岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

子どもと触れ合いたいと
退職後にボランティア参加を決意
大好きな工作で名札を作るなど
自分自身も楽しみながら
交流の場を提供しています


親子サロンプチトマト代表
奈須鏡子(なす きょうこ)さん(各務原市)

【2021年8月19日更新】

市内に限らず遠方からも人が集う親子サロン「プチトマト」や
家庭を訪ねて母親をサポートする赤ちゃん訪問など、
さまざまな活動を続ける奈須鏡子さん。
相手の気持ちに寄り添うこと、自分の意見を押し付けないことを大切に、
「楽しんで、無理をしないことが継続のコツ」と笑顔で取り組んでいます。

産休の代打がきっかけで
幼稚園に25年勤務

 学校を卒業してから、出身である滋賀県で2年間幼稚園教諭として働いていました。結婚をきっかけに各務原市に移住し、約15年専業主婦をしていました。子育てにも慣れて要領を掴んでくると、同じことの繰り返し。変り映えのない生活が嫌で、「何かしたい」と考えていた時、たまたま娘が通っていた幼稚園の先生が妊娠されたんです。先生は私が幼稚園教諭の資格を持っていると知っていて、産休を取得される3カ月間の勤務を依頼されました。
 当時2歳だった下の娘を連れて出勤。娘とは別のクラスを受け持ち、3カ月間やり抜きました。すると、先生から「育休も取得し、しっかり子育てをしたい」という希望があり、勤務を1年間延長。その間に第2子を妊娠されて、さらに勤務期間を伸ばしました。その後もさまざまな要因が重なり、気が付けば25年。平成16年まで働き続けました。そんな姿を見ていたからか、下の娘が保育士になってくれて、嬉しかったです。

退職後も子どもと関わりたいと
ボランティア活動を開始

 働いていたころは家にいる時間が少なく、近隣の人との関わりもほとんどありませんでした。退職後は家にいるだけというのも寂しいし、せっかくなら子どもと触れ合えることをしたいと考え、各務原市の実施するファミリー・サポート事業を始めました。それをきっかけに、各務原市がボランティア募集していた、子育て支援情報やおもちゃを持参して子どもがいる家庭を訪ねる赤ちゃん訪問、ふれあい絵本デビュー事業での読み聞かせ、放課後子ども教室にも応募して参加しました。
 現在は赤ちゃん訪問と親子サロンをしています。親子サロンは以前からほかの地区で実施されていました。「尾崎でやってみませんか?」と市の方から打診を受け、平成19年に開始。名前は子どもが覚えやすくて、かわいらしいものがいいと考えてプチトマトにしました。

コンセプトは
地域の親子が出会う場所

 親子サロンの開催は第1・第3火曜日の月2回。10時から12時までです。最初はおもちゃで自由に遊んでもらって、11時ごろからは手遊びやエプロンシアターをします。11時半から片付けを始めて、12時には部屋を出なければいけません。おもちゃは置いておけないので、毎回自宅に持ち帰っています。
 ひなまつりのひな人形、端午の節句のこいのぼり、七夕の短冊、クリスマスのリースなど、季節の行事では関連するものを手作りし、少しお菓子を提供していますが、それ以外に大々的なイベントは実施していません。講座を開いたり、劇団を呼んで公演をしてもらったりするサロンも楽しくてステキだと思いますが、私は「お母さん同士がつながるサポートをする」という立ち上げ時の目的を守りたくて。何かを指導する、開催するというより、母親同士の出会いの場を提供する、というイメージなんです。もちろん、相談を受けたらアドバイスはします。でも、正解は子どもや家庭によって違うので、押し付けにならないように気をつけています。
私の気持ちを利用者の皆さんも汲んでくれています。開催当初は新しい人が来ると、皆さんの輪に入れるように私から働きかけをしていたのですが、現在は利用者が積極的に声をかけてくれて、すぐに仲良くなってくれます。
市外から訪れてくれる人もいます。最初のころは市内のみに限定していたのですが、住んでいなくても市内で子どもを預けている人もいます。出産へ向けた里帰り中に、上の子どもを連れてみえる人も。日常ではなかなか会えない人との交流ができていると思います。
母親だけでなく、子どものコミュニケーションの場にもなっています。3歳になると保育園や幼稚園に通いだして、一応卒業という形になるのですが、「プチトマトに行きたい!」と言ってくれる子がたくさんいて、それがとても嬉しいです。夏休みなど園がお休みの期間に遊びに来てくれる子もいます。

名札やカードを手作り
楽しむことが継続の力

子どもたちにつけてもらう名札や、帰り際に渡す次回の日時を書いたカードは、自宅で手作りしています。娘も手伝ってくれて、最初は私が教えていましたが、今では「もっとこうした方がいいよ」と教えられています。夜な夜な工作に励んでいます。「よくできるね」といわれることもあるのですが、こういう作業自体が息抜きなんです。
地域の人とコーラスやゴルフも楽しんでいます。ミュージカルや劇の鑑賞も好きです。新型コロナウイルス感染症で外出が難しくなる前は、娘と頻繁に旅行をしていました。ぼんやりしているのが苦手で、とにかく何かしていたいんですよね。
続けるコツは、健康であることと楽しむことです。家庭菜園をしていて、外食やインスタント食品はなるべく避けるようにしています。車の運転が問題なくできるうちは、親子サロンを続けて、難しくなったら次の人に託そうと思っています。
何かしたいと考えている人も、今無理に頑張る必要はないと思います。私も働いている時は、今のような活動ができなかった。心と体に余裕があって、活動自体が好きだから動ける。退職してからでも遅くないので、ぜひ、自分が楽しめることを見つけてほしいです。