岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

提供したいのは
毎日食べたくなる味
焼き立ての手作りパンで
地域に笑顔を届けたい


パン工房まあさ 代表
堀部マサ(ほりべ まさ)さん(大垣市)

【2021年8月26日更新】

2014年、大垣市東町にオープンしたパン工房まあさ。洋風のかわいらしい店構えで、店内には菓子パンや食事パン、総菜パンなど、バラエティー豊かな手作りパンがところ狭しと並んでいます。どれもリーズナブルで、飽きの来ない製品ばかりです。店主を務める堀部マサさんは、教職の頃から30年にわたって趣味として続けていたパンの道へ。焼き立てのおいしさを地域に提供し続けています。

パン作りの趣味を仕事に
10年越しで叶えた夢

 もともとパン作りは趣味で、30年以上にわたって続けていました。教師として教鞭をとる傍ら、仲間5人ほどと朝から集まり、焼き立てのパンをランチに食べるのが毎月の楽しみでした。それがいつの間にか「一緒にお店ができたらいいね」と夢を膨らませるようになり、10年越しで夢が叶ったのは2014年でした。
 開業に向けて、修業先をネットで探し、見つけたのが小規模ベーカリー開業支援「リエゾンプロジェクト」。「5日間の研修ですべて教えます」という言葉に最初は半信半疑だったのですが、プロジェクトを進めるおかやま工房さんは実際においしいパンを販売されていて、それが素人の私にもできたら自信になると思い、やってみようと決めました。「リエゾンプロジェクト」では、マニュアルが用意されていて、製造工程はもちろん、レジを購入するところから、レジにあらかじめ用意しておく釣り銭の枚数まで、開業に必要な内容を教わりました。
 パン屋の経営で一家を支えようという考えだったら、勇気のいる決断だったと思います。焼き立てのおいしさをみんなに届けたい一心で、最低限スタッフの賃金や自分の生活費等が稼げればという考えだったから、できたことかもしれません。

地域の子育て世代に向け
カフェスペースを憩いの場に

 子育てに苦労する娘の姿を見たことをきっかけに、店の半分をカフェスペースにして、その一部に子どもたちが遊べるプレイルームを設けました。出かける場所が無くて悩む子育て真っ最中のママたちに、好きな飲み物を飲んでほっと一息つける居場所を用意したかったんです。
 店を支えてくれているスタッフの多くもママです。土日はなるべく子育てに集中してもらえるように配慮したシフトにしています。
 娘と娘の旦那さん、息子のお嫁さんも店で働いてくれているのですが、夏休み中孫たちの過ごす場所がないということで、2019年にはスタッフ用に子どもスペースを作りました。近所の子どもたちも遊びに来て、新型コロナウイルス対策のため入店者数を規制する前は、まるで託児所のような雰囲気に。そういう場所だから、お客さんも気兼ねなく子どもを連れて店を訪れてくれるのではないでしょうか。

リーズナブルな価格を意識
気軽に買える幸せを

 開店時に店に並ぶパンはほぼ私が担当しており、深夜1時には起床する生活です。夜は20時には就寝しているので、5時間の睡眠時間はとれています。
 開店中は4台のオーブンが絶えず稼働。おいしいパンを届けたいという思いがあるから、苦にはなりません。悩みといえば、お客さんが多い時間帯を読んでどのタイミングで、どのパンを調理し始めるかを予測する難しさでしょうか。焼き立てにこだわっているからこその苦労ですが、食品ロスの削減や、さらには商品単価を抑えることにも繋がっています。
 私たちが提供しているのはお土産ではなく、日常食としてのパン。子どもたちが100円を握りしめて訪れることができるように、リーズナブルな価格帯を意識しています。日常食ですから、商圏として考えている範囲は半径2.5キロくらい。お散歩がてら、ぎりぎり歩いていける距離です。目指しているのは「まちのパン屋さん」。それぞれのエリアでいろいろなパン屋さんができて、その地域が幸せになればうれしいです。


新作の開発や健康への配慮
より魅力的な商品を

 プライベートでは健康体操をしたり、朗読の会に出かけたり、バイブルスタディーに参加したりと、積極的に活動しています。パン屋開業もそうでしたが、新しいことを始めるのに、抵抗はありません。私はめんどくさがりな性格なので、何もしない自分を続けていたら、どうなってしまうのか想像がつきます。出不精になって、何かをする意欲もきっと無くなってしまうでしょう。だからこそせっかくチャンスがあるのなら、あえてそちらを選ぶようにしています。
 基礎固めと思っていた開店から5年が経ち、発展という次のステージに移行しています。5年間はプロジェクトから提供してもらったレシピ外の商品は作れませんでしたが、少しずつアレンジを加え始めています。2019年の周年祭では、毎年行っている塗り絵イベントにアンケートを組み合わせ、食べたいパンのアイデアを募集。集まった案を精査して、毎月1案ずつ1年間にわたって商品化しました。
 健康にかかわる仕事なので、改めて食育について勉強中。たとえば一言でチーズと言っても、ナチュラルチーズと比べて、プロセスチーズの方が添加物を含んでいることが多い。現在も国産小麦の使用や添加物をできる限り減らすなど、配慮はしていますが、まだまだ学ぶことはいっぱいあります。より安全で体に良いパンへ、商品を充実させていきたいです。