岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

明るく、元気に、
感謝の気持ちを忘れない。
笑顔でみんなの意見を聞く
リーダーに。


明宝特産物加工株式会社 新商品開発プロジェクトチームリーダー
酒井 まこと(さかい まこと)さん(郡上市)

【2022年8月15日更新】

郡上生まれの酒井さんは、平成23年に地元の企業「明宝特産物加工株式会社」に入社。主に、明宝ハム用精肉の解体作業を担当してきました。令和3年2月に社内で募集のあった「新商品プロジェクト」に手を挙げ、チームリーダーに就任。現在は5人のメンバーと共に試行錯誤を繰り返しながら新商品の開発に力を入れています。

育児後、食の仕事に

 郡上生まれ、郡上育ち。高校卒業後は機械製造会社に就職して事務の仕事をし、結婚、子育てと、ごくごく普通の人生を送ってきました。子どもは3人います。末っ子が2歳になったころ、そろそろ仕事を始めるのもいいかなと思い始め、そんな時に、子どもが通う地元の保育園での給食づくりの仕事を見つけました。せっかくなのでそのタイミングで勉強をして、調理師免許を取得し、約10年仕事をさせていただきました。昼間の短時間の仕事だったので、子育てと両立することが出来たことがありがたかったです。
その後、子どもたちも大きくなり、フルタイムの仕事に挑戦できるかもしれないと思い、現在の職場の明宝特産物加工株式会社に入社しました。この会社に決めたのは、地域とのつながりが深い会社で、労働環境も良いと聞いたためです。後から知ったのですが、主人のお父さんが創業時に関わっていたそうで、ご縁があったのかもしれません。

美味しいハムは手作業で

仕事は精肉の解体を担当しています。明宝ハムは、解体→調味→形成→ボイル殺菌→検査→出荷の流れで作られますが、その一番初めの行程です。7~8キロある国産の豚のモモ肉から、大きな包丁を使って筋や軟骨、脂を丁寧に手作業で取り除いていきます。1つを15~20分くらいで解体していて、集中すると息をするのも忘れるほどです。みんなで毎日2トンもの肉をさばき、4000本のハムを作っています。日本全国には約1500社のハム工場があるそうですが、手作業でここまで細かい作業をしている工場はあまりありません。平成30年に新工場が出来ましたが、設備が新しくなっても、人の手による解体作業は、創業時から変わりません。これこそが明宝ハムの美味しさの秘密です。
安心、安全な食品づくりに関わることはやりがいも大きいですが、作業場は常に15℃以下の環境で、冷たく大きな肉の塊を解体するのは体力的にハードなところもあります。手作業なので、作業を覚えるのも1年くらいかかりました。でも、職場が明るく楽しい雰囲気なので、職場の仲間たちに日々助けられています。

新プロジェクトに挑戦

令和2年8月に、会社が「ものづくり補助金」に採択され、この年に新しい機械設備の導入を進めることになりました。これを受け、令和3年2月に「新商品開発プロジェクトチーム」の社員公募がありました。元々食に関することが好きだった私、一緒に新しい挑戦をしてみたいと思い、立候補しました。プロジェクトチームは、商品製造チーム、商品企画開発チーム、ブランディング戦略チームに分かれ、総勢22名で活動しています。私はこの中で、周囲の推薦もあり商品企画開発チームのリーダーを務めることになりました。現在は、20代から40代までの男女5人で商品企画を担当しています。繁忙期は解体の作業を行いつつ、落ち着いた時期にはチームで集まって試作品作りや打ち合わせを行っています。
このプロジェクトに関わって改めて感じたのは、食の好みは人それぞれだということ。当然、多くの人に美味しいと言ってもらうことを目標にしていますが、メンバー間でもイメージしている味の違いがあったり、いつも「これでいいのか」と自問自答を繰り返しています。社長をはじめ、上司や他のチームリーダーを集めての試食会でも、それぞれ違う意見が出たりと、食品の商品開発の難しさを感じています。
それでも試行錯誤の結果、思った味や品質の商品を作り出せたときは大きな達成感があります。先日は近くの道の駅のイベントで試食会をさせていただき、新商品のすじ肉の煮込みをお披露目しました。多くの方から「美味しい」と高評価をいただき、大きな自信に繋がりました。
 ポジションとしてリーダーをさせてもらっていますが、一人ではできない仕事ですし、私自身、特別な知識や経験があるわけではありません。自分の意見を押し付けるのではなく、まず聞くことを心がけて、みんなの意見に耳を傾け、どんなことでも話しやすい雰囲気づくりを大事にしています。
他にも、社員に広くアンケートを取り、新商品のアイディアづくりへと活かしています。すじ肉の活用など、解体の仕事の中で生まれた企画もあります。
調理師の免許は持っていますが、レシピ開発はまた違った難しさがあります。現在は温めるだけで簡単に食べられるハンバーグや煮込み料理などを中心に企画していますが、できるだけ郡上の素材にこだわることや、市販の調味液やタレは使わず、醤油や砂糖など一般的な調味料でオリジナルの味付けを考えています。大変さはありますが、一から自分で携わることが出来るため、安心安全で魅力的な商品を作ることができる。そのような気持ちで日々仕事に向き合っています。

公私がつながる仕事

 プライベートでは、元々出かけることが好きで、休みの日は気分転換にドライブをしたり、ショッピングを楽しんでいました。運動も好きなので、地域のソフトバレーチームで活動していたこともありました。ここ最近はコロナ禍なこともあり、なかなか外に出られませんが、娘が送ってくれる孫の動画に癒されています。
 現在は主人と長男、次男との生活ですが、それぞれ仕事もあり、最近は食事の時間などもバラバラになってきました。料理やお菓子作りは好きでしたが、そんな生活を送っていることもあり、温めるだけで食べられるような便利な個食の商品が助かります。主婦だからわかる、そんな日々の生活から感じるニーズが商品開発に活かせているのではないかと思います。
 今後の目標は、何より市場に自分たちの開発した商品を投入することです。一つ一つこだわって納得のいく味の商品を増やし、一人でも多くのお客様に「美味しい」と笑顔で食べていただけたらと思っています。それは決して私一人ではできないことです。チームの皆、会社のそれぞれの部署の全員と協力して、安心、安全、美味しい明宝ブランドの商品を増やしていきたいです。