岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

大学での研究を
人々の健康に活かす
ヒット商品の開発を目指し
何事にも挑戦を続ける


アピ株式会社 戦略開発本部 製品開発部 副部長 博士(薬学)
丸山広恵(まるやま ひろえ)さん(岐阜市)

【2020年9月 3日更新】

大学での研究を活かしたいと、アピ株式会社に就職した丸山広恵さん。
ライフイベントを大切にしながら、テレワークや時短勤務を活用してキャリアアップしてきました。
市場分析から新素材の選定・研究など、多くの業務を並行して実施しています。
「アイデアや研究成果を積み上げるのがヒット商品の足掛かりになる」と考え、目の前の業務に集中します。

アンテナを張り巡らせて
製品開発のヒントを探す

 アピ株式会社は、はちみつ、ローヤルゼリーなどの蜂産品をはじめ、健康食品、医薬品の受託製造をしている会社です。
 戦略開発本部では、様々な食品素材の研究開発を実施。結果を製品に活かすとともに、特許戦略・論文化新規事業開発等も担っています。
 製品開発部では、サプリメントや様々な機能性食品の開発にチャレンジ。テーマごとにチームを組みプロジェクト化して仕事を進めています。例えば、新規原料開発では、素材の選定から栽培、機能性成分抽出、機能性データ等を取得します。私は全体の進捗管理や、行き詰まった際のアドバイス、得られた研究結果の応用を担当します。
 1つの研究で必ずしも結果が出るわけではないので、分母となる研究テーマを増やすのが重要。SNSやテレビ番組、人との会話で、流行するかもしれないキーワードを探すようにしています。すでに人気があるものは、なぜ売れているのか分析して製品開発に活かしています。

就職後も研究を活かすため
健康に関わる企業を探す

 私は、大学で茶やローズマリーといった食品に含まれる機能性成分の研究をしていました。研究や製品開発の仕事を目指して就職活動を始めましたが、なかなか採用を得られませんでした。
 どんな仕事がしたいか、どうすれば研究を生かせるか、改めて考えた時、浮かんだキーワードが健康です。健康を軸に企業を探し、食品という日常に密接した部分から、健康な生活をサポートするアピ株式会社に出会いました。企画営業職のみの募集でしたが、面談の中で自分の思いを伝えると、研究職として採用。蜂産品の機能性研究や成分探索研究を担いました。
 現在は各分野の専門知識を持った社員、充実した設備がそろっていますが、当時はまだ人や機材が少なかった時代。大学の先生に質問に行ったり、研究に必要な機材を借りたりと動き回り、専門分野でない研究にもどんどん挑戦しました。
 2009年には、社会人大学院生として岐阜薬科大学の大学院に入学。仕事を続けながら、社内で得られた研究データを論文にまとめ、2011年に博士号を取得しました。

ライフイベントに合った
キャリアアップを実践

 2012年に第1子を出産。産休・育休取得後、時短勤務で復帰。2014年、新たに設立された事業戦略室に異動しました。事業戦略室は、営業、技術、研究の異なる部署から社歴10年以上の社員を選出し、新規事業を開発する部署。少人数制で伝達・決定を早くして、製品化までのスピードを高めるのが狙いです。それまで研究にばかり向けられていた視点が、パッケージの考案、販売方法にも向けられ、自社製品を多角的にみられるようになりました。
 2017年には第2子を出産し、育休を取得。テレワーク制度導入前だったものの、すでに準備が始まっていたため、希望して産休後すぐにテレワークでの復帰をさせてもらいました。2018年4月から時短勤務で職場復帰し、2019年10月に、開発部門と研究部門が統合された戦略開発本部、製品開発部の副部長となりました。
 入社当初はあまり出世に意識を向けていませんでしたが、アピ株式会社では女性の上司が中心となって社員のキャリアアップをサポート。業務はもちろん、ライフイベントのタイミングも考慮しながら、大学院進学や昇進を勧めてくれました。現在では、やりたいことを実現させるには、責任ある立場につくのも大切だと考えています。

コツコツ積み上げた結果が
ヒット商品につながる

 忙しい中での息抜きは、息子が習っているバイオリンを聴くこと。ショッピングも楽しみの1つです。仕事と家事の両立は大変ですが、決まった時間内にしっかり業務を終えるように意識しています。「今日はここまで」という線引きをはっきりさせ、密度の濃い仕事をする。中途半端にして、後に引きずってしまうと、モチベーションが下がって効率も落ちてしまいます。
 座右の銘は「継続は力なり」。すぐに結果が出るとは限らないのが、研究開発の世界です。チーム全員の力が発揮できる体制を作り、ヒット商品の足掛かりとなるデータを残したいと考えています。最近はオーダーメードが流行っているので、「運動をする人」「40代の人」のような、タイプ別に組み合わせたオリジナルサプリも良いかもしれません。
 積み上げた結果が、人々の健康を支える製品につながることを目指し、これからも仕事に力を注いでいきます。