岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

家族にも、職場の後進たちにも、
思っている気持ちは素直に伝える
伝わればきっと、一緒に
がんばってくれるから


関信用金庫本町支店/支店長代理
加藤瑠美(かとう るみ)さん(関市)

【2020年9月 3日更新】

岐阜市出身の加藤瑠美さんは、堅実で安定した職業に就きたいと金融機関を志望し、高校卒業後関信用金庫に就職。結婚と出産を経て、子育てをしながら銀行業務検定に挑戦し、実務知識や技能、応用力を高めています。平成30年には関市の本町支店支店長代理に着任。業務のみならず、後進の育成に笑顔と元気、そして愛をもって尽力する女性です。

地元のお客様との距離が近い
信金だから継続できた仕事

 高卒で就職し、26歳で職場結婚。夫の実家が隣接する関市上之保地区に暮らし、現在は夫と高3の長男、中3の長女がいます。更衣室での搾乳、長男は2歳頃まで夜泣きがひどく眠れない夜もありましたから、改めて振り返ってみると30年間、よく継続して働けたと思います。辞めなかったのはこの仕事が楽しかったからです。
 一番の魅力はお客様とのコミュニケーションですね。地元密着の信用金庫ですので、お客様との距離が近い。入出金に見えたお客様と目が合えば世間話が始まり、笑顔に励まされてきました。
世間話から、ご家族の退職を小耳に挟めば、老後の貯蓄や資産を増やす退職金の運用方法などをアドバイス。住まいや店舗の不具合を聞けば、リフォームのお手伝いをすることも。こうした何気ない会話が大きな取引に発展し、店舗の成績アップにつながってきました。小さな積み重ねが自分の力となって、この仕事を続けられたのだと思います。

子どもへの愛は思うだけでなく
「伝える」ことを大切に

 職場結婚ですので、主人は私が働き続けたい理由を理解してくれたと思いますが、子どもたちには寂しい思いをさせたことも。娘が小5の時、学校行事で親子参加のゲームがあった際には、仕事を優先してしまいました。娘からは、「みんなお母さんや家族が来てた。先生が代わりに一緒にやってくれた」と言われ、本当に胸が痛んで反省しました。
 長女は小6の時、小学生女子の県代表として野球の全国大会へ出場し、先頭打者ホームランを打つという希少な記録を残した自慢の娘です。現在は、中学校の野球部で活躍中。週末、試合を観に行くのを楽しみに働いています。
 観戦できる試合は絶対足を運ぶ。長女も時間を割いて駆けつけてくれることを信じて、試合に臨んでいると思います。
 子どもたちが成長した今もスキンシップは欠かさず、一日に一度はギューッて抱きしめます。「ママほど私を愛してくれる人はいない」と感じてほしくて、抱きしめたり言葉にしたり。思うだけではなく、「伝える」ことを大切にしています。

部下から慕われ
頼られる上司になりたい

 私が就職した頃は、「一回言ったら一回で覚えて!」と言われ、ただオロオロするばかりで辛かったですね。それが悔しくて、「言われたことは忘れてなるものか」とその頃からメモ魔になりました。
 2年目には山王通支店へ異動。先輩たちや上司はみな優しく、職場のムードが温かくて、出勤するのが楽しみになりました。その時、働く環境は大事だとつくづく感じて、「自分もこういう先輩にならなくては」という憧れを持った経験をもとに、後輩の指導やサポートに携わってきました。
 支店長代理の立場にある現在は、マネジメントや人材育成こそ重要な仕事。「人は宝で資産である」は信念ですが、自分の子どもを育てるのも難しいのに、他人が育てた子どもを育てるとなると、相当な困難であるのを実感しているところです。
 問題は若い世代のやる気をいかに引き出すか。褒めて伸ばすことを心がけ、話を聞く、相談にのるのはもちろん、気づいてあげる、言葉をかけることを大切にし、母心で育成に当たっています。
 たとえば、いつも弁当を持参する部下が体調を崩してカップラーメンを食べていたので、私がお弁当をつくっていったんです。すると喜んで食べてくれて、それ以来いろんな話をしてくれるようになりました。出会ったからにはお客様だけでなく、部下にも寄り添い関わっていきたい。最近物忘れが悩みで、「みんな覚えておいてね」と声をかけ、私も支えてもらっています。

それぞれの目標に向かって
ただいま親子で奮闘中!

 平成30年7月、百年に一度とされる津保川の氾濫に見舞われ、自宅が浸水被害に遭いました。真夜中、車3台のアラームがけたたましく鳴り始めたと同時に、玄関から水が浸入。あたりは停電で真っ暗になり、暗闇のなか避難しました。
 翌日から1週間休暇を取り、床下の泥など清掃作業に明け暮れました。支店長をはじめ、職場の仲間たちが様子を見に来てくれた時は、本当にうれしかったです。自宅を含め、あたりの惨状に張り詰めていた心が、みんなの顔を見た一瞬で和らいだ気がしました。そんな体験もあり、自分も一生懸命やってきたけれど、先輩や上司、後輩たちに助けられ、支えてもらって今があるのだと気づき、心から感謝しています。
 現在は、銀行業務検定の財務2級取得に向けて挑戦中。息子の高校受験と重なった3級の受験時は、2人で励まし合い、合格の喜びを分かち合いました。息子の大学、娘の高校受験と重なる今回もやる気は充分なのですが、財務が実は最も苦手で、活字を見ると眠くなってしまうんです。「ママも頑張るから一緒に合格しよう」と同じ空間で勉強しています。親子で団結して望みを叶えます。