岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

子育て情報誌「ままここっと」は
仕事でもあり、自身の子育ての一部に
さまざまな出会いに感謝しつつ
岐阜県の子育てを元気にしたい


株式会社中広 営業本部 イノベーション事業部 ままここっと編集室 リーダー
西部智美(にしぶ ともみ)さん(岐阜市)

【2021年8月27日更新】

岐阜県に本社を置く広告会社として、地域みっちゃく生活情報誌をはじめとした、さまざまなハッピーメディアを発行する株式会社中広。そのなかでも、子育て世代に特化した情報誌が『ままここっと』です。西部智美さんはママとしての視点を生かし、岐阜県での子育てに欠かせない「ものづくり」を行っています。

行政の事業をきっかけに雑誌づくりの世界へ

 岐阜市で生まれ、長良川以北の文教地区で育ちました。子どもの頃から「作ること」が大好きで、細かい作業を得意としていました。大阪芸術大学附属大阪美術専門学校に進学後、本格的に描写や造形を学び、大阪の大手小売店に就職しました。販売促進を行う部署に配属され、イベントのポスターやPOPの制作、ウェブ制作などを担当しました。6年間働いたのちに退職。生活の拠点を岐阜に移しました。
 2009年に娘を出産し、2歳の誕生日を迎える頃、再就職を検討し始めました。その時、タイミングよく中広が発行している『GiFUTO』に岐阜県が取り組む「キャリア女性活用ビジネス推進事業」が紹介されており、事業の一環で中広が育児や介護で離職中の人材を募集していることを知り、思い切って応募しました。6名が採用され、子育て世代向けの情報誌『cocotto(ココット)』の制作が始まりました。
 前職の経験を生かす仕事がしたいと思っていましたが、担当する業務は、営業から取材、原稿執筆まで、すべて未経験の仕事ばかり。しかし営業先は子育て関連の企業だったり、取材先の担当者と共通の話題で話が弾んだり、社会との繋がりを実感でき、気づけば情報誌づくりに夢中になっていました。採用された6人は、同じ境遇の女性同士。仲もよく、困った時は声を掛け合ったり、悩みも共有できたりと、仲間に恵まれた再出発でした。

仕事と子育てのバランスが大事。自分らしく、楽しく

 「キャリア女性活用ビジネス推進事業」は2012年度で終了し、面談を経て、6人中2人が継続雇用になりました。中広入社後は、クリエイティブ部編集課に配属されました。編集課では「地域みっちゃく生活情報誌」の巻頭特集を中心に、さまざまな地域で取材・執筆を行っています。執筆する原稿は、一気に何千文字に増え、『cocotto』で編集を担当していたものの、文法のイロハや「てにをは」などイチから学ぶスタートとなり、必死に原稿を書く日々でした。その時、娘は3歳。帰りの遅い日や出社が早い日は、娘との時間をなかなかとれないときもありました。
 転機となったのは部署の異動。自宅から近い本社勤務となり、子どもとの時間を確保できるようになりました。また、仕事面でも転機が訪れ、2016年保育園や幼稚園を通して保護者に配布する情報誌『ままここっと』の創刊が決定しました。子育て世代のお母さんがターゲットの情報誌でしたので『cocotto』の経験を買われ、編集ディレクターとして、一誌丸ごとコーディネートする役割を担うことになりました。
 『ままここっと』では地域のママたちに制作業務などを担当してもらい、女性の社会進出をサポートする「パートナー制度」を採用しています。人材の面接や管理業務も担当するほか、パートナーの皆さんに集まっていただき企画会議を開催しています。情報交換をしながら、一緒に参画できる環境作りを心がけています。子育てママは情報収集に敏感でみなさん活発で元気いっぱいなので、たくさんの刺激をいただき学びの場を得ています。
これからも「ままここっと」を通じて「つながり」を提供し、子育てが楽しいと思える「きっかけ」を発信していきたいと考えています。

ワーク・ライフ・バランスの調和で活躍できる場はもっと広がる

 2018年10月からは、中広独自の取り組みとして「児童虐待防止運動」が始まり、会社全体で児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」の認知度向上に努めています。
 私は2019年5月に岐阜県で設立された任意団体「オレンジリボン岐阜ネット」に、役員として参加し、同団体から啓発グッズの制作依頼を受け、バッグにつける「バッグチャーム」をグッズ化しました。今までにないオシャレな啓発グッズができたと評価していただきました。
 仕事量が増えても、家庭と両立できている秘訣は、明確なスケジューリングです。優先順位を見極めて進め、翌日すぐ仕事に取り掛かれるように準備まですると、一日はあっという間です。女性の活躍を推進する会社の制度にも助けられています。年次有給休暇を時間単位で取得できるほか、小学6年生までは、年次有給休暇とは別に「子の看護休暇」を取得することができます。

家族が応援団 「楽しい」を共有して元気チャージ

 娘が小学生になった時、「お友達のママは家にいるのに、なんでうちのママは働いているの?」と聞かれました。仕事の内容を伝えた上で、辞めることも覚悟して、「働いているママと家にいるママ、どちらがいい?」と尋ねたところ、「働いているママがいい」と嬉しい言葉が返ってきました。そこで、子どもに寂しい思いをさせまいと、家庭と仕事の両立について夫に相談。今では「ままここっと」の繁忙期のサイクルを家族にも共有し、理解と協力を得ながら仕事と家庭の両立をすることができています。
 休日は家族との時間を満喫。去年から、コロナ禍でも家族共通で楽しめることとして、近所で家庭菜園をはじめました。畑にいると、ご近所の方に声をかけていただくこともあり、娘の顔を知ってくれている地域の方が増えました。家では収穫した野菜で料理をするなど、畑の話題で会話も弾んでいます。