岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

安全安心で時短調理を叶える
とまじゅうカレー
生活に寄り添った
安心安全な新商品を
開発していきたい


株式会社寺田農園 販売部責任者
松山奈津子(まつやま なつこ)さん(高山市)

【2021年9月16日更新】

高山市に帰郷後、姉・寺田真由美さんが代表取締役を務める寺田農園に就職した松山奈津子さん。アンテナショップ(現在は閉店)での店舗運営業務を経て、現在は販売部の責任者として発送や加工の管理を担当しています。松山さんが開発に携わった「とまじゅうカレー」は自社のトマトジュースをふんだんに使用した一品。家事や育児、仕事と忙しい日々を送る中でも、家族には安全なものを食べてほしい、そんな女性スタッフの声から生まれた化学調味料無添加の安心安全な商品として、平成30年度「ぎふ女のすぐれもの」に認定されました。

結婚・出産を経て高山へ帰郷
未経験だった農業の世界へ

 高山市に生まれ、高校卒業後は短期大学進学のため、東京に移りました。語学力を磨きたいとワーキングホリデーでオーストラリアに留学。帰国後は、海外生活で身につけたスキルを生かし、名古屋市内の英会話学校に就職しました。
 結婚・出産後、夫の転勤で高山市へ帰郷。姉が寺田農園に嫁いだため、夏の繁忙期はトマトの選果や箱詰めなどを手伝うようになりました。社員となったのは、2013年。国の助成を受け、農産物の付加価値アップや雇用促進、加工技術の向上を目指す「シトナルプロジェクト」を始めたことがきっかけでした。翌年4月に市内でオープンしたアンテナショップ「庄兵衛さん家のとまじゅう」では、ブランディングやトマトジュースのメニュー開発など店舗の運営に携わりました。
 実家が兼業農家でしたので幼いころから農業は身近な存在でしたが、何の知識も持ち合わせていない自分が携わるとは思ってもみなかったです。

青果と加工の両方を管理
他社の加工も手がけることで産地をPR

 現在は、販売部の責任者として主に、青果と加工品の管理をしています。トマトの生産は夏から秋が繁忙期。朝に収穫されたトマトが作業場に届いたら、箱詰めをして発送の手配をします。品種によっては夕方に収穫するものもあり、一日を通して大忙しです。
 自社製品だけでなく、加工の受託もしているので、同時期には他の農園からもトマトが届きます。1日にジュースに加工できる量は限られているので、いつどこからどれくらいの量が届くのかを調整するのも大切な仕事です。他社からの受託は競合を増やすようにも思えますが、高山市がトマトの産地であるのをご存じない方も多いので、たくさんのトマトジュースを手がけることで産地のPRにつなげていきたいですね。

まかないから生まれた
安心安全の「とまじゅうカレー」

 「ぎふ女のすぐれもの2018」に認定された「とまじゅうカレー」は、2017年から販売している人気商品です。1缶あたりトマト約4玉が入っているほか、数種類のスパイスや玉ねぎ、あいびきミンチを使用。化学調味料無添加で、辛さがマイルドなのでお子さまも安心して召し上がっていただけます。
 商品化のきっかけは、まかないで食べていたトマトジュース入りのカレー。飲料としてなじみのあるトマトジュースを、料理でも活用してもらいたいとの思いもあり、地域のイベントで販売しました。お客さまから「美味しい!」とお褒めいただいたのを機に、商品化に着手。イベントではお客さまの反応を直接見聞きできるので開発時の参考になりました。トマトが苦手な方でも「これなら食べられる!」とおっしゃる方もいて、喜びを感じます。
 弊社で働くスタッフの多くは子育て中の女性。加工食品を取り入れることで時短調理が可能になり、家族団らんの時間が増えればいいなと思います。現在は中辛のみですが、「辛さのバリエーションがほしい」とのリクエストも多く、新商品を検討中です。また、間もなく販売を予定している「完熟トマトのパスタソース」には、「サンマルツァーノ」と「シシリアンルージュ」という加熱用トマトと玉ねぎ、にんじん、セロリ、ニンニク、塩を使用。「日々の生活にあったら」というコンセプトをもとに、素材をシンプルに仕上げました。ご家庭で気軽に取り入れてもらえるような、暮らしに寄り添った商品を今後も開発していきたいですね。

暮らしの中での気づきを
商品開発のヒントに

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で休校時には、我が家の2人の子どもが箱折りや、シール貼りの作業を手伝ってくれました。「頑張ったら報酬がもらえる」と、子どもたちにとって、いい社会勉強になったのではないかなと思います。
 食べることに興味があり、外食先で口にしたメニューや盛り付けが商品開発のインスピレーションに。料理することも好きで、トマトがたくさん収穫できたときは長時間の保存が可能なピクルスやソースにつくったりして、どの品種が生食や加工に向いているかなど特性を見極めています。