岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

座右の銘は「一期一会」。
人との出会いの大切さと
活き活きと人生を楽しむ姿を
子どもたちに魅せていきたい


キッズサロン「ちえの輪」代表
澁谷千恵子(しぶや ちえこ)さん(美濃加茂市)

【2021年8月18日更新】

新型コロナウイルスの感染拡大で、小中学校が臨時休校となり、子どもの預け先に困っている家庭の力になろうと、澁谷千恵子さんは自宅にキッズサロン「ちえの輪」を開設しました。美濃加茂市内初の民間児童預かり施設で、学校再開後も継続を決意。手続きも電話1本で利用しやすいと好評です。

自らの経験も活かしながら休校で困っているご家庭のために

 名古屋音楽大学を卒業後、常勤や非常勤の音楽講師として小学校、中学校、高校に勤めてきました。2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための休校が決定した当時は、可児市の小学校で非常勤講師をしていました。
 そのとき「自分の仕事がなくなる」と思うと同時に、いずれ何かしら起業をと考えていましたので「あっ、ここだ!」とひらめいたのです。小学生の息子たちが毎日家にいるようになったことをきっかけに学校も学童も休みになってしまったら、きっと困られるご家庭がたくさん出てくるのではと思いつきました。
 そこで、物置として使っていた自宅敷地内にある倉庫を改装して、児童預かり施設を開こうと考えました。教育の現場に20年以上勤務している経験も活かせますし、自分の子どもも、よその子どもたちも、みんな一緒にここで見られたらいいなと思ったのです。
 でも、突然の休校に対応するためには1週間ほどしか時間がなく、とにかく急を要しました。倉庫は元縫製工場で、20年前に自宅とともに購入して以降、ほぼ物置状態でした。まずは片付けの作業から入り、その後、床にカーペットを貼るなどの改修、机、棚、本や教材、遊具といった備品の調達、スタッフの手配、予約の受け入れ、開業届の提出と、慌ただしく過ぎていきました。

課題も少なくないが多くの人たちの助けも借りて

 3月9日、無事オープンにこぎ着けましたが、準備の1週間から開業後も、本当に多くの方々に助けていただきました。子どもたちのために始めるのだからと、友人やPTA役員時代の知人などが手伝いを申し出てくださり、ジュースやお菓子の差し入れから消耗品や本などもたくさん寄付していただきました。
 軌道に乗り始めたものの、コロナ禍の中、感染のリスクを背負いながら続けることは、不安と隣り合わせの日々でしたが、ある保護者の方から「『ちえの輪』がなくなったら、子どもを預ける場所がなくなってしまいます。最後の砦なのでどうか休業しないで続けて下さい」というお手紙をいただきました。学童には対象学年や受け入れ人数などさまざまな規定があり、私自身、子どもが学童に入れなかった経験があります。悩みましたが、学校が再開された後も続けることにしました。
 現状、課題も見えてきました。民間学童ということで手続きや預かりの規定がなく利用しやすい反面、校区の学校から遠いため、なかなか人数が集まりません。子どもの足で40分ほどかかってしまいますので、利用者には限りが出てきてしまうのです。それでも、困っている方がいる以上、絶対にやっていこうと思っています。
 夫は可茂特別支援学校の教諭です。「ちえの輪」を開くにあたり、感染リスクを心配して猛反対でした。「誰かが一歩踏み出さないと何も変わらない」と、反対を押し切る形で始めましたが、今は支えてくれています。また、ふたりの息子がいなければ、ここをやっていなかったでしょう。ですから私にとって家族は、とても大きな存在です。

音楽ユニットを結成して活動
月1回ペースでコンサートも

 小さい頃からピアノをやっていて、大学でもピアノを専攻していました。歌も大好きで、ピアノより歌のほうが得意です。美濃加茂市生まれですが、育ちは可児市で、将来は歌手になりたいと思っていた高校時代に「好きですふるさと可児の街」と題した歌を発売しています。
 2013年に音楽ユニット「ま音きねこ(まねきねこ)」を結成して、各種イベントや学校、飲食店などで演奏活動をしています。まだ自分たちでコンサートを企画した経験がないので、ぜひ、単独コンサートをやってみたいと思っています。お客様と一緒に楽しめる参加型のコンサートを開きたいです。

地域のため、人のために役立つことをしていくのが願い

 「ちえの輪」を始めて約1年が経ちました。現在、昼間は美濃加茂市立蜂屋小学校の支援員として勤務し、夕方からは「ちえの輪」の子どもたちを出迎え、共に学べる毎日がとても充実していて、やりがいにもなっています。
 結婚を機に美濃加茂市へ戻って20年。地域の方々に支えられながら、仕事や子育てをしてきました。「ちえの輪」もその一環ですが、今後さらに地域の役に立つことをしていきたいと強く考えるようになりました。市政の運営にも関心を持っています。微力ながらも地域に貢献できるよう努めていくことが目標です。