特定非営利活動法人サン・はぎわらの青木幸美さんは、下呂市より指定管理を受け、みなみこども園、きたこども園、わかあゆ子育て・保育ステーションの運営を行うほか、市内6校の中学2〜3年生と9校の小学校5〜6年生に向けた「いのちのふれあい講座」を年40回以上主催。いのちの素晴らしさ、自分を大切に生きることを子どもたちに伝え続けています。
夢だった活動を仕事に
生まれも育ちも下呂市萩原町萩原。これまで一度も実家以外で暮らしたことがなく、地元に根づいています。20代の頃、青年団活動で知り合った夫と結婚、子育てをしながら、銀行員として11年働きました。3人目の子育て中に下呂ロータリークラブの事務局に勤め始め、並行して地域の市民活動をしている中、NPO法人サン・はぎわらで理事として活動する事になり今に至っています。
下呂市が公営保育園を民間に任せたいという姿勢を打ち出し、「地域の子は地域で育てる」という理念で、私たちが引き受けたいと申し出ました。地元の保育園の運営は、大規模な社会福祉法人や地域外の人が行うのではなく、地元のNPO法人である私たちが行うべきだと考えたからです。当初は財政面で心配なこともありましたが、先代の理事長の思いも深く、下呂市とも良好な関係を築き、保育士の給与改善も進められています。
命の重みを伝える
平成18年、岐阜県が主催する「いのちのふれあい講座」という性教育の講座が北中学校で行われました。講座の内容に強く感動し、下呂市の子どもたちみんなに受けてほしい、子どもたちにとって絶対必要だと思いました。NPO法人サン・はぎわらとしてこの活動ができれば未来につながると思い、平成19年から保育園の指定管理委託事業として「いのちのふれあい講座」を取り入れることになりました。
現在「いのちのふれあい講座」は、下呂市内6校の中学2〜3年生と9校の小学校5〜6年生に向けて行っています。年間42回の講座では、「自己肯定感を高め、自分も周りの人たちも大切にできる子どもを育てる」を全体テーマとし、中学生3年に性感染症、小学生5年に多様性授業「自分らしく生きる」を盛り込んでいます。この地域で生まれ、育ってきたのだと誇りを持つことが、一番大事なのではないかと思っています。
未来に大切に繋げたい
「いのちのふれあい講座」では「産道体験」があります。布をかぶせたテントの中の袋に一人ひとり順番に入りお母さんの心臓の音を聞きます。スタッフは背中をさすりながら「あんなに小さかった〇〇さん、こんなに大きくなって本当にすごいことだね。〇〇さんの人生はこれから大変なこともいっぱいあると思うけど、自分を大事にして生きてくださいね」と語り掛けます。「ちゃんとした知識も大切ですが、一番大切なのは大変なことに直面した時1人で悩まないで、困った時には誰かに相談する勇気を持つこと」と私たちはいつも伝えています。自分を大事に思い、みんなが自分なりの幸せをつかんでくれることを願っています。
子ども達から「生き方をちゃんと考えていきたい」という感想をもらい、地域の大人としてもっと子ども達の応援団にならなければと改めて思いました。この講座はNPO法人サン・はぎわらの事業として認知されているので、これから先も継続したいと思っています。
そして、この活動を次世代につなげていくために、この講座が好きで下呂市も好きだという人に託していく必要があります。不易流行で未来に繋がっていってほしいと思います。
家族の協力で頑張れる
私がこれまで仕事に地域活動に一生懸命になれたのは、家族の協力が得られたという恵まれた環境のおかげだと思っています。家族が仕事も活動も認めてくれたおかげで、思い切りいろいろなことに参加でき、両立ができたのだと思います。未来の私は、母がしてくれたように学校から帰ってきた孫に、美味しいものでも作ってあげ、孫が高校生になっても迎え入れてあげられるおばあちゃんになっているといいなという夢があります。
家族に感謝、一緒に働く皆さんに感謝、「いのちのふれあい講座」のスタッフに感謝という気持ちで謙虚に自分を大切に、笑顔で次につなげるために頑張っていきたいと思っています。