岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

昨日を気にすることなく
明日のことを心配せず
今日を生きる。今日を楽しむ。
私の名前の由来であり
信条でもあります


可茂森林組合 里山森林整備兼企画担当
山路 今日子(やまじ きょうこ)さん(美濃加茂市)

【2022年8月15日更新】

可茂森林組合職員として2年。山路今日子さんは森林整備に関わる業務のほか、岐阜県立森林文化アカデミーで学んだ木工技術を生かして、組合が美濃加茂市から指定管理を受けている森林公園「みのかも健康の森」で、イベントの企画運営や木工講座の講師を務め、来園者に森林や里山の魅力を伝えています。

退職後に木工を学ぶ
 大学卒業後は医療用装具メーカーに就職し、10年ほど勤めました。しかし仕事の目標が見つからずいろいろと考えていたときに、岐阜県立森林文化アカデミーの存在を知ったのです。面白そうだなと、まず思いました。
 子どもの頃に家族でよく山歩きに出かけていたので昔から自然が好きでしたし、また高校時代に林業問題に関する本を読んだことで興味もありました。そこで思い切って会社を退職してアカデミーへの入学を決め、美濃加茂市へ移住しました。両親の反対はありませんでした。自分の好きなことをやったらいい、と。
 当時環境教育に興味があったのですが、技術を身につけることがその後の武器になるかな、と木工を選びました。元々手先は器用なほうで、手を使って何かを作ることは得意でした。以前の会社でも装具の制作を担当していました。
 学んだ技術を生かしたいと就職先を考えていたとき、可茂森林組合が木工のできる人材を探しているという話を聞きました。森林組合はその美濃加茂市から委託されて里山整備などの仕事にも携わっています。美濃加茂市在住の木工ができる人材としてアカデミーの先生が私を紹介してくださり、現在の仕事に就くことになりました。

森と関わる楽しさを
美濃加茂市では里山の整備と活用をめざす「里山千年構想」を進めており、可茂森林組合の事業区域のなかでも、人工林よりも里山林が多い地域です。私は里山の所有者さんを訪ねて、整備の承諾を得るなどの業務をしていますが、直接お話をうかがうことで勉強になることは多いです。
 所有者さんのなかでも、それなりに整備をしてきた世代と場所さえも知らないと話す若い世代との格差や意識の違いがあります。また、市の整備計画と所有者さんの思いとの間にズレがあり、市役所の担当者とも打ち合わせをするのですが、調整が難しいです。皆さんにとってプラスになればいいな、と取り組んでいます。
 そういった森林組合の業務管理的な仕事とは別に、月の半分くらいは「みのかも健康の森」で開くイベントの企画や木工講座の講師をしています。木工の講座やワークショップに参加した方たちが夢中になって楽しんでくれたり、作ったものを喜んで持ち帰ったりする姿を見るのは、やはりうれしいですね。木工体験が、山や林業に関心を持ってもらうきっかけになれば、と思っています。
 木工講座の中でも、木工旋盤を使うお皿作りの講座などがある中、今年はスプーン作りが人気でした。初心者や小さな子どもでも楽しめるよう、事前に私が用意していたものを、紙やすりで仕上げてもらいます。参加人数が多い場合は、それだけ事前の準備が大変です。新型コロナの影響で実施するかどうかが、直前まではっきりしないなかで、準備をしないといけませんでした。

同年代の仲間との活動
 あまり意識していませんでしたが、スマホで簡単に連絡がとれてしまい、休みの日でも連絡が入るなどなかなか仕事と切り離せないため、ちゃんと仕事から離れる時間を作らなくてはと思っています。
 趣味はクラシックギターです。以前は教室にも通っていました。もう10年くらい続けていて時間があると弾いています。また仕事の一環にもなるのですが同年代の仲間と畑を始めました。美濃加茂市は放置竹林も多いので、仲間たちといっしょに竹林を整備して、遊び場的な空間作りも進めています。
 それぞれが建築の仕事をしていたり、ITに詳しかったり、映像が得意だったりと、いろんな仲間がいます。まだサークルのような遊び感覚ですが、個人の強みを生かして、今後いっしょに仕事として何かできるといいなと考えています。

丸太からのものづくり
 最近、世界的にも人気が高まっているグリーンウッドワークに注目しています。乾燥させていない生木の丸太から、斧やナイフなどの手道具で割ったり削ったりして、小物や家具などを作る木工です。電動工具などをそろえる必要がなく手軽に始められると、楽しむひとが増えてきています。
 グリーンウッドワークは、森林組合の活動である里山整備と資源活用のいずれにも関わってきます。里山の整備で伐採した木を使って木工を楽しむ。そんなグリーンウッドワークの体験講座を企画してみたいと思っています。木の香りや色合い、削り心地なども感じてもらいながら、森林や里山の魅力を知っていただきたいです。