岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

モットーは「地道にコツコツ」
美容業界の価値をあげ
女性が出産、育児をしながらでも
働きやすい環境を作っていきたい。


有限会社トマト・マネージャー
鈴村美佐(すずむら みさ)さん(恵那市)

【2020年7月10日更新】

有限会社トマトは、美容室5店舗を経営。それを仕切るのが、マネージャーの鈴村美佐さんです。鈴村さんは育休制度やスタッフの託児所を設けるなど、女性が働きながら安心して出産や育児ができる環境作りを目指しています。その甲斐あって、ほとんどのスタッフが育児休暇を取得し、ほぼ100%の確率で職場に復帰しています。

育休復職率ほぼ100%
働くママを応援する

 父母ともに美容院の経営に携わっており、母はいまも現役の美容師を続けています。小学生のころから、卒業アルバムに「美容師になりたい」と書いていました。ですから、この業界に入ったのは自然な流れ。母が楽しそうに仕事している姿を見て育ったのが、大きく影響していますね。
 学校を卒業し、社会に出るのが初めてというスタッフも多いです。一つひとつ技術を覚えて検定をクリアした時の本人と支えてきた周囲のスタッフの表情には、ほっとしながらも誇らしい気持ちが表れています。それを見ると私も、うれしくなります。
 現在は、グループ全体のマネジメントをしています。10年ほど前は、産休を取ったスタッフがなかなか復職できずにいました。そんな中、復職を希望するスタッフから託児を希望する声があがりました。そこで、土曜、日曜日に託児を希望するスタッフの子どもを預かるシステム構築に着手しました。自分も育児を経験して、「子どもというのは、本当に放っておけないものなのだな」と強く実感しましたから。育休復職率100%は、普通の企業でもなかなかないのではないでしょうか。若いスタッフも、そんな先輩の姿を見ていれば安心して仕事や家庭に向き合えます。

物腰柔らかでアクティブ
義母が私の考え方の指針

 女性は結婚、妊娠を機に仕事から離れていく人が多いです。そうすると、お客さんにとっても、自分の担当者が次々と辞めていく事態になります。体制が整っていて、復職できるとわかっていれば、「待っていてくださいね」と胸をはっていうことができます。お客さんも、心から「おめでとう」と言葉をかけてくださいます。美容院は技術だけの問題でなく、人とのマッチングが大切な場ですから。それに、お客さまも歳を重ねていかれます。髪のボリュームが落ちるなど、若いスタッフでは、まだわからない悩みも、同世代であれば理解できるというものです。
 スタッフをまとめていく際に、何か困ったことがあると「こんな時、義母ならどうするだろう」と考えるようにしています。義母はずっと保育園の園長をしていたので、物腰柔らかに、上手に気づきを与えて人を導いていくんです。実は、会社の託児も義母に任せています。
 その義母は、地域の会議に出席したり会合を開いたりするなど、とてもアクティブ。町民とともに「中野方ふるさとかるた」の制作に携わるなど、60代になっても地域をよくしていこうと行動している、すごい人なんです。

仕事もプライベートも
さらに充実させていく

 祖母、母、父、夫、長男、長女と柴犬1匹で暮らしています。仕事は家族の理解があってこそ。自分の思いだけでは成立しません。義母とはスケジュールをシェアして、お迎えなどを分担しています。夫も私の働き方に理解を示していて、子ども会の行事に参加してくれたりします。夫は息子の剣道の先生でもあるんですよ。
 休みの日は、家に仕事は持ち込みません。マネージャーというのは一見、何をしているのかわからないポジションですが、何か困った時に頼ってもらえる存在でありたいです。社長いわく「学校の保健室の先生のような存在」だそう。困りごとがある人には、ほかのスタッフが「マネージャーのところに行っておいでよ」と、アドバイスしてくれているそうです。
 これからは、もっと子どもとの時間を楽しみたいです。一緒に映画を観たり、公園に行ったり、キャンプやスキーにも出かけたいですね。仕事に時間を取られて、あまり子どもに寄り添ってあげることができなかったのでは...という思いがあります。だからこそ、スタッフには子どもとのことで、後悔をしてほしくないんです。

働き続けられる
働き続けたい場であること

 出産、育児だけでなく、ゆくゆくは介護をするスタッフを助けられるような体制づくりにも取り組みたいです。デイサービスなどの知識があれば、何かよい手だてが生まれるかもしれませんね。介護しながらでも、働く時間や日数を減らす方法や、その他の手段も視野に入れて、仕事を続けられるよう模索したいです。
 この業界の離職率は10年で90%、常に人手不足といわれており「ブラックじゃないの?」と思われがちです。まったくそうでない、ということを伝えていきたい。働きやすさを向上させ、給与体制の改革などで、美容業界の価値をあげることを考えています。そして、「もっと働きたい」と思ってもらえるような形を作りたいです。折角、女性が活躍できる場なので。
 モットーは「地道にコツコツ」。目の前の仕事を100%やりきること。そうでないと、次の仕事がきませんから。神様に願うなら、自分に関わるすべての人が、幸せになってくれればいいな。