岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

人と人との「つながり」を大切に
子育て世代が安心して生活できる
理想的な田舎暮らしが実現する
場所づくりを目指しています。


NPO法人ふるさと金山 副理事長
細江 尚子(ほそえ なおこ)さん(下呂市)

【2024年8月28日更新】

細江さんは結婚を機に金山へ移住。第一子出産後、託児グループ「ほほえみ家族」をママ友と立ち上げ、親子の遊び場を開設。その後「ふるさと金山」の会員になり、主に地域交流事業を運営。また、下呂市家庭教育支援チームの副代表の活動のほか、自然派化粧品の販売代理店代表や健康・経済・孤独の3つの不安を払拭し安心・喜びに変えられるよう、田舎暮らしの促進にも注力するなど多忙な毎日を送っています。

結婚が転機で金山町へ
 
20代の頃、体調が悪かった時に出会った自然派化粧品や健康管理商品などのナチュラルなものを、今度は自分で扱いたいという思いで、販売代理店の仕事に就きました。その代理店から株式会社LOSAという会社を仲間たちみんなで作り上げました。この仕事さえ出来ればそれだけで良いと思うほど楽しく働いていました。
 私は岐阜市出身ですが、仕事三昧の生活を送っていた頃、武儀町に住む叔母から、「私の顔を立てると思って1度だけ見合いをしてほしい」と頼まれ、見合いをして気がついたら結婚に至り、金山町に来ることになりました。あたり一面、昔の原風景を思わせるような光景に「なんかすごく惹かれるなあ、ここいいなあ」と思いましたが、お客さんのほとんどが岐阜市の方だったので、当時は毎日岐阜市まで通っていました。

自身の子育てへの不安

 33歳で結婚して二児を出産しましたが、それまで仕事漬けで気ままにしてきた分、第1子を出産し赤ちゃんは本当にままならない存在だと感じました。恐らく子育ての不安から鬱状態になっていたのでしょう。生後9ヶ月くらいまで「この子を2階から落としたら楽になれるのではないか」などと思って、ハッと我に返るという時期も過ごしました。その時、ほぼ同時期に子どもを産んだ近所のママ友がたまたま、「名古屋から来る面白い知り合いと会うから来ないか」と誘ってくれました。心が晴れず沈むような気がして、そんな状態で人に会うのはと迷いましたが、「話聞くだけでも面白くない?喋りたければ喋ればいいし、ちょっと出てみようよ」と声をかけてもらったのが、不安から抜け出せるきっかけとなりました。背中を押して連れ出してくれたことが良い刺激になって、それからは、地元の役場で行われる男女共同参画の会議や、地域の催し物にも顔を出せるようになりました。子育ての大変さの中で手を差し伸べてもらえたのは、本当に大きな一歩だったと思います。この経験がその後の活動の原点となりました。

託児グループの立ち上げ

 ある時、Iターンで金山町に来られていたママさんが入院されたことがありました。核家族でお子さんは2人、彼女の夫は木材関係の仕事で、晴れている時は働かなくてはなりません。1人で子育てと家事を担い頼る人はいません。こんな状況を見兼ね、「じゃあママ友で結束しよう」と、子どもをみる人、食事を作って届ける人など役割を分担し、順番にシフトを組んで、交代でサポートしました。1週間後に退院されたその方が「本当に助かった。今回は私が頼ったけれど、これからは誰がどうなるかわからないから、託児グループを立ち上げないか」と言われ、教育委員会を通じて、町長さんに直談判しました。すると「支援をしてくれということは税金を使うってことだよ」と言われ、税金を使うような事業を自分たちが行うという責任についてあらためて考える機会となり、やる以上は真剣にやろうと作ったのが託児グループ「ほほえみ家族」でした。
 当時の地域の問題は子どもたちの遊び場がないという点。親が子どもを連れて行く場所を作りたいと、Iターンのお母さんが積極的に手伝ってくれ、遊びの広場「おひさまはうす」を開設。また、常設の児童館がほしいという声から、今度は古民家を改修して、いつでも誰でも遊びに来られる子育て広場「ひなたぼっこ」を開館。さらに下呂市から、こども園をNPOという形で運営してほしいという話があり、元役場の職員さんたちに誘われて、「ふるさと金山」に入らせていただきました。そして、赤ちゃんを育てるお母さんたちに、1人じゃないということを知ってもらいたいという思いで、情報交換もできる場として、妊婦さんのための「たまごくらぶ」、子どもとお母さんのための「赤ちゃんカフェ」「子育てカフェ」、同じ年度に生まれた子の親の会「年度会」を開設しました。進んで参加してくれるお母さんたちと力を合わせたおかげで、開設はトントンと話が進みました。子育て中のお母さんは、ものすごいエネルギーを持っています。そうしたエネルギーを循環させて、同じような環境のママさんたちをこれからもサポートできたらと心から思います。

民泊を通した田舎暮らし

 縁があって、ママ友が運営している囲炉裏料理が大人気の古民家民泊を手伝っています。実はこの民泊に使われている古民家は義母の生家で、思い入れがある場所。田舎暮らしを楽しんでみませんか?というメッセージを込めて、お客様の人数の多い時だけですが、喜んで台所仕事のお手伝いをさせてもらっています。下呂市の食育サポーターとして、元地域おこし協力隊や大学3年生が運営する廃校を利用したカフェとコラボして、手作りケーキを提供しました。そのほか、ジブリの映画にも登場する飛行石みたいな「蛍石」という光る鉱石を見るために、全国からたくさんの方が金山に遊びにいらっしゃるのですが、実は、そこの鉱山はうちが所有する山です。すべてがつながっているように感じています。こうした民泊や地域おこしをきっかけに、都会から田舎への移住者や二拠点生活者が増えると信じてその活動に関わっていきたいです。
 好きな言葉は、「喜怒哀楽」。自分を騙すのではなく、その時の感情を隠さずその時々の自分を大切にし、なんといっても人との関わりを大事にしたいです。2つ目に「どんな時もあるよ」人生にはいろんな事がある。思った通りにはいかないことが多いですが、そうした時、この言葉が助けになっています。
 これまで自分が色々助けてもらったので、今度は次の世代を応援していこうという気持ちです。ちょっとあそこで喋りたいなというサロン的な場所を作りたくて、自宅で出来ないかと、ここ10年くらい考えています。誰でもいつでも気軽に集まって話せる、くつろげる場所。その実現を目指して、また、頑張っていこうと思っています。