岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

一人の百歩より百人の一歩
たった一人が先を行くよりも
みんなで一緒に進むのが
環境には大切なことです


特定非営利活動法人e-plus生涯学習研究所 代表理事
小林由紀子(こばやし ゆきこ)さん(岐阜市)

【2021年8月23日更新】

e-plus生涯学習研究所は平成17年9月、環境学習の推進を目指して設立されました。代表理事を務める小林由紀子さんは講師として、「地球温暖化」「省エネ」などをテーマに、年間多くの環境講座を実施。平成19年には、地球温暖化防止活動環境大臣表彰(環境教育・普及啓発部門)を受けました。

牛乳パック回収の理由を調べたのが環境に関わるきっかけに

 今から25年ほど前、子どもが小学生のときにPTAの役員になったのですが、牛乳パック回収活動の責任者を任せられました。当時は現在のように出し方のルールが徹底されておらず、洗わないまま出されてカビが生えてしまったこともありました。
 そこで各家庭に向けて、牛乳パックの出し方についてのお便りを書こうと思ったのです。その際に、なぜ回収するのか、理由も加えようと考えました。ところが、私もよくわかっていなくて、図書館へ行って調べ始めました。
 環境を学んでいくうちに、ハマってしまいました。専業主婦でしたので、趣味の講座などを受講したこともありましたが、しばらく続けてみると、どれも飽きてしまいます。なぜか環境だけは飽きることがなく、興味が尽きませんでした。
 PTA役員の任期を終えたあとも、その方たちと環境学習のサークルを起ち上げ、環境に関わる活動の第一歩を踏み出したのです。その頃、環境カウンセラーの登録制度が始まっており、環境学習会の講師をお願いした環境カウンセラーの方から誘われました。受験したところ、合格。しかし周りは環境のプロばかりで、ここは頑張らなくては、と勉強を本格化にやり出しました。
 その後、サークルを発展した形で、環境カウンセラーの方々も加わり、特定非営利活動法人「e-plus生涯学習研究所」を設立しました。現在は活動と並行して、岐阜県環境学習推進員や岐阜大学地方創生エネルギーシステム研究センター特別研究員なども務めています。

環境について学ぶことが楽しくて関連する多数の資格を取得

 当初は公民館のサークルでした。公民館は生涯学習活動のための施設でもあります。環境講座を生涯学習の観点に立って開く必要から、通信教育で生涯学習を学び、生涯学習一級インストラクター、生涯学習上級コーディネーターなどの資格を取りました。
 温暖化や省エネの勉強もして、家庭の省エネエキスパート(診断・指導級)も取得。省エネには家電製品も関わってきますので、勉強を続けていくうちに、家電が好きになりました。家電製品アドバイザーの資格にも挑戦して、合格しました。家電がどう動いているのかなど、いろいろ知れて、勉強も面白かったですね。
 家の構造や家電製品、住宅設備など、エネルギー消費を抑えるスマートハウスの知識を認定する、スマートマスターにも無事合格。第1回の資格試験だったためか、受験会場は大型家電量販店の名札を付けた、業界関係者ばかりでした。
 何かひとつを学んでいくと、関連した分野にも興味が湧いてきます。資格を取るのは、本や資料を読むのも好きですし、仲間もできるので、楽しんで挑戦しています。
いろいろな分野を学ぶうちに地球温暖化と.様々な環境問題(食糧不足や水不足、エネルギー資源の枯渇)などSDGsの視点でみた「環境と社会のつながり」を意識した知識のバランスが、環境について伝える上で大切だと思うようになりました。

だれにとってもわかりやすく楽しい環境講座を目指して

 岐阜県内の小中学校の環境学習や岐阜大学の科学工作教室では、講師を務めるだけでなく、年間のプログラム作り、教材として使うゲームやクイズなどの制作、提供も行っています。百均グッズなどを使って、教材や工作を作っています。
 あちらこちらと遊びに出掛けることが苦手で、休日は庭の手入れをするくらいなので、工作講座で使う教材作りが趣味みたいなものかもしれません。楽しいですよ。
 環境問題などを解説していく場合、つい専門用語を使いがちですが、子どもたちはもちろんのこと、一般の方も難しい言葉が出た時点で思考が止まってしまいます。たとえば、身近な家電の話を通じて省エネ、さらには環境へ、と話を進めたり、ゲームや工作をしながら環境について学んでもらったりと、わかりやすく楽しい講座を心掛けています。
 子どもは集中できる時間が限られていますので、講座の中にいくつも山場を作って、飽きさせない工夫も凝らします。私の作ったゲームが「面白かった」「楽しかった」と、子どもたちの喜んでいる姿を見るとうれしいですね。

だれかに引き継ぐというよりもみんなで考えていってほしい

 環境保全の取り組みや考え、情報などは、私が始めた頃は5年単位で変わっていましたが、近年は3年どころか1年単位で変化が見られます。新しい知識を学び、SDGsなど持続可能な視点をもつ環境活動をするため、環境省の研修や大学の講義を年に数回は受けるようにしています。
 振り返ってみれば、環境学習などの活動に手を染めて、人生が楽しく変わったと感じています。60代の半ばとなり、今後は人材育成も大切な役目となりますが、私の仕事はきっかけ作りだと考えています。私の講座で小さな気づきや驚きに触れて、少しでも環境への関心を持ってもらえれば良いですし、私が楽しんで活動している姿を見て、何かを感じてもらえれば、それで十分だと思います。あとは新しい時代の方々が、互いに手を取り合って自分たちのやり方でやっていく。そのあたりを見据えつつ、今は多くの方に向けて環境の話を繰り返し働き掛けていくつもりです。