岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

ネバーギブアップ。
とにかく諦めないことを
信条としています。
やってみたら何とかなる、
と挑戦もしてきました。


株式会社第一機工 代表取締役
髙橋 奈津子(たかはし なつこ)さん(可児市)

【2023年6月15日更新】

制御盤・配電盤などの精密板金加工を行う、可児市の株式会社第一機工。髙橋奈津子さんは2015年に同社の代表取締役に就任以来、さまざまな工場改革や設備投資に努めてきました。2020年には中小企業庁の「ものづくり補助金」への申請が採択されて、塗装部門を新設するなど、一貫生産体制の構築に向けても果敢に挑戦しています。

ゴルフが縁で入社
 ゴルフが好きで、よく出かけていました。あまり上手ではないですが、迷惑をかけない程度でしょうか。そのゴルフで知り合った現会長(前社長)から、経理担当者が病気になってしまい、できる人がいないので困っている、と誘われたのが入社のきっかけです。
 高校時代に簿記2級を取得していたものの、経理関係の仕事をした経験がなく、不安もわずかに抱えつつ仕事に就きました。
 以後、経理業務を任されてきましたが、リーマンショックのときは大変でした。弊社も3分の1ほどに仕事が減ってしまったのです。私がいろいろと打開策を調べて、助成金の申請や社員の研修などを行ったところ、なんとか黒字化にもっていくことができました。経費削減のために、社会保険労務士に依頼していた総務関連の仕事も兼任し始めました。
 そんな苦しい時期も経験しながら、会社の実務に詳しくなったこともあってか、現会長から突然「次期社長をやってもらえないか」と声をかけられたのです。資材の仕入れに少し携わったくらいで、現場の作業についての知識はまったくありませんでしたから、随分と悩みました。
 当時、息子が弊社に在籍していまして、営業からプログラム、各種加工まで、弊社の現場全般を把握する存在でした。社長の件を相談したところ「自分も手伝うから、やってみたら」と後押しをしてくれました。そんな息子からの心強い言葉もあって、思い切って社長就任を引き受けたのです。

人材の確保が課題
 板金加工などの設備は、高価な機械でも3年経つと時代遅れになるほど、進化が早いのが現状です。生産能力を高めるためにも、設備投資を行いました。しかし、せっかくの機械もそれを使いこなせる人がいなくては始まりません。
 今の若い子はちょっと覚えた頃に辞めてしまう。弊社の仕事は精密加工のため、プログラムを組んでも、やはり微調整は必要になってきます。それには経験を積むことが求められます。辞めていく人も多く、なかなか人が育たないことが課題となっています。一方、現場には40代、50代の中核をなす社員が少なくて、教える側の人材にも頭を悩ませます。
 人材補強のためにと、2019年に外国人実習生の受け入れを始めました。ベトナムから女性を含めて現在8人来ています。とてもよくやってくれています。

趣味のダンスで発散
 ゴルフは今も誘われれば出かけますが、近年、夢中になっているのがジムです。仕事を終えると一度自宅に戻り、その後、毎日のように近くのジムへ通っています。トレーニングではなくて、スタジオで「ズンバ」や「メガダンス」、「サルセーション」といった、ダンス系のエクササイズをやっています。
 いずれも音楽に合わせて体を動かすダンスで、楽しみながら筋力強化やシェイプアップができます。最近人気のサルセーションは、始めてまだ2年目くらいですが、休日には名古屋のスタジオに出かけるほど、ハマっています。会社の悩みも、ダンスで汗を流すと、すっきりします。ダンスのために仕事を頑張っている、と断言してしまえるくらい、私の生活に欠かせないものです。年齢に関係なく楽しめますので、ぜひ多くの方にダンスの魅力を知ってもらいたいと思っています。
 今は犬2匹と暮らしていて、毎日散歩に連れていくのも楽しみです。とにかく体を動かすことが大好きで、それが私の息抜きと言えるかもしれません。

塗装部門の成果を機に
 たとえば制御盤の製作では、素材から「曲げ加工」「切断」「溶接」「塗装」「電気配線」「組立」の各工程を経て、製品ができあがります。弊社では溶接加工までの工程を請け負っていて、塗装などは外注でした。
 外注すると、納期がいつもぎりぎりになってしまい、仕事の受注に繋がりにくく、長年の懸案になっていました。それを解消しようと、新たに塗装部門を立ち上げるため、2020年の「ものづくり補助金」に申請したところ、採択されました。
 塗装ブースを新設しましたが、新型コロナの感染拡大と重なって、弊社も大きな影響を受けました。幸いにも今年に入って回復の兆しが見え出して、塗装を始めた成果も現れ、受注も増えてきました。
 私が社長になってから、設備投資や塗装部門の新設、会社の敷地拡大など、いろいろな改革を進めてきました。さらなる会社の成長を目指すうえで、できれば電気配線、組立までを一貫して製造できるようにしたいと考えています。
 これは私の夢ですが、板金の技術を生かして、なにか自社製品を作りたいと思っています。塗装も最初は無理と言われましたが、実際に始めたら動き出せました。ぜひ夢も実現できるよう、諦めることなく、これからも頑張っていきます。