岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

社員指導のため講師業にトライ
キャリアコンサルタントや
産業カウンセラーの資格を取得
人々の輝く人生を支援するため
会社を設立


株式会社BLS 代表取締役
中川久枝(なかがわひさえ)さん(各務原市)

【2021年9月 1日更新】

72歳で会社を立ち上げ、キャリアコンサルやカウンセリング、研修で人々の輝く人生を支援する中川久枝さん。
「足りないと感じたことはすぐに学ぶ」という姿勢で多様な資格を取得。
現在は後輩育成にも力を入れており、岐阜で働くキャリアコンサルタントの土台作りをしています。

夫の起業をきっかけに生活が大きく変化

 株式会社BLS(Brilliant Life Support)では、産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、社会保険労務士が「輝く人生を支援する」という目標に向けて奮闘しています。
高校卒業後は銀行に入行。結婚してからは専業主婦として子育てに専念していました。転機となったのは、1982年です。夫がIT関連の会社を立ち上げ、私は総務・経理など社内業務を担当するようになりました。最初は消極的な気持ちでした。会社が名古屋だったので、15時に幼稚園に子どもを迎えに行くために朝早く出勤するなど、とにかく忙しくて、何度も夫と喧嘩をしました。
 しかし、新入社員採用を始めたころに、「うちの会社を選んで人生を預けてくれるんだから、しっかり育てないといけない」と考えるようになったんです。同じ時期に同年代の友人が突然亡くなって、「文句ばっかりいっていちゃいけない。彼女の分も精一杯生きなきゃ」という思いが強くなりました。

必要と感じたスキルを身に付けるため勉強を続ける

 外部に研修を依頼する費用がなかったので、社員を自分で指導しました。銀行で働いていた時代にマナーを学んでいたので、基礎は身に着いていました。クライアントから「社員教育が行き届いているね。どこの講習を受けているの?」との訊かれるようになり、私が指導しているというと、「一緒にやってほしい」と依頼を受けました。40歳になる少し前で、そこから講師として活動するために講師養成講座など、いろいろなセミナーを受講しました。
 新入社員、リーダーシップ、管理者など階層別に研修をする中で、特に管理者の人達には納得してもらえていないという感覚がありました。「この人たちの心に残る研修をするには、まず相手の気持ちを学ぶ必要がある」と考え、50代前半で産業カウンセラーの資格を取得。その後キャリアコンサルタントの資格にもチャレンジしました。
 もともとキャリアコンサルタントになりたいという気持ちがあったわけではなく、明確な目標は持っていませんでしたが、仕事をする中で必要だと思ったことを勉強した形です。私は講師を務める講習でよく「人生勉強ですよ」と話しをしますが、私自身これからも新しいことをどんどん学んでいかなければいけないと思っています。

後輩が経験を積む場として会社を設立する

 2007年に定年を迎えて、フリーのキャリアコンサルタントとして活動を始めました。
定年までは名古屋に通勤していましたが、自分が暮らしている岐阜で何かお返しがしたいと考えていたとき、厚生労働省の「女性の再チャレンジサポートプログラム」に声をかけていただき、岐阜担当のキャリアコンサルタントとして3年活動しました。県内各地を回る中で、今まで知らなかった各市の魅力をたくさん見つけられたと思います。
 みなさん、「目の前が明るくなりました」「自分のやりたいことを見つけて頑張ってみます」など声をかけてくれます。元気になってくれたとわかると嬉しいです。「キャリアコンサルタントをやりたい」といってくれる人もいて、資格取得のサポートをしました。
 後輩が育つ、想いをつないでくださるというのはとても嬉しいことです。「一緒に仕事をしたい」「中川さんの活動を続けていきたい」といってくれる人がいて、「受け継いでもらうなら、個人事業主ではだめだ」と2019年、72歳で株式会社BLSを立ち上げました。社員はおらず、仕事があったら、協力してくれるみなさんと共同で請けたり、依頼として任せたりしています。キャリアコンサルタントの資格を取得した直後は定期的に仕事をもらうのが難しいので、会社を利用して実務経験を積んでほしいと思っています。

希望を伝え支えてもらうことが公私両立のコツ

 仕事とプライベートの両立をするためには、周囲の人に助けてもらうことも大切です。
私自身も仕事が遅くなったときは、近隣の人が子どもを迎えに行ってくれるなど、たくさんの人にサポートしてもらいました。
 例えば、育休明けに子育てをしながら時短勤務をしたいけど、会社に制度がないというとき。諦めて辞めてしまうのではなくて、自分の状況を説明して「このまま働きたい」という意思を伝えれば、対応してもらえるかもしれません。希望を口に出すことが重要だと思います。
 息抜きは週1回のコーラスと家庭菜園です。家庭菜園では大根、ブロッコリー、スナップエンドウ、ホウレンソウなど、少しずつたくさんの種類を試しています。自分で育てたものを食べると、本当に嬉しいです。
 最初は70歳で仕事辞めようと思っていましたが、周囲の人にたくさん声をかけていただき現在まで継続できています。夫が起業した際、私は大反対でしたが、今では社会に出るきっかけを与えてくれたことに感謝しています。
次の目標は75歳。どこまでできるかわかりませんが、できる範囲で、後輩がイキイキと活動できるように、また、地域で働く方々が自分らしく輝いていられるようにサポートしていきたいと考えています。