岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

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口に出すと
やらざるを得なくなるので
積極的にひとに
話すようにしています


おやつのアトリエmoco 店主
平野 資子(ひらの もとこ)さん(美濃加茂市)

【2022年8月15日更新】

自宅の一画でスイーツ店を営む平野資子さん。店頭に並ぶクッキーやマフィン、ショートケーキ、レアチーズケーキなど、平野さん手作りのお菓子には卵、乳製品、白砂糖が使われていません。素材も有機栽培や無農薬を選び、アレルギーを持っているひとや、授乳中のママたちも安心して食べられます。

お菓子作りを仕事にしたきっかけ
 お菓子作りは小学生時代からです。両親は共働きでした。ある日夕方になってお腹がすいたとき、兄とふたりでホットケーキを作ってみました。帰ってきた母がふたりで作ったことをすごく褒めてくれて、それがきっかけでお菓子作りを始めました。また同時に音楽も好きで、3歳の頃からずっとエレクトーンをやっていて、現在も合唱団の活動を続けています。
 高校卒業時、音楽とお菓子どちらの道に進むか迷っていたのですが、父からお菓子は手に職がつくから本格的にやったほうがいい、と言われて、製菓で有名な大阪の辻製菓専門学校に入学しました。
 ケーキ屋さんに就職したものの、仕事があまりに大変で1年で退職しました。その後、父の会社での仕事を経て結婚しました。
 ある日のこと、夫から同僚が慢性腸炎で普通のケーキが食べられないのだが、卵や乳製品を使わないお菓子はあるか、と質問されました。その頃は乳製品などを使わない植物性のお菓子についてはまったく知識がありませんでした。ネットで検索すると、いろいろなレシピが見つかりましたが作ってみたところ美味しくなかった。食感、香り、味、どれも納得がいかず、そこから自分なりに研究して、試作を何度も繰り返しました。
 やっとできあがったロールケーキを、夫の同僚の方は美味しいととても喜んで食べてくれました。こういうお菓子を求めているひとは意外に多いのでは? そう思い始めたことが「おやつのアトリエmoco」の原点です。

必要とされるお菓子
 白砂糖を使わず、できるだけ添加物も使いたくない。フルーツも旬のもので、有機栽培や無農薬、地元産、国内産にこだわっています。市販のものは白砂糖を使っているので、ジャムやコンポートもすべて手作りです。
 そうするとどうしても仕込みや準備に4日かかってしまうため、月曜日から木曜日までを仕込みに当てて金曜日のみの開店としました。そして平日に来店できない、予約のお客様へのお渡しを土、日曜日に対応しています。
 毎週売り切る量を把握できていますので、それ以上は作らないようにしています。仕入れも使い切る分だけとし、材料をできるだけ捨てないよう心がけています。
 お客様にとって普通のケーキ屋さんだったら「美味しかった」で終わるか、インスタグラムに写真をあげるくらい。しかし私が提供するのは特別なお菓子なので、「アレルギーをもつ子でも安心して食べられる」「こんなに美味しい植物性のお菓子を食べたことがなかった」など、お客様からたくさんのメッセージやお言葉をいただき、それがやりがいにもなっていて、絶対に必要とされるお菓子だという自負があります。

弾き語りの配信を開始
 お店が自宅と接しているので、つい何か思いつくとやってしまいます。仕事とプライベートがごっちゃになりがちですね。夫も仕入れやホームページのお品書きなどを手伝ってくれますが、お菓子を作るのは私にしかできません。そのため自分の体調管理には気をつけています。ステンレスの鍋が重いので、筋トレもやっています。
 音楽では、名古屋の合唱団に入っていましたが、お店が軌道に乗り忙しくなってきたため、練習に参加できていません。セミプロくらいのグループで、古楽演奏家の花井哲郎さん・櫻井元希さんの指導のもと、東京でも活動しています。多声音楽で、ルネサンス期の教会音楽をアカペラで歌い上げます。出合いは高校時代の合唱部。課題曲にルネサンスの宗教曲がありました。こんな素晴らしい音楽世界があるのかと、それ以来熱中しています。
 去年の11月からアコースティックギターも始めました。作業の合間や、お客様が途切れた時間などを使って、弾き語りを音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」で配信しています。コロナ禍で歌う機会が減ってしまったので良いリフレッシュになっています。

引き継ぐことの必要性
 今はひとりでやっていますが、もし私が病気になって作れなくなったとき、困るひとが出てきてしまいます。そんなときのために、このお菓子をだれかに引き継ぐことが必要なのではと、最近思うようになりました。
 この場所で代わりにやってもらうのではなくて、自分でお店を開くなどしてもらう。そういう形で、私のお菓子を継承していく。ただ現状は社員として雇うほどの規模ではありません。1日に数時間パートで来ていただいても、その方の起業に結びつくかは難しいので悩ましいです。何とか手立てを考えていきたいと思っています。