岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

常に学び続ける姿勢で
会社の夢を共有し、
夢の実現に向け貢献したい


三友精機株式会社 総務部 経理部長
青山 信子(あおやま のぶこ)さん(中津川市)

【2022年8月15日更新】

ダイカスト、プラスチック、金型の製造や修理を行う三友精機株式会社。令和2年には岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業に認定されました。経理部長として働く青山信子さんは総務、経理のみならず、仕事の進捗状況の確認や工場内の整理整頓など現場の管理も率先して行っています。

業務の効率化を図る

 短期大学を卒業後、会社勤めをしながら夜に商工会議所で講習を受け、簿記の資格を取得しました。前職は託児所のある病院で医療事務に従事していましたが、事業規模の縮小に伴い託児所がなくなってしまったことがきっかけで退社を決意しました。前職の上司から三友精機株式会社を紹介していただき、1993年に入社しました。当時は子ども2人を保育園に預けて、ただ紹介してくださった方に恥を欠かせないようにと必死に頑張りました。
 業務の効率化を図るため、受注から生産、納品までの流れをまとめたフローチャートの作成を中心となって進めました。それまでは社内でのルール、現場で作業する上でのルールが決まっていませんでした。特に個人差のあった問題解決時の対応もフローチャートに則れば一律、同じルールに従って迅速に解決できるようになります。どういった工程を経てフィードバックすべきかを、明快に「見える化」できました。 

いつまでも学び続ける

 経理だけでなく、総務部として他部署との連携をとることも大切な仕事です。営業、現場のサポートも総務だからできることがあるはずと思っています。お客さまとの窓口でもありますから、電話応対は、常に「笑声」で、少しでもよい印象を与えられるように心がけています。フローチャートも作ったままではなく更新が必要ですし、コロナ禍の中、各補助金の申請もやりがいのある仕事の一つになっています。
 よくPDCAサイクル、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)が大切だと謳われますが弊社ではMOTIVATION(やる気)とTHANKS(感謝)を追加し、PMDCATで業務を回しています。そうすることで感謝の気持ちが、次なるPやAにつながります。どの部署であっても1人でできる仕事はありません。ですが「ありがとう」と面と向かって言うのは、どこか気恥ずかしいもの。ですから朝礼の際にローテーションで、仲間に感謝の気持ちを伝える取り組みをしています。
 部長職に就いてからは人に教える、伝える難しさを感じています。同じ内容を伝えても人によっては違う捉え方をしたり、伝え方次第で異なった結果を生んでしまうこともあります。本を読み勉強もしていますが、まだまだハードルが高いです。ストレートに伝えればよいのか、それだと傷ついてしまうのではないか......相手によって言い方を変える必要もあります。
 年齢に関係なく、いくつになっても毎日が勉強です。この会社にいることでそれに気づくことができたのだと思います。新入社員研修でも、教えながら自分も学ばさせてもらっているという意識で、次代へバトンを繋いでいこうと思っています。

子どもたち自身で成長

 入社して5年目に、3人目の子どもを出産しました。それまで弊社に産休の前例はありませんでしたが、「働き続けるつもりがあるのなら」と体制を刷新していただけました。総務部は女性従業員2人で回していたところ、私が産休に入るのに合わせて3人体制となり、子育てしやすい環境が整いました。子どもたちも三十代、二十代とすっかり大きくなり、それぞれ独り立ちをして現在は猫の「みりんちゃん」と2人暮らしです。
 2007年に母が他界してからは、子どものことで急な早退や休みを取ることもありましたが、会長や社長、そして上司の方にも優しい言葉をかけてもらい、本当に感謝しています。会社の理解があったからこそ、ここまで長く務めてこられたと思っています。言うまでもなく、家族の協力も欠かせませんでした。母が健在の頃は、お迎えや病院に連れて行ってもらったりしていました。また、年が離れていたこともあり、上の子が下の子の面倒をよくみてくれました。中国に出張した際も、兄が食事づくり、姉が弁当づくりをしてくれたりして、自分が手をかけられない分、子どもたち自身で成長してくれました。
 仕事でナーバスになっている時は、それを敏感に感じ取ってくれるようで、私の知らないところでずいぶん気を遣ってくれていたようです。帰宅が遅くなったり、大変な面も見てきたと思いますが、「お母さん、楽しそうだよね」と声をかけてくれます。働く人に対しての思いやりがあり、家事にも前向きで、母親である私が何もかも全てをこなしていたら、こうなっていなかったかもしれません。
 子どもたちには「当たり前と思ってはダメだよ、感謝の気持ちを忘れないように」と今でも伝えています。子供の頃には「勉強はできなくても、挨拶ができる子は頭よく見えるよ」と、よく言っていたことで、挨拶だけはちゃんとできる子に育ってくれました。

会社の夢を共有して

 コロナ禍で制限されている部分も多いのですが、以前はコンサートに出かけるのが大きな息抜きになっていました。ミュージカル観覧も好きで、『ライオンキング』『オペラ座の怪人』『キャッツ』などを子どもたちと観に行きました。母親とは御園座に歌舞伎を観に行ったりもしました。中日ドラゴンズのファンで、野球観戦も趣味です。結局は「生のもの」を観るのが好きなんです。今は配信ライブで我慢していますが、もう少し情勢が落ち着いたら再び会場に出かけたいです。
 これからも会社の夢を共有して、その実現に貢献できればと思っています。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金への申請が二年越しで採択され、社に三次元測定機が導入されました。測定精度が格段に向上すると共に、これまでは、お客さんに直接見に来てもらわなければならなかったのですが、リモートで詳細を伝えることが可能になりました。現在の取引先は東海圏がメインですが、全国展開するきっかけになればと願っています。北海道でも九州でも、弊社を知ってもらえるようになればうれしいです。
 座右の銘は「吾唯足知(われ、ただ足るを知る)」。これは龍安寺の蹲(つくばい)に刻まれた言葉ですが、家族で訪れた時に知り感銘を受けました。普通の暮らしができている幸せを知る、当たり前と思っていることは決して当たり前でない、この思いを胸に、暮らしていきたいです。