岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

どうせやらなくては
いけないのなら、
みんなで楽しく
思いっきりやろうよ!


特定非営利活動法人キッズスクエア瑞穂 理事長
椙浦 良子(すぎうら よしこ)さん(瑞穂市)

【2022年8月15日更新】

岐阜県内で大きく注目されている「中学生の乳幼児ふれあい保育体験授業」をはじめ、さまざまな子育て支援や子どもの体験活動を企画運営する、特定非営利活動法人キッズスクエア瑞穂。椙浦良子さんはその理事長を務める傍ら、法人で運営する小規模保育施設「まめっこ保育園」の園長としても多忙な日々を送っています。

「こども劇場」に入会
 大学を卒業後、小中学校の教員として約10年勤務していました。3人目の出産を機に退職した頃、「本巣南こども劇場」に入りました。こども劇場というのは、舞台芸術の鑑賞など、親子でいろいろな活動をすることで、子どもたちの感性を養い、ともに子育てをすることを目的とした団体です。
 退職後4人目を出産し、4人の子育てをしながら活動に参加していくなか、子どもを地域で育てていくことの大切さを感じました。活動を通じて多くの人たちと出会い、自分の子もみんなに育ててもらったと思っています。
 運営委員長をしていましたが、子ども劇場は入会した会員さんと活動するのが中心です。入会しない人たちとも、広く子育てについて活動できればとの思いが芽生えました。時代も公的な活動団体がNPO法人化する流れがあり、法人格の取得をめざしました。2002年にNPO法人「キッズスクエア穂積・巣南」を設立し理事長に就任しました。翌年、市町村合併による瑞穂市の誕生で、現在の「キッズスクエア瑞穂」に改称しました。

何でもやりたくなる
 法人化を機に、従来のこども劇場の活動に加えて、託児付きの講座「こっこクラブ」を始めました。子どもを先輩ママの託児に預けて、クッキングやヨガなどの講座に参加するというもので、子育てから解放される時間をもつことで、心にゆとりが生まれるのではと企画しました。子育て中のママ同士の、仲間づくりの場にもなっています。
 そのほか、子育て支援に関わるさまざまな活動をしていますが、自分の子どもの成長にあわせて、次はこんな活動をしていきたい、とどんどん広がっていった感じです。
 瑞穂市と本巣市から、ファミリー・サポート・センター事業の委託も受けており、子どもの一時預かりや送迎、訪問託児などを担うサポーターの養成講座講師も務めています。フードバンク活動も10年ほど続けていますので、食品の引き取りや配布にも出かけます。また、独学ですがホームページを作成しています。草刈りもしますし、薪づくりのためのチェーンソーも使います。負けず嫌いなので、何でも自分でやりたくなってしまいます。
 瑞穂市では待機児童が出て、預け先がなくて困っている方がいるということで、2017年に瑞穂市初の小規模保育所を開きました。園長として、保育所の運営や保育にも携わっています。

コロナで活動に制限
 活動が趣味みたいなものです。家族の理解があり、自分の好きなように活動をさせてもらっています。本当にありがたいです。現在は夫と義母との3人暮らしですが、敷地内同居で長男とお嫁さん、孫がいます。目が回るような毎日を過ごしていますが、孫の笑い声を聞くときは、ホッとしてとても楽しい時間です。また冬になると毎日薪ストーブを焚いて、あたたかい炎に癒されています。
 夫も教員でした。当時、「中学生の乳幼児ふれあい保育体験授業」の現場を目の当たりして、「すごいことをやっているんだな。中学生に、すごく貴重な体験をさせている」と評価してもらえて、うれしかったことを今でも覚えています。
 自分の子どもを抱くまで、小さい子にさわったことがないという親御さんが増えてきて、意図的に乳幼児とふれあう機会をつくらないといけないと、市内3つの中学校の協力を得て始めました。
 赤ちゃんに接することで命の大切や子育ての大変さを、中学生たちは身をもって感じてくれます。それは中学生にとって財産になっていきます。現在、かつて中学生に保育された赤ちゃんが中学生となり授業に参加したり、保育体験をした中学生がパパやママになり自分の子どもを預ける側になったりと、ひとつの循環が生まれてきています。これが持続していけば、きっと近い将来、瑞穂市は子育てをみんなでする素晴らしいまちになるはずです。次にめざすは、赤ちゃんだった子が親になって自分の子を預けに来ることですね。その保育体験授業が、新型コロナの影響で制限されてしまい本当に残念です。早く新型コロナが収束して、保育体験授業が再開できることを心から願っています。

ひとりではできない
 まめっこ保育園は民家をリフォームしたもので定員は12名。園児といっしょに野菜や果物を育てたり、収穫したりしています。子どもたちが、泣いたり、笑ったり、ケンカしたり、きょうだいのように関わりながらたくましく成長していく姿に、毎日ワクワクしています。
 瑞穂市はまだ人口が増えていますが、全国的には少子化傾向にあり、保育所も次第に淘汰されていくかもしれません。そんなときになっても「まめっこ保育園に入りたい」と言ってもらえるような園の運営を続けていきたいと、スタッフのみんなと話しています。
 キッズスクエア瑞穂の活動も、まめっこ保育園の保育も、ひとりではできません。人とのつながりを大切にしながら、まだまだ頑張っていきたいと思っています。