岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

古民家を利用した
農家民泊&カフェを運営
教えあい交流が生まれる
そんな空間にしたい


農家民泊のこ山・カフェのこ山キッチン 代表
土屋 朋子(つちや ともこ)さん(七宗町)

【2023年6月22日更新】

民泊、レンタルスペースとして利用できる農家民泊のこ山。
建物内にはカフェもでき、土屋朋子さんが思い描く形に近づいています。
「私はいろいろなことを上の世代に教えてもらった経験がある。
古民家を田舎体験と交流の場にしたい」と奮闘しています。

いずれ岐阜県で暮らす
 加茂郡七宗町で古民家を利用した「農家民泊のこ山」と、そのなかに併設される「カフェのこ山キッチン」の代表を務めています。生まれ育ったのは関市です。学校卒業後は名古屋市で10年間、水の成分、工場排水、河川調査に携わる会社員として働いていました。
 転機が訪れたのは30代中盤のころ。会社員生活に区切りをつけて、家族のお世話をしたいと関市へUターンしました。「いつかは岐阜県に戻って暮らそう」という考えは前々からあって迷いはありませんでした。
 やがて、家族を介護する生活がひと段落したものの、これからの自分を考えた時、毎日遅くまで働いていた会社員に戻る自分はイメージできませんでした。
介護を経験しながら「いつか家族でカフェのような店が開けたらな」という思いが芽生えていましたが、これまで飲食業の経験はありません。迷いながらも就職先を探すなか、七宗町が募集していた地域協力活動を行う「地域おこし協力隊」の存在を知りました。

七宗町に定住したい
 会社員のころから、時間をみつけては岐阜県で行われる田舎暮らし体験のイベントに参加していました。振り返ると、地元の岐阜県に戻って自然に癒されることを求めていたのかなと思います。
地域おこし協力隊では、何気ない中学生との会話から「冬は特に、上麻生駅前は暗いイメージがする」という意見を聞き、駅前にあるSL機関車のライトアップに挑戦したこともあります。たくさんの七宗町の方が手伝ってくれて、感謝と良い思い出がいっぱいです。
 任期を終えても、「七宗町で暮らしたい」という気持ちは変わりません。住まい探しをしているなか、地域団体が田舎体験を目的に管理している今の古民家に出合いました。
「住まいを探しているなら、管理人として古民家に住めばいい。空間も自分の好きなようにしていいから」と地域団体の方に言っていただき、最初は団体所属の管理人、その後、今では古民家を団体から借り、私が代表として運営しています。
 七宗町には現在、宿泊施設はここだけです。当初は宿泊対応のみでしたが、その後、以前からやりたかった、のこ山カフェを古民家内に開きました。

自信作の手作り味噌
カフェのこ山キッチンは水曜と土・日曜、9時~14時が営業時間です。カフェでは、モーニングとランチサービスもしています。「コーヒーがおいしい」と言っていただき、またモーニングで選べる自家製シフォンケーキも自信作です。
ほかにも、ファンが多いのが味噌汁です。米麹と豆麹の味噌を2種類、ここで作っています。味噌汁は宿泊時の朝食、カフェのランチにも付いてきます。
宿泊は希望があれば、夜の食事提供ができます。「七宗町の食材を食べてもらえたら」と思って、鹿肉のしゃぶしゃぶや鹿肉のカツ、鹿レバーのパテを作ることもあります。
のこ山に来てもらえたら、囲炉裏や大きな梁といった建物内部をぜひ、隅々まで見てもらいたいです。古民家は改修を重ねていますが築100年以上。8畳の和室が2部屋あって、冬は薪ストーブも登場します。時々、隙間風が入ってくるかもしれませんが、それも古民家ならではと感じてもらえたらうれしいですね。

のこ山は第2の実家
お客様は愛知県から見える方が多いものの、実は想像以上にニーズがあったのが七宗町の方の宿泊希望でした。「みんなで飲んでそのまま泊まりたい」といった声のほか、嫁いだ方が七宗町に帰省した際に泊まってくださることもあります。「同窓会で帰省したけど、生まれ育った家がすでにないから」、「コロナ禍もあり、実家に立ち寄らずこちらに泊まりたい」といった方までいらっしゃいます。「第2の実家ね」と言ってくださる方もいて、七宗町で立ち寄れる場所になれていたらうれしいです。
農家民泊&カフェは途上段階で、やりたいことはたくさんあります。これまでしめ縄作り、それに味噌作りのワークショップ、音楽イベントを企画してきましたが、もっとみんなを巻き込むことが目標です。
私は両親、祖父母らに「こうした方がいいよ」と、教えてもらって育った世代です。多世代が交流して、教え伝えることで田舎暮らしの文化や体験を残していける場にしたいです。