岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

信条は「有言実行」。
物事を決めるときは
まず、それを言葉にする。
言葉にすることで
責任も仲間も知恵もできる


特定非営利活動法人岐阜県木育推進協議会 理事
浅野 美香子(あさの みかこ)さん(山県市)

【2022年8月15日更新】

「木育」とは、すべての人が「木とふれあい、木に学び、木と生きる」取り組みです。浅野美香子さんは岐阜県木育推進協議会理事として、また木育団体「といろ」代表として、木育の普及に努めてきました。おもちゃコンサルタントマスターの資格も持っており、木のおもちゃ遊びを通じた子育て支援にも携わっています。

林野庁の事業を機に
 元々は山県市で子育て支援のボランティアをしていました。子育てサポーター養成講座を受講後、ぎふ子育て応援ステーションの相談員として働いていたとき、偶然目にしたのが「おもちゃインストラクター」の資格が取れる講座のチラシでした。
 ちょうど休日だったので受講したのですが、そこで「おもちゃコンサルタント」の資格を取得すると、講座を主催するNPO法人芸術と遊び創造協会から、おもちゃのセットを無料で借りられて、地域の子育て支援活動「おもちゃ広場」の開催ができることを知りました。興味をひかれたので半年ほどの期間をかけて資格を取り、地元の児童館などでおもちゃ広場を開いていました。
 そんなとき全国に「赤ちゃん木育広場」をつくるという林野庁補助事業が立ち上がりました。国産の木のおもちゃセットを貸し出すので、地域で木育を広めてほしいというものです。おもちゃコンサルタントの有資格者であれば申請できると聞き、この事業を受託したところから私の木育との関わりが始まりました。
 当時は、木育という言葉はあまり知られておらず、私もほとんど知識がありませんでした。岐阜県立森林文化アカデミーの木育サポーター講座を見つけて基礎から学びました。この受講をきっかけに、より積極的に木育活動に邁進できるようになりました。

多様な木育活動を展開
 まずは私の地元である山県市から木育活動を始めました。豊かな自然が身近にあるにもかかわらず、地域の子どもたちは山に足を運びません。木のおもちゃは高価でなかなか手が出せない。それらを何とかしたいと2009年に木育団体「といろ」を設立しました。
 おもちゃ広場では既製品に加えて手作りの木のおもちゃを使ったり、木工体験や自然遊びが楽しめる「こども木育きゃんぷ」を開いたり、木育関連イベントの出張講師をしたりして、地域に木育を根付かせようと取り組んできました。
 県も「ぎふ木育30年ビジョン」を策定するなど木育に力を入れ始めたころ、岐阜県木育推進協議会に入会しました。そして山の日のイベント「ぎふ木育キャラバン」を始めるにあたり私に声がかかりました。おもちゃコンサルタントマスターとしてキャラバンに参加しました。
 子どもたちに岐阜の誇る木にふれてほしいと、県産の木のおもちゃを使ったイベントやワークショップを開催してきました。おもちゃコンサルタントマスターの資格を生かして、木のおもちゃの開発にも力を尽くしました。
 2020年、岐阜市に県の木育の拠点施設「ぎふ木遊館」が開設されると、岐阜県木育推進協議会が運営を委託され、私が責任者として管理や講座を受け持つことになりました。現在は月に20日ほどぎふ木遊館で仕事をしています。

木育を通しての出会い
 活動を長く続けてこられたのは、多くの人と出会えたことが大きいと思います。木工の世界にしろ、林業の世界にしろ、木育をやらなければ知ることもなかった世界です。その世界の人たちは地元だけでなく、岐阜県、そして全国へと広がっていきました。
 休日も何かしら木や自然と関わっています。時間があると、近くの野山に散策に出かけて、木の実や草花を見て回ることが好きです。また材木からものを作る作業も楽しんでいます。一心に木を切ったり削ったりしていると、自分だけの世界に浸れるのがよい所です。木の香りも大好きです。ものを作ると言えば、パンのサークルにも入っています。月に1回パンを作って、出来たてパンを食べながら友人たちとおしゃべりをしています。

次の人へ引き継いで
 現在、山県市では地域の特性を生かした「自然体験型保育」が広がってきました。そのお手伝いもしており、乳児健診のなかで木育の話を聞く機会を設けたり、木育教室を定期的に開催したりしています。参加した子どもたちだけでなく親の世代にも、木のおもちゃが元は山に生えている木であったことに気づいてほしいですし、木や森とのかかわりにも関心をもち、木育に興味をもってほしいと願っています。
 まだ細い幹ですが、山県市では木育が確実に育ってきています。それを太くしていきたいという思いが強く、豊かな自然を背景にした木育や子育て支援、さらには高齢者も念頭にいれた地域ぐるみの活動をしていくことが夢です。
 ぎふ木遊館は県の施設です。今後も私が留まるのではなく、次の担い手に引き継いでいくことが大切であると考えます。ここでは、ぎふ木育サポーター養成講座が無料で受けられ、木育イベントやぎふ木遊館のボランティアスタッフとしても活動できます。そんな仲間が増えていくことこそ、木育の普及につながっていくのだと思います。