコースを設置

 「低緊張やダウン症赤ちゃんへのタッチケア」を始めたのは、美濃加茂市で実施した全5回の教室がきっかけでした。最終日に、参加した子どもの1人がダウン症であったと知りました。母親は涙を流しながら、「皆さんの中で全日参加できたのがうれしかった」と話してくれました。教室の2年後にその母親と再会。じっくりと話をして、当時はとにかく何かにすがりたいと考えていたこと、複数人の中で問題なく受講できたのが自信になったことを聞きました。
 同じような悩みを持った人の力になりたいと、2016年に「低緊張やダウン症赤ちゃんへのタッチケア」を開始。このコースでは赤ちゃんの体を整える触れ方や、体の使い方指導を行います。ダウン症の子どもを持つ母親だけでなく、さまざまな問題を抱える母親一人ひとりの支えとなるため、さまざまな方法を模索しています。
 教室以外でも、屋外での遊びや、ワークショップを行う森のようちえん「自然育児こどもの庭」に月1回スタッフとして参加。犬山マルシェへの赤ちゃんブース出展など、親子の生活をサポートするための活動をしています。

行政を巻き込んだ取り組みで
子育てに有効な情報を広める

 今後は、教室のPRに力を入れたいと考えています。現在もSNSやウェブサイトでの告知を行っていますが、新規の受講者は口コミがほとんどです。もっと多くの人に、苦しいときのよりどころとしてもらえるように、動画によるマッサージ方法の紹介など、新たな挑戦をしていきたいです。
 また、元美濃加茂市保育士としての知識や人脈から、行政を巻き込んだ取り組みも行いたいと思います。個人ではなかなか伝えられないことも、行政を通せば伝わるスピードが速くなります。
 マッサージやタッチケアだけでなく、多方面から母親をサポートしたいという思いで、2018年から名称を「balloon赤ちゃん保健室」に改名しました。行政関係者や子育て支援者向けの講座で、タッチケアの指導ができる保健師を増やして、地域の母親が子育てしやすい環境づくりをしていきたいです。