岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

「みんなちがって、みんないい」
多様な価値観を受け入れて
互いの個性を認めあえる
そんな世の中になるように


■名前 サロンゆるりら/オーナー
原麻衣子(はら まいこ)さん(中津川市)

【2020年9月 3日更新】

「余分なものを排出して心も身体も軽く」をテーマに、中津川市の自宅でクレイテラピー、ヒーリング、ディープデトックスといったリラクゼーションを施すサロン「ゆるりら」を開いている原麻衣子さん。3色パステルアートのインストラクターとしても、中津川市や恵那市などのイベントに出店しています。毎月1回、デイサービスのレクリエーションで、3色パステルアートを体験してもらうボランティアも行なっています。

力を抜くことで心と身体が
軽くなった実体験を通じて

 高校卒業後、地元の会社に就職。2006年の結婚を機に退職しました。二子を設けた後、再びアルバイトを始めましたが、祖母の介護が必要となったこともあり辞めることに。そこから家にいる時間を利用して、自分の中にある治癒力を高めるヒーリング、心理学、カウンセラーなどの勉強を始めました。
 学びを深めるなかで、色々なことを吸収しようと、いっぱいいっぱいになってしまった自分がいました。「溜め込みすぎたものを上手に吐き出すことができれば、フラットな状態に戻れるのではないか。できれば、なるべくナチュラルな方法にこだわりたい」。そう考えた時に出会ったのが、クレイテラピーです。不要なものを取り除き、歪みを整えるクレイテラピーは自分にぴったりで、身体も心も軽くなりました。
 そんな経験をもとに、2018年に開業した自宅サロン「ゆるりら」。「心と身体をゆるめて、リラックスできる場」という意味を込めました。自身が癒しを得たように、少しでも多くの人に力を抜くこと、デトックスすることで、心と身体が楽になる可能性を知ってもらいたいと思っています。

祖母を元気づけるため始めた
3色パステルアートセラピー

 両親は共働きだったので、子どもの頃から祖母にはたくさんお世話になりました。
そんな祖母が年齢とともに思う通りに動けなくなったとしょんぼりしている様子を見て、一緒に何かできないか模索するなか、出会ったのが3色パステルアートでした。3色パステルアートとは、赤、青、黄の3色のソフトパステルだけを使用するアートセラピーです。元々、私は絵が大の苦手でしたが、独自の方法に沿って描き進めたら、自分でも驚くほどの作品を作れたんです。
 2017年、インストラクターの資格を取得した際、祖母の通うデイサービスでレクリエーションを行なったところ好評で、毎月1回、実施させてもらうことになりました。中津川市、恵那市などのイベントでワークショップや、出張講座を開く場合もあります。
 できた作品の評価や分析はしません。その代わりに自分や他の人の絵のいいなと思うところ、好きなところを伝えあうのです。それによって、一人ひとり自己肯定感が育まれていきます。初めは戸惑う人もいますが、時間が経つにつれ、集中して楽しんでくれるようになります。デイサービスの職員の方からは、「みんなで一緒に楽しむことができた。同じ方法なのに、一人一人個性溢れる作品ができるのが魅力的」といった反響、子どもたちからは笑顔と一緒に、「もう一回やりたい!」「玄関とかリビングとか、みんなに見てもらえるところに飾りたい」といった感想を聞けて、うれしいですね。

家族の協力があってこそ
活動は成り立っている

 イベント時には、朝早くから夜遅くまで家を空けます。近くに住んでいる妹も含めて、家族全員が私の仕事を応援してくれているので、ありがたいです。出張の際は家族が子どもの面倒を見てくれますし、夫や子どもたちがイベントを手伝ってくれる時もあります。
 この仕事をするようになり、たくさんの人に出会い、多様なものの見方を知りました。以前は「こうじゃないといけない」というような、狭い価値観に囚われて、既成概念に縛られていたように思います。
 仕事と家庭を両立するコツは、家族でよく話し合うことでしょうか。よかれと思って、「自分さえ我慢すれば」と思っていた時期もありましたが、ただのエゴだと気づきました。お願いする、頼る、甘える部分があってもいい。お互いがサポートし合い、バランスを取っていきたいです。
 息抜きになっているのは、ユーフォニアムの演奏です。高校時代は吹奏楽部で、卒業とともに地域の消防音楽隊に入団し、現在も続けています。一人カラオケも、ストレス発散になっています。

人とのつながりを大切に
波紋を広げていきたい

 サロンでも3色パステルアートでも、凝り固まった自己否定感が剥がれる瞬間に立ち会えることが醍醐味。一度体験してもらえると、「こういうことか」とわかってもらえるのですが、この感覚を言葉にするのは難しいです。
 好きな言葉は、金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」です。人それぞれの視点、思いがあるからこそ、たくさんの考え方に出会って理解し、認め合えます。もし、みんな同じだったら、新たな気づきは生まれません。自分らしさをお互い大切にできる、個性を認め合える温かな世の中になればいいですね。
 そのためには、まず自らを知って、人生を楽しむこと。そして、自分が多様な価値観を受け入れられるようにしたい。人とのつながりを大切にしながら、知らないうちに、この思いが波紋のように広がっていってほしいです。そうして違う場所で広がっている波紋と出会った時、共鳴してさらに大きな波紋になれるのではと信じています。