岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

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自由な働き方を実践して
女性の雇用につなげたい。


株式会社ゴシンボク 取締役 地域おこしコンサルタント
株式会社ごえん 代表取締役 地域商店コンサルタント   

山田 文美(やまだ あやみ)さん(中津川市)

【2022年8月15日更新】

商店のコンサルティング事業を行う株式会社ごえん、地域商材に付加価値を付けて外に発信する株式会社ゴシンボク。仕掛け人と言えるのが山田文美さんです。結婚を機に移り住んだ中津川市の魅力をPRしながら、働く自分たち自身もワクワク、楽しめる仕事を生み出そうと奮闘しています。

父が営む民宿に携わり小学生から販促を実践
私は高山市の出身で、父が民宿を営んでおり、7歳から民宿を盛り上げる方法を考えて、店頭に置くPOP広告を書くことを覚えるなど、今でいう販促の手伝いをしていました。それが今の地域コンサルタントの仕事の原点かもしれません。
京都の短期大学を卒業後、イラストレーターとして活動もしていた経験が役立ちました。23歳の時に結婚し中津川市にきました。夫の実家が時計・眼鏡店を営んでおり、義父が亡くなったことを機に事業を継ぎました。
義父の店を継いでからは、立て直しに奔走しました。まず、新規客を獲得するために手描きチラシを作成しました。お客様に毎月のニュースレターを送るとともに、占いイベント等を開催して、まずお店に足を運んでもらおうと考えました。イベントに来店された方に時計、宝石について知ってもら興味を持って納得して購入してもらうため、その場で売ることを最優先にしない、という考えは、今も変わっていません。時代とともにWebを使った集客に移行するため、SNSを取り入れています。
チラシ、ニュースレターといった取り組みをビジネス系メディアで紹介してもらえたほか、雑誌「商業界」への寄稿が、さまざまな方の目に留まりました。全国の商店主、社長の方から連絡をいただき「自分たちの販促物の添削をしてほしい」と頼まれるようになりました。最初は無償で添削をしていましたが、依頼数が増加するにつれ有料化とさせてもらい、コンサルティング事業として継続して行っています。株式会社ごえんを設立し、時計・眼鏡・宝石販売店とコンサルティング事業、築150年の古民家を再生したゲストハウスとカフェの経営をしています。

地元資源の見せ方を変え、外に届ける役割を担う
より幅広い展開ができると考えているのがもう一つの「株式会社ゴシンボク」です。地域では人口減少が確実なので、「他所から人を呼ぼう。また、地元商材に付加価値を付けて販売しよう」というコンセプトです。私たちは物を作れませんが企画・販売は得意です。また、生活するなかで地元には良い物がたくさんあるのに、昔ながらの売り方のため外に発信できていないことに気付きました。あるけど知られていない、良いけど売れないモノを見せ方を変えて届けるのがゴシンボクの役割です。付知町のゆるキャラ「あまねん」と、中津川の「にゃかつがわ君」の動画を作るなど、なんでも柔軟に、地元資源の製品化に取り組んでいます。

アイデアを出し合って弱みを強みに変える
 ゴシンボクのスタッフで意見を出し合い、弱みを強みに変えた商品が「高級ねこプランター」です。もとは、中学校の教材用に作成した地元のヒノキを使用した植物プランターでした。地元木工団体が残った在庫が売れず困っていたのを、ごえん内部でミーティングし、スタッフの「うちの猫、きっとこの中に入ります」という言葉をきっかけに「植物ではなく猫にターゲット変更」をしました。実際、家に持ち帰ってもらい試すと2匹の飼い猫が気持ちよさそうに中に入り寝てしまいました。ここから猫用高級プランターを思いつきました。弱みであった「塗装してない」特徴が強みに変わりました。
 2021年8月に始めたのが田舎に人を呼びたいという地域おこし事業「バトラベラー田舎ード(バトラベラーいなかード)」。「バトラベラー」とは、「バトル」と「トラベラー」を、「田舎―ド」は「田舎度」と「田舎カード」を、それぞれ掛け合わせた造語です。地図を見ながら中津川市を散策してもらい位置情報と目的地の写真をラインで送ってもらうと土産、伝説をモンスター化したカードがもらえます。夢はルールを統一して、全国の田舎で対決をすることです。日本だけじゃなく、世界にまで広がらないかと考えています。
ゴシンボクにはたくさんの事業があり、ペット用商品を扱う「愛まる」、付知町のロケーションを提供する「さとロケ!」などがあります。
すべては地域が知ってもらうきっかけになり、交流を生むことが目的。スタッフたちの発案で人が中津川市に来訪してくれれば、消費につながり地域活性につながります。
すべては地域が知ってもらうきっかけになり、交流を生むことが目的。小さいころから、自分たちの発案で人に動いてもらいたい。そうすれば消費につながり、地域活性につながります。

仕事受注を増やすことで地域で働く女性の支援に
ゴシンボクはスタッフも個性的な人が多くて、1つのことに没頭するタイプばかりです。過去にはスタッフ発案で「コスプレ講座」を開いたこともあります。コスプレーヤーを付知町に呼ぶための前段階で企画したもので、目的はキャラクターの内面から学ぶというものでした。ポージング、メイク、ウィッグにもコツがあり、内面を知らないとコスプレではなく余興で行う仮装のようになってしまいます。コスプレ講座は、なんでも柔軟にやってみるゴシンボクらしい企画だと思っています。
今は田舎にいても全国相手に仕事ができるので、地域の女性に仕事を増やしたいと考えています。会社には週1日5時間勤務の人もいれば、週3勤務の人、在宅ワークする人もいたり、働き方を尊重するようにしています。
これからもっと会社として、全国からの仕事を引き受けて、地域で暮らす女性の仕事を増やしたいと考えています。とくに介護、子育て中でなかなか働けないという女性支援をしたいですね。もちろん、ただ商品を生み出す、売るだけではなく私の考えの根底にあるのは購入したお客様に「買ってよかった。人生楽しいな」と思ってもらうことです。そこは常に意識して、みんなで楽しくワクワクするような仕事を増やしていきたいです。