岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

地域資源を体験コンテンツへ。
ディレクター、地元町づくりの経験者
そして醸造家の3人で
東濃発のクラフトビールを。


株式会社東美濃ビアワークス 代表取締役
東 恵理子(あずま えりこ)さん(瑞浪市)

【2022年8月15日更新】

テレビ局社員、地方創生の仕事を経験して2020年に瑞浪市にUターンした東恵理子さん。東濃エリアでは初めてとなるクラフトビールの醸造会社として注目を集めています。町づくりを経験した岡部青洋さん、醸造家の丹羽智さん、東さんの三人で会社を運営。クラフトビールを入口に観光資源発信に挑みます。

バングラデシュでラジオ体操 参加型コンテンツの魅力を知る
 私は高校卒業後、北海道の大学で言語学などを学び2011年の大学卒業後に北海道テレビ放送へ就職しました。アイデア次第で企画を採用してくれる職場でディレクターとして勤務したくさんの経験を積みました。退社後は2年ほど、青年海外協力隊としてバングラデシュへ。首都のダッカからさらに車で8時間ほどの田舎に暮らし、前職の経験を生かしてコミュニティラジオ局の番組制作支援に携わりました。生活するなか、現地住民の方の健康状態の悪さを目の当たりにし、「何とか改善したい」と、みんなとバングラデシュオリジナルのラジオ体操を考えて、広めました。今までのテレビ、ラジオのような作って終わりではなく、ラジオ体操のように日々続けることができる持続可能な参加型コンテンツの魅力を知るきっかけになりました。
帰国後、2017年に東京で地方創生の仕事を経験。栃木県、高知県などの市と携わり、観光の体験コンテンツで町の魅力を生かした、稼げるコンテンツ作りを学びました。

東濃を盛り上げたい想い 三人の思いがつながり会社設立
 働きながら「いずれ地元で何かしたい」と思っていて、そのために仕事でいろんな経験を積んできました。東京にいながら地元に帰省して知り合ったのが、多治見市でまちづくりに携わっていた岡部青洋さん。株式会社東美濃ビアワークスも私と岡部さんが「何か東濃で面白いことをしたいね」と、意気投合して始めました。まず、東京で働きながら「器と東濃の食とビールの会」という集まりを計5回開催。そこに2回目から参加してくれたのが中津川市出身で、いま、東美濃ビアワークスのビールを造ってくれている醸造家の丹羽智さんです。そのころ、彼は山梨県の醸造所で働いていましたが、私と同じように「いつか地元に」という思いを持っていました。全国各地で醸造所の立ち上げを経験した彼が醸造家として参加してくれることが決まり、東濃発のクラフトビール醸造会社につながりました。
 そして東美濃ビアワークスでは「CAMADO BREWERY(カマドブリュワリー)」の名でクラフトビールを醸造・販売しています。
 2020年にUターンした私にとって久しぶりの地元だったのですが、多治見市で活躍していた岡部さんが地元デザイナー、器の作家さんらと親交があり助けられました。お互いが得意分野を伸ばしあい、三人で会社を運営しています。

バーレーワインが得意 多彩なクラフトビールがそろう
カマドブリュワリーで販売しているクラフトビールは「Yatto Came Ale(やっとかめエール)」、「Fond de White(ほんでホワイト)」など定番が4種類。それに、窯焼きをストーリー風で伝える「窯焚物語」と名付けたビールも4種類あり、会社設立から1年半ほどで季節限定もすでに25種類は出しています。醸造家の丹羽が得意なのはハイアルコールで「大麦のワイン」と呼ばれるビールの一種類、バーレーワインです。アルコール度数15%と高いのですが甘美な味わいが特徴です。地元産ゆずを使う、にごり系ビールにもトライしています。ほかのクラフトビールでも地域の物を使い、地域と積極的に関わりあうことを心掛けています。2020年7月の豪雨で大湫神明神社の杉の木が倒れてしまったのですが、その杉の木の一部を譲り受け、杉の木をビールの香りづけに使わせてもらいました。
私は「地元には何もないな」と思い、海がある北海道の大学へ行きました。でも、Uターンして暮らして実感するのは視点を変えれば、瑞浪市にもいろいろな魅力があるんだなって実感しています。

観光ツーリズムの拠点にしたい 工場併設のビアバーも完成
新たな試みとして、2021年12月に工場併設ビアバー「HAKOFUNE(ハコフネ)」を開設しました。できたての樽生クラフトビールを常時6種類用意していて、その場で飲んでもらうことができます。地元の酒店、飲食店、オンライン販売、曜日を限定して工場でビールを販売していましたが「作りたてを常時、飲める場所はないの?」というご要望に応えることができたと思います。
工場併設ビアバーにはまだ目的があって、ゆくゆくは釜戸町に来てもらった方のツーリズム拠点にしたい考えです。2021年秋には、瑞浪市にある竜吟の滝を歩きながらビールを飲むという企画も実施しました。竜吟の滝といった観光資源×クラフトビールで瑞浪市に興味を持ってもらうことができたと思います。
テレビ局で働いていたころ、地域観光に従事した時、そして今の会社でも立場はディレクターのようなもの。働く場所は変わっても、自分の役割は一貫して変わっていないと思います。
 私は好奇心旺盛でお酒が大好き。ビールはもちろん、ジンもよく飲んでいます。これからも私たち三人で協力して、地域性を生かした美味しいクラフトビールを入口に瑞浪市の魅力を発信していきます。