岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

ウッドフラワーの製作量を
今よりもっと増やし、
いずれはひとつの事業として
成立させたいと思う。


koike blooms
小池 明日香(こいけ あすか)さん(中津川市)

【2023年6月15日更新】

創業70年の老舗製材会社の早川木材に嫁いだ小池明日香さんは、第一子を産んでから、ウッドフラワーアーティストとしての道を歩み始めました。ウッドフラワー自体に明確な定義はありませんが、小池さんがつくるのは、製材作業で発生するかんなくずを使ってつくられたバラの造花です。小池さんは、これをネットや地域のマルシェで販売し、ワークショップを開いてつくり方を教えるなどもしています。

何かをしてみたい
 中津川市付知(つけち)町では、東濃ひのきという銘木が産出されるので、林業従事者はもちろん、製材会社や木工品メーカーなどが集まっています。私が嫁いだ早川木材もそれらのうちの1社です。昭和28年に創業し、仕入れた木材を建築構造材や建具材、造作材などに加工するほか、オーダーメイドの檜風呂の製作も手がけています。
 嫁いだ当初は、「いずれ夫が早川木材の後を継ぐことが決まったら、仕事の手伝いができればいいな」と思っていたくらいで、ウッドフラワーをつくるプランを描いてはいませんでした。そんな私に、出産後、転機が訪れました。
 産後は家にいる時間が必然的に長くなります。すると、家事と育児の合間に、「製材会社に嫁いだのだから、東濃ひのきを使って何かをしてみたいな」と考える機会が増えました。この"何か"の答えを見つけることに悩んでいたので、何度か夫に相談したら、ある日シート状の木を材料にしてつくられたウッドフラワーの存在を教えてくれました。私は結婚前、フラワーアレンジメントの教室に通っていたことがあり、花が好きです。加えて、早川木材の製材作業の過程では、端材がたくさん出ます。それをかんなで削ればシート状の東濃ひのきが手に入るので、「やらない手はない!」と思いました。

かんなくずを材料に
 ウッドフラワーをつくろうと心に決めたものの、肝心のつくり方がわかりません。どうしたものかと困りましたが、ネットで検索してみると、思いのほかいろいろな情報が手に入り、それを参考に自分なりにつくり方を考えてみました。
 そもそもの材料は先ほども言ったように、製材作業の過程で出る東濃ひのきの端材です。それを早川木材の腕利きの職人さんにかんなで削ってもらいます。つまり、かんなくずを使ってウッドフラワーはつくられるのです。
 製作手順はとってもシンプル。長さ130センチ、幅5.5センチ、厚さ0.03ミリの1枚のかんなくずに水を染み込ませ、手作業でやさしく折り込み、バラの花の形をつくります。
 始めたばかりの頃は、一輪のウッドフラワーをつくるのに15〜20分かかり、見た目のクオリティもイマイチ。力んだり焦ったりしてかんなくずを破ってしまうこともありました。でも、練習を重ねていくうちに製作時間が短くなり、今では一輪5分ほどで完成します。また見た目も可憐に仕上がります。ちなみに、練習は当時1歳の息子を寝かしつけてからやっていました。

ワークショップも開催
 つくり始めてから3カ月くらいが経過すると、クオリティもすっかり安定してきたので、通販サイトを使って販売することにしました。宣伝はインスタグラムを活用。あとは、各地で開かれているマルシェに出店し、直接お客さんにウッドフラワーを手にとってもらいました。
 お客さんと対話ができるマルシェは、ウッドフラワーの魅力を伝えやすいので、気になったマルシェには積極的に出店します。実物を気に入って買ってくださるお客さんには感謝したいですし、その後インスタグラムに写真がアップされているのを見ると、うれしさが倍増します。
 こうして私のウッドフラワーの存在が少しずつ知られるようになると、「ほしい」という声だけでなく、「つくってみたい」という声も聞かれるようになりました。最初はご近所の方を早川木材に招いてワークショップを開催しました。人に何かを教えるという経験がなかったので、とても緊張しましたが、それでも「楽しい!」と前向きに取り組んでくれる参加者の笑顔を見られたので、自信を育めました。また、ありがたいことに地元の商工会からワークショップの開催を依頼されたこともあります。ほかには、近くの小学校でかんなくずを使ったリボン製作の特別授業を体験。夫が端材にかんながけをし、そこから出たかんなくずを使って私がリボンをつくるという内容で、5年生の児童と一緒に楽しみました。

いつかは花屋に卸したい
 私はウッドフラワーアーティストになってから夢ができました。いつか多くの花屋さんでウッドフラワーを販売してもらえたらうれしいなと思っています。今は造花やドライフラワーなどがブーケにされていたり、花屋にも置いてあったりするので、それらと同じように扱ってもらえることを望んでいます。 
 実は今、私がつくったウッドフラワーを仕入れてくださっている花屋さんが中津川市内に1軒あります。そこのオーナーさんとはウッドフラワーと生花のコラボレーション作品を製作しました。恵那総合庁舎の1階ロビーに飾られています。
 今後、このようにウッドフラワーに理解を示してくださる花屋さんが増えれば、私も製作する量が増え、スタッフを迎え入れることができるのではないかと考えています。特に、乳幼児を育てていて、以前の私のように「何かしたいな」ともやもやしているママに手伝ってもらって、付知町のママ世代を盛り上げることができれば最高です。さらに、これはもっと大きな理想ですが、ウッドフラワーの製作・販売をひとつの事業として成り立たせることも、ぼんやりですが、頭の中に描いています。また、実は今、「ダストフラワー」として商標登録も申請中です。
 現在(2023年2月)私は、第二子の出産を控えているところ。産後の生活が落ち着き次第、また精力的に動きたいと思っています。