岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

男女共同参画を推進。
市民のみなさんと心を通わせて支援。
家族や友達、仲間の応援があるから


岐阜市女性センター 副所長
河合 覚子(かわいさとこ)さん(岐阜市)

【2022年8月15日更新】

男女共同参画社会を推進ためのきっかけとなるセミナーやイベント開催、女性の様々な悩みに寄り添う岐阜市女性センターは男性も女性も、それぞれが平等に活躍する社会を目指しています。副所長として働く河合覚子さんは正解のわかりづらい難しい仕事ですが、応援してくれるご自身の家族や友達、仲間に感謝しながら、他者支援を行っています。

青少年支援から女性支援へ。多様な問題と向き合う

短期大学の保育科を卒業後、「育ててもらった地域で役に立ちたい!」と思い、岐阜市明徳町にある公益財団法人 岐阜市教育文化振興事業団に就職。財団が管理運営する「ドリームシアター岐阜」に勤務しました。一年目は、市民のみなさまと直接対面する受付窓口を担当しました。2年目以降は、短大で学んだことを生かして、親子向けの講座の講師を務め、子どもたちと一緒に作品を作るほか、施設管理や予算管理も担当しました。在職期間中、特に大変だったことは、予算管理です。26歳の頃、頼りにしていた上司2人が退職と異動に伴い、ドリームシアター岐阜の運営に掛かるすべての予算管理を一手に担うことでした。とても、大変な仕事でしたが、できないではなく、とにかくやってみようからはじめました。自己肯定感が低かった自分は、その仕事を乗り越えられたことは、大きな自信へと繋がりました。
 2012年、同じ事業団が運営している現在の勤務地、岐阜市女性センターに異動しました。
こうして青少年への支援から、女性への支援に携わるようになりました。男女共同参画を推進する拠点施設は、さまざまな方が社会に参画したい、何か一歩踏み出したい、相談したいと来てくれますが、異動した頃はわからないことがたくさんありました。着任してすぐ、「おひとりさまの老後」を共著で出された社会学者の上野千鶴子さんが講演をしてくださることが決まっていたため、すぐにその告知チラシを制作しました。もちろんパソコン上でのチラシ作りは初めてのことで、試行錯誤しながらチラシを作ったことを覚えています。「できないことも、まずやってみる」という気持ちを持ち続けていたからこそ、ここまで仕事を続けてこられました。

実感するやりがいと、難しさ

「女だからこうあるべき」、「男だからこうあるべき」という男女の固定的な役割分担意識に縛られて、男性も女性も生きづらさを抱えていることはないでしょうか。岐阜市女性センターは、そういった社会的・文化的につくられた性別=ジェンダーに気づき、「その人らしく伸びやかに生きる」「性別にかかわりなく、個性と能力を発揮し、責任を分かち合いながら共に歩む社会」=男女共同参画社会を実現するための市民の活動拠点の場です。私たちは、ジェンダーに気づき。男女共同参画社会が実現するためのきっかけとなるセミナーを開講したり、「自分の強みを生かして何かしたい!」という市民のみなさんの活動のお手伝い、ジェンダーに縛られて悩みや孤独を感じている方の相談、などを受けています。
女性センターに寄せられる相談は、就職、結婚、子育て、DV被害、さらには年金など多彩です。相談内容を聞いて、より専門知識が必要であれば、相談者をその先にある相談窓口へとつなぎます。
こういった活動の中で担当したひとつが再就職を支援する「女性の活躍応援セミナー」。これまで、なかなか再就職が決まらず、「何か変わりたい!」と思い、このセミナー受講された方がいらっしゃいました。セミナー終了後も、何度か話にいらっしゃって、励ましたことも。でも、励ますだけで何の解決となる道筋を立てられない自分の未熟さに気づき、国家資格キャリアコンサルタントを取得しました。仕事と家庭とさらに勉強を同時にこなす毎日でしたが、家族や仲間から励まされながら、何とか一発合格で資格を取得できました。
そんな中、資格を取得するきっかけをくれた方が、時を経て、再就職が決まり、そこで私への感謝の言葉を述べられていたと人づてに聞きました。あの頃、何の解決の言葉を掛けられなかった未熟な自分に感謝していただけ、そんな私でもお役に立てたことがとてもうれしかったです。

女性の居場所を開設

岐阜市では女性センターは令和3年9月から、気軽に相談でき、さまざまな支援に繋げる「女性の居場所」を開設しました。訪れる方は、コロナをきっかけに孤立孤独を感じ、将来の不安を抱える方、ワンオペ育児に悩みメールで相談される方、コロナ以前から精神的不調を抱えている方など、多岐に渡ります。
男女共同参画社会を益々推進していくためには、多様性を認め合い、誰もが自分らしい人生を歩んで行けるよう、「伴走型支援」「女性の社会参画と女性活躍支援」の両輪で行うことが、近道ではないかと思います。近年ではコロナの影響で、飲食店や宿泊業で働く女性が、勤務日数の減少に伴い収入が激減しました。特に、独身女性やシングルマザーは、家庭の主収入で賄っており、これまでもあった女性=パートといった社会的な不平等な構造が顕在化されたと感じています。

若い女性に向けた予防教育にも力を入れて

小・中学校に出向いて、出張セミナーも行います。子どもたちに、ジェンダーに関することを理解してもらいやすいようわかりやすくクイズを出題します。定期的に訪れている短期大学では、学生にストーカー被害やデートDVなどについて話します。女性に関する法律が改訂されたらみんなに伝え、予防教育として知ってもらいたいです。女性だから従わないといけない、男性だからリードしないといけないということはなく、男女平等の社会を作っていきたいです。
私は3児の母として、女性支援という人のための仕事をしておりますが、家庭と仕事のバランスは取れているかと、ふと悩むことがあります。それでも、子どもたちは年齢ごとに自分なりにできることをしてくれています。最近感じることは、子どもたちが元気だから、私は誰かをお役に立つ仕事ができる。夫や父母のサポートに感謝しながら働いていきます。