岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

好きな言葉は、
「継続は力なり」です。
いろいろ続けてきたことが
人としての成長にも
繋がっていると感じています。


社会福祉法人大垣市社会福祉事業団 大垣市柿の木荘 所長
志知 和喜子(しち ときこ)さん(大垣市)

【2023年6月15日更新】

知的障がい者の支援施設「大垣市柿の木荘」で、2022年4月から所長を務めている志知和喜子さん。発達障がい児童の通所支援施設「大垣市立ひまわり学園」において、療育指導に長らく携わってきました。手話の技能や福祉関連の資格なども多く取得しており、それらの知識や経験を生かしながら施設運営に取り組んでいます。

福祉の道は自然の流れ
 福祉系の大学でしたので、仲間とボランティア活動をしたり、施設の清掃奉仕をしたりしていました。手話サークルにも入っていて、手話通訳をした経験もあります。ですから就職先も、福祉関連に進むのが自然の流れでした。
 卒業後、大垣市社会福祉事業団の職員に採用されて、内示をいただいたのが「大垣市立ひまわり学園」でした。以来、子どもの発達支援事業に取り組み、通算で32年になります。その間、一度「大垣市柿の木荘」へ異動となりましたが、その後ひまわり学園へ戻り、そして2022年4月、再び柿の木荘に所長として赴任しました。
 ひまわり学園は療育機関でしたので、遊ぶ中で楽しみながら、さまざまなことを学ぶという施設でした。遊んでいる中にも目的があって、その目的に向かうことで発達を促していきます。かつて支援を行った子たちが成人して、今、柿の木荘の利用者になっている方も少なくありません。
 もっと溯れば34年くらい前、大垣市の社会福祉協議会が開く「ふれあいキャンプ」で支援させていただいた方も中にはいます。大学生のとき、毎年夏休みにはそのキャンプに参加していました。障がいを持った方たちと一緒に、キャンプファイヤーをしたり、カレーライスを作ったり、ダンスをしたり、ゲームをしたりと過ごしていましたが、そこで出会った方が今もご健在で、ここにいらっしゃいます。
 お顔を見ると、あのとき一緒にキャンプをやったな、などと思い返すこともあり、長い期間にわたって接してきたことには、感慨深いものがあります。

今でも現場へ出向いて
 現在は管理職となり、施設の管理運営をしていく事務がメインの仕事となりましたが、現場に長くいましたので、今でも現場がつい気になってしまいます。事務も大切な仕事で、力を入れて臨んでおりますが、現場に出向き、利用者の方々との関わりを深めていきたい気持ちは強く、毎日朝と昼に1回ずつ現場へ出向き、声をかけたり、体調を確認したりするなどしています。利用者の方々と接するのが楽しみですし、皆さんの笑顔に癒やされます。それがこの仕事の魅力だと思っています。
 一方で、利用者の間近で支援をする仕事であり、コロナ禍での感染予防対策には大変気を遣っています。消毒液のボトルを持ち歩いたり、フェイスシールドをしたりと、さまざまな対策を講じても感染してしまう方が現状出ています。どうやったら防げるのだろう、なにが足りないのだろう、と本当に苦労しています。利用者の方が、たとえ無症状であってもコロナに罹れば、それ相応の対応が必要となりますので、考えさせられることが多くあります。

互いの仕事をリスペクト
 家族4人全員がアウトドア派で、キャンプが共通の趣味です。バーベキュー、魚釣り、山登りと、自然を感じることで息抜きをしています。コロナ禍でなかなか行けていませんが、近場だけでなく、福井や静岡などへも家族でキャンプによく出かけていました。
 今はふたりの息子が共に大学生のため、家から離れて暮らしていて、夫婦ふたりの生活を送っています。夫婦でお互いの仕事について、とやかく言うことはなくて、リスペクトし合っていると思います。
 仕事とプライベートの両立については特別意識したわけでなく、子どもたちが小さい頃から、お互いができることをするいうスタンスでしたから、例えば子どものお迎えや家事なども、そのときやれるほうがする、と夫婦で助け合ってきました。
 資格の取得にしても、自分のスキルアップのためにやっていただけで、これを絶対に取らなくては、という感じではなかったため、変に無理をすることもなかったように思います。さらには普通こうした仕事では夜勤があったりするのですが、私の場合は偶然にも日勤ばかりでした。こうしたことも仕事とプライベートの両立がうまくできた理由かもしれません。

意欲を引き出す支援を
 私は、ここの利用者の方々が意欲を持ち、自らやる気になる、という支援をできればと考えています。それを今の形でどう進めていくかが課題かなと思っています。
 紙をやぶるのが精一杯の方もいれば、やぶることさえ困難な方もいます。会社のようにモノを作りあげることだけが仕事ではなく、個々の障がいや特性に合わせて、たとえば皆さんにお茶を運んだり、ノートを届けたりするのも仕事であると思っています。
 現状の「やれることを見つけて」という支援の仕方から「できることを広げていく」という支援に持っていきたいのですが、実際にどこまで可能なのか、難しいところです。