高校で簿記や情報処理などを学び、就職は事務系を希望していた丹羽梨絵さん。親の意見も参考に、日本キャンパック(旧:西日本キャンパック)に就職。当時は総務と経理が同じ課の中にあり、丹羽さんは主に経理を担当。やがて総務の仕事も少しずつ担当するようになると、従業員にとって働きやすい環境とは?と考えるようになり、そこに仕事の魅力を感じ始めました。そんな時、ある人物からの一言が、その後の丹羽さんの働き方を大きく変えるきっかけとなりました。
言葉のお守りを受け取る
採用活動で訪問していたある高校の女性の先生に、産休に入る前にご挨拶をさせて頂く機会がありました。当時は産休育休の実績がなく会社にとっても初めてのことだったので、不安な気持ちや自分の置かれた状況をお話しすると、「岐阜工場の女性従業員のパイオニアになっていかれるのですね。」と言われました。当時はそうなれたらいいかな程度でしたが、今ではその言葉は"お守り"のように私の背中を押してくれています。
育休が明けて職場復帰する時、業務や働き方について当時の課長に相談しました。その際、会社や従業員のために、時代の変化に対応した新しい取り組みをしていきたいなどの思いも伝え、復帰後は徐々に総務業務のウエイトが増える様に課長が配慮してくださいました。日本キャンパックとの合併に伴い総務と経理に部署は分かれましたが、私は総務課に配属され、今では総務課員として会社と従業員のために働いています。
会社の内外に向けた取り組み
1人目の育休は1年ちょっと休みで、復帰して間もなく2人目の産休に入りましたが、2人目の時は半年の育休で復帰をしました。子供を育てる側になったことで、育休やワークライフバランスが女性だけでなく男性にも重要だということが良く分かり、育児に参加する男性従業員へのサポートの必要性も強く感じました。
今、力を入れて取り組んでいる事は「男性育休推進」と「女性活躍推進」、また社外向けには「社会貢献」「地域貢献」です。
男性従業員の育休に関して、以前は子育てに関連する他の制度も含め、浸透していないと感じていました。弊社の場合は子の看護休暇制度が有休で、例えば、子供の予防接種のために2時間早く帰りたい時など、年間で複数回取得できて子育て世代には大変ありがたい制度なのですが、あまり認識されていませんでした。その為、全従業員を対象とした男性育休のセミナーを開催したり、初めて男性育休取得者が出た時も社内に掲示して周知をしたりと、育休について偏った固定観念にとらわれていそうな従業員にも、理解を深めてもらえるよう努力を続けてきました。今では、普段はあまり接点のない男性従業員から「育休について教えて」と直接相談を受けるようになり、今までの活動が実を結んでいることを実感しています。これらをもっと浸透させて、より良い職場環境作りに取り組んでいきたいと思っています。
また、9割が男性という職場での女性活躍推進については、女性限定でキャリアアップセミナーを開催して交流の場を設けたり、メンター制度で他部署の女性をサポートしたりと、女性が活躍できる雰囲気を徐々に社内に根付かせていけたらとの思いで取り組んでいます。
社会・地域貢献に関しては、会社のすぐ隣にあるこども園や、近隣の小学校や中学校の子どもたちが、会社の前を通って通園・通学する環境を生かし、会社の塀にある屋外掲示板を使って子どもたちの作品を掲示して地域の方々に見て頂くことで、子どもたちと一緒に地域社会を盛り上げています。また、こども園や小学校、子ども食堂に寄付をして、地域における弊社の在り方の一つとして、地域との繋がりを大切にした施策を継続していきたいと考えています。
母親になって分かったこと
一人目の妊娠が分かった時は嬉しさと、頑張っている仕事・やりたかった仕事の全てを一旦手放さないといけない、女性はどうしてもキャリアを中断せざるを得ないのか、という寂しさ・悔しさとの葛藤がありました。でも、いざ復帰してみると、母親になったことで見える世界観や価値観が変わったこと、今まで以上に合理的に働けるようになったことなど、よい変化がたくさんあり、本当にやるべき事を見つけたように思います。今の課長は、研修やセミナーへの参加など、スキルアップを積極的に応援してくれています。その期待に応えるためにも、会社や同僚に感謝しながら、後輩たちのために道を切り開いている真っ最中です。
また、2人の子どもの送迎時間もある程度決められていて、早出や残業が出来ないことが多いので効率よく働く必要がありますが、部署内での業務分担を明確にし、ジョブローテーションを組むことで誰が抜けても、ある程度は皆でカバーできるような体制ができています。働くママによくある子どもの急な体調不良による早退や、感染症や災害等で欠勤者が出た場合にも同じように対処できるので、合理化がリスクマネジメントにも繋がっています。
皆が応援してくれている
休日は家族で子どもの好きな電車に乗ってお出かけしたりして過ごしています。2人の子どもたちは、毎日長時間こども園で元気に過ごしてくれています。夫もいわゆるイクメンで、育児にも大変協力的で、私の仕事についても理解してくれています。実家の父母や弟夫婦にも時々協力してもらっています。
仕事を辞めたほうが、子どものため家族のためだと思った時もありました。でも、働いているからこそ上司や同僚、家族、親族、友人たちなど、沢山の人が応援してくれて、励ましてくれて、支えてくれています。だから、私一人では出来ない事も頑張れているのだと思い、感謝しながら充実した毎日を過ごしています。