岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

おもしろそう!と
異分野に飛び込んで十数年
自分が「使いたい」
「使いやすい」ものを
手がけています


株式会社水生活製作所 開発2課長
太田美穂(おおた みほ)さん(山県市)

【2021年9月21日更新】

水栓バルブ発祥の地である山県市美山地区に創業し、浄水器や水栓の商品開発・製造を行う株式会社水生活製作所。開発部に所属する太田美穂さんは、塩素を除去する入浴料「おぷろ」や国内外で注目を集めるマイクロナノバブルのシャワーヘッドなど、社の主力商品を手がけてきました。

畑違いの工業系企業に就職
失敗を機に、設計のイロハを学ぶ

 愛知県に生まれ、岐阜県内の大学に進学。岐阜大学連合農学研究科生物資源科学専攻で、農産物の加工やバイオマス(エネルギー源として利用できる生物体)などについて学びました。就職活動中は学んだことを生かせる食品関連会社の入社試験を受けていました。そんな中、企業展で出会ったのが「株式会社 水生活製作所」でした。塩素などを除去する浄水器や水栓の開発・設計、製造などを手がけており、自身が学んできたこととは全くの畑違いでしたが、「違う分野の方が、真新しくておもしろい」と入社を決めました。
 入社後は開発部に配属されました。部署内では専門用語が飛び交い、話の内容が理解できず、「何もわからないのに、私が開発部でいいのかな...」という戸惑いがありました。
 ターニングポイントとなったのは2010年。蛇口から水がポタポタ垂れてしまう現象を改善する部品づくりに一から携わりました。自身でひいた図面を製造現場に持っていくと「これは実現不可能」と却下。旋盤(せんばん)・加工の知識を持ち合わせておらず思うがままに設計していたため、製品として形にできないものを考えていました。
 頭で考えたものを図面に起こしたところで、すべてが製品として世の中に出せるわけではない。製造方法を考えて設計しなくてはならないことを知り、材料の性質や加工方法など、他部署の方からさまざまなことを学びました。

顧客の声を受け、塩素除去の入浴料「おぷろ」シリーズを開発

 2010年、弊社では分野の異なる製品の販売を始めました。入浴料「おぷろ」シリーズです。浄水器を愛用してくださっている顧客から、湯船に張る湯の塩素を除去したいとの声が届いたことがきっかけでした。
 これまでのノウハウを活用し機器を用いた浄水方法を考えましたが、一度に約200リットルを浄水するためには大型の機器をご家庭に設置しなければならず、製品化は難しいと判断。そこで、塩素を除去するビタミンCに着目しました。ビタミンCは水溶性なので一度濡れてしまうと除去効果はありません。使い切りできるものとして、入浴料が頭に浮かびました。ビタミンCをメインに、保水力のあるコラーゲンとヒアルロン酸などを配合。実際に製品を試して使用感を確認するなど、開発には3年を要しました。
 湯触りをマイルドにするのが入浴料の特徴。柔らかな雰囲気を演出したく製品名を「おぷろ」と命名しました。発売当初のラインナップは、ミント系の清々しい「うみ」と、ゆず系の少し甘くてすっきりとしている「くも」、南国の花をイメージした「はな」3種類でした。
 一般的な入浴料のように、ネーミングには色や香りを全面に出していません。「今日は『くも』のお風呂に入ろう!」などと子どもが知っている言葉を用い、子育て世代のバスタイムが楽しくなるようにとの思いを込めたからです。
 「お風呂が楽しくなった」「バリエーションを増やしてほしい」との声を受け、現在は入浴料9種類のほか、「おぷろアロマ」や「おぷろ スパ」などを販売。色や香りには、自分の好むものを取り入れています。2014年には、残留塩素のダメージから肌を守る「おぷろボディソープ」を発売しています。


日々の気づきや自身の感性を製品づくりに活かす

 現在の主力商品は、マイクロナノバブルのシャワーヘッド。乱流で泡を発生させることによって、洗浄力をより高めたり、高い肌水分量や体温を長時間維持できたりと、美容にうれしい効果が期待できるものです。浄水機能がついたマイクロナノバブルシャワーヘッドがほしいとの要望があり、現在開発を進めています。
 シャワーヘッドは形状やタイプがさまざまで、男性は水圧の強いもの、女性は肌あたりの優しいものを好まれるなど、男女によって好みがはっきりわかれており興味深いです。「自分にとって使いやすいものをつくろう!」をモットーに、「シャワーヘッドにストップボタンがあると節水につながる」「持ち手が細いと女性も持ちやすい」などの日々の気づきと、顧客アンケートを参考にしながら製品づくりに取り組んでいます。

趣味のテニスを通じて世代を超えた出会いに恵まれる

 結婚を機に、縁もゆかりもない白川町へ引っ越ししました。身内以外に知り合いが町内にいないことに寂しさを感じ、地元のテニスサークルに入会。高校時代にプレーしていたテニスを復活しました。サークルには20~60代の男女が所属。身体を動かせるし、いろいろな方と出会えるのがいいですね。今は会社がある山県市内のテニスサークルにも参加しており、週2回テニスに汗を流しています。
 私が所属する開発部では、製品の設計のほか、会社のウェブサイトも運営しています。どのようにすれば閲覧数や購入数がアップするかなど、まだまだ改良が必要だと感じているので、今後さらに勉強していきたいと思っています。